コニー・ウィリスのレビュー一覧
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アメリカの作家「コニー・ウィリス」の長篇SF作品『ドゥームズデイ・ブック(原題:Doomsday Book)』を読みました。
「ヒュー・ハウイー」の『ダスト』に続きSF作品です。
-----story-------------
〈上〉
歴史研究者の長年の夢がついに実現した。
過去への時間旅行が可能となり、研究者は専門とする時代を直接観察することができるようになったのだ。
オックスフォード大学史学部の女子学生「キヴリン」は、実習の一環として前人未踏の14世紀に送られた。
だが、彼女は中世に到着すると同時に病に倒れてしまった…はたして彼女は未来に無事に帰還できるのか?
ヒューゴー賞・ネビュラ賞 -
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ネタバレハリウッドのドラッグと嘘と虚栄に満ち満ちた近未来SF。
コニーウィリスの章初めに引用する手法がこれでもかと使われて、冒頭ドタバタするもハッピーエンドまで落とし込むところもさすが。
ただ、男の子主役の荒っぽさややさぐれ感はちょっといただけないとこもあり、最後アリスとうまく行ったのは奇跡やと思う。
今回特に感銘を受けたのは、訳者の登場した映画をほぼ観て巻末に注釈を入れてくれてるところ。
単に翻訳するだけではなく、膨大な作品を見まくって、少しでも映画不慣れな読者の補完をしようと努力されてるのはすごすぎる。この仕事こそまさにプロでしょ。 -
Posted by ブクログ
臨死体験をめぐる医学SF。読み終えた直後の率直な感想は、「あ〜長かった」のひとことにつきるかな。医学、文学、映画、そして遭難事故などに関する情報量とディティールはすごいが、それが面白さにつながっているのかは微妙。とにかくすべてが冗長に感じられる長ったらしい文体、これを楽しめるかどうか。第二部のラストで仰天させられ、ようやく面白くなってきた時点で残り4分の1。医学的にどこまでが実在の話なのかはわからないが、ミステリの謎解きのようになるほどと納得のできる着地はする。その過程を楽しめるかどうか。正直自分にはいまひとつ、合わなかったようだ。
キャラクターは魅力的だが、臨死というテーマの深刻さをユーモア -
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オックスフォード大学の歴史学科が舞台の話。
熱血的歴女のキヴリンは周囲の反対をものともせず、魔女狩りとペストが猛威をふるう中世イギリスに行きたがっていた。
そして、彼女の指導教官である中性史学科の教授(無知で無能で傲慢)はロクな予備調査もせずにキヴリンを中世へ送り出してしまう。
キヴリンを送り出した直後、現代に謎の伝染病が広まる。
そして中世に降り立ったキヴリンも体調を崩して現代に戻るための降下点が分からなくなり…的な。
はい。
コニー・ウィリスのタイムトラベルシリーズです。
今書いたあらすじだけで上巻をまるまる使い切りました。
下巻になって話は進むのか!?
乞うご期待。 -
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学術的な目的で過去に時間旅行が可能な世界の話。
21世紀のオックスフォード大学と、過去にいったギブリン(女学生)との話が並行して進む。
21世紀の話には、冒頭から登場人物が入り乱れて、彼らの関係や立ち位置などがほとんど頭に入らないまま、がまんして読み進めると、なんとかメインのストーリーが見えてくれる。そうなるとだんだん面白くなる。
それにしても、個人と連絡を取るのに固定電話に画面がついた装置を利用するという時点で、書かれた時期が相当前なのだろうと思った。確認したところ、1992年に出版ということが判明。1980年代には自動車電話が利用されていたらしいことを考えると、携帯電話などの発想があって -
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臨死体験を研究する医者のジョアンナ。
音、トンネル、光、天使、人生回顧、帰還命令など臨死体験者は(宗教観や先入観、聞く人による誘導もあるが)共通した内容を体験することが多い。
臨死体験とは生命においてどんな機能があるのか。
しかし、人工的に臨死体験を引き起こす研究プロジェクトはうまく行かず、ついにジョアンナは自分を被験者にする。
そしてトンネルと光の先にあったものは... とにかく前半が長くて辛いことで有名(主観です)なコニー・ウィリス。
しかしこれまでの作品は後半からの加速感が病みつきになるものばかりだった。
今回はどうなんだろうか?
今のところ、長くて辛いままだぞ? -
Posted by ブクログ
「ブラックアウト」の続き。続篇の「オールクリア2」まででひとつの物語になる。本書は物語の途中なので、中弛みを感じてしまうが、第二次世界大戦中の英国で3人が元の時代に戻れなくて奮闘するのに興奮してしまう。3人が予定通りのタイムトラベルができなかった理由は徐々に明らかにされていく。もしかしたらどんでん返しがあるのかもしれないが、ラストに向けて怒濤の展開を期待せざるをえない。そもそも時空で迷子になった3人は元に戻れるのだろうか。戦時中の一般市民の情景をリアルに表現したこの物語は、長いけれどそれほど無駄はないストーリーだ。これからどのようにまとめられるのか楽しみである。
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Posted by ブクログ
いきなり登場人物が当然のように動き出すので
シリーズの続編かと思っていたら、これが初めですか。
14世紀へのタイムトラベル(なにかがおかしい)と
21世紀のパンデミックの混乱が並行で描かれ、
どちらも何が起こって、どうなってしまうのか
気になるのだが、21世紀は周りが自分勝手、非協力的で
かきまぜられて話が進んでいかないし、
14世紀は、時代の隔たりがもたらす
絶望的なほどの違いに、一歩間違えば命を失いかねない
文字通り孤立無援な中、なんの手がかりもなく
当然、進展はゆっくりと時間をかけて。
21世紀は突然の未知の恐怖へ必死にならなければ
ならないはずなのに、個人の主張で
なぜかコミカルにうつ -
Posted by ブクログ
既読の本の中のどこかで(もしかしたら解説かも)紹介されていて、
たしか傑作と表されていた気がしたので、ボリューム満点だけど読んでみた。
文字通り“象徴的”なラストだった・・・。
臨死の中で人は何を見て、何を体験するのか。
それは統一されたイメージなのか、それともメタファーか。
はたまたもうひとつのリアル(現実)なのか・・・。
日本で言えば三途の川のあっち側とこっち側ってのが有名(?)だけど、
本書ではちょっと違った切り口で医学的にドラマチックに解説されて興味深い。
雰囲気はアメリカのテレビドラマ、『グレイズ・アナトミー』みたいな感じ。
序盤はあんまり進展しないんだけど、なんだかんだで