杉田敦のレビュー一覧
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憲法学者の長谷部恭男と政治学者の杉田敦の対談を収録しています。
おおむね杉田が長谷部の考えに対して疑問をぶつけることで、いくつもの興味深い論点が浮き彫りにされていきます。まずは、「立憲主義」を「価値観、世界観の多元性を前提にした上で、その間の公平な共存を図るための手立てだ」とする長谷部憲法学の根本的な発想が確認され、それに対して杉田は、こうした発想は「相互に対立する利益集団のせめぎ合いとして政治をとらえる」考えに近いものとして受け止め、公共性をめぐる原則的な問題を提出することで、長谷部憲法学が二枚腰、三枚腰の構えで構成されていることが明らかにされていきます。
杉田の問いかけによって、長谷部 -
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ネタバレ決定・代表・討議・権力・自由・社会・限界・距離という8つのテーマを通して、政治の捉え方、関わり方を記す。
政治は皆のことについて決める営みである。納得はいかないが、受け入れなければならないこともある。政治に不愉快さ、押し付けがましさがつきまとうのはこのことによる。何を問題とするかを決めた時点で、責任を誰に問うかもある程度決まっている。したがって、いつ何を問題とするか決めることは慎重であるべきである。
代表制が必要な理由には、規模の問題、専門性の問題がある。しかし、それだけではなぬ、政治家がそれぞれ意見を主張することで、知識の乏しい人々が争点や対立軸を理解するという政治劇(演劇)的な装置として代 -
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テレビでヨーロッパを旅する芸能人が出会ったある老婆が「まだ未熟な民主主義を私たちは見守らなければならない」という言葉が非常に印象的だった
民主主義が当たり前のように思っているが、そもそも民主主義とは何か。多数決で決めていくならば「未熟」と表現するのはおかしい。
そこで民主主義とは何かを知るために、この著書をとった
対話形式なので非常に読みやすい
内容は深くなく、次々に話題が飛んでいくので十分な理解はできないが、民主主義というものがそんな単純ではないことはわかってくる。今まで意識してなかったのは、自分が知らず知らず「多数派」にいるからだろう
国民とは何か。現在の政治システムは本当に民主主義なの -
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「私は この小説を書くときに、読んでくださる人が小学六年生までの漢字を読む力があれば読んでもらえるものと思ってこの作品を書き始めました」
と「氷点」を書いた三浦綾子さんがいってらっしゃいました。
この本の中で出張授業をされる先生たちは
もちろん、その道のプロフェッショナルの方たちです
そして、聴いている対象者たちは 中学生、高校生たち
その語り口が そのまま 一冊の本にまとめられました
その「語り口」を読んでいて
冒頭の三浦綾子さんの言葉を思い起こしたのです
本当の専門家は
ただ感心させるだけでなく
それなら 僕も(私も) 何かやってみよう
そんな気にさせてくれる方なのです -
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デモクラシーについての対話形式の本。ただ選挙に参加するのではなく、「デモクラシーとはなんぞや」という本質を学ぶための入門書になる本。
2001年に出版のため、ネットデモクラシーはその当時より発達しているが、それ以外はあまり変わらずだし、憲法、原発、沖縄と今でも議論の俎上に乗せられる問題があげられている。
デモクラシーは制度ではなく、不断な努力を要するものであることがよくわかるし、その考え方は政治だけでなく多様な局面で使える考え方であると思う。
丸山眞男は「民主主義は制度ではなく、永久革命である」と断じたが、この本を読めばその意味がよくわかる。 -
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ネタバレ[ 内容 ]
国の安全に関わる重要な問題を、内閣法制局や憲法学者だけに任せていていいのか?
圧政に苦しむ人々を、助けに行かなくてよいのか?
憲法で縛るより、国会でその都度議論すべきではないのか?
日本国憲法をめぐる最重要論点を、いま最も注目の憲法学者と政治学者が徹底討論。
憲法学の現状への痛烈な批判も飛び出す、スリリングで最先端の憲法対論。
[ 目次 ]
第1章 憲法はデモクラシーを信じていない
第2章 絶対平和主義は立憲主義と相いれない
第3章 憲法解釈はだれのものか
第4章 絶対的な権利なんてない
第5章 あらゆる憲法は「押しつけ憲法」である
第6章 憲法をいま変えることは無意味である
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[ 内容 ]
民主主義、民主的な政治とは何か。
現代社会の基本的な価値理念であるデモクラシーが重要であることは間違いない。
しかし、それを共有している社会において、いろいろな意見の対立や争点が生まれてくるのはなぜなのか。
物事を「民主的」に決めるとは、どういうことか。
古くて新しいこの難問について、対話形式を用いて考える試み。
[ 目次 ]
第1章 制度とデモクラシー
第2章 安定性とデモクラシー
第3章 国民とデモクラシー
第4章 公共性とデモクラシー
第5章 代表とデモクラシー
第6章 討論とデモクラシー
第7章 憲法とデモクラシー
第8章 重層性とデモクラシー
[ POP ]
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