リンダ・グラットンのレビュー一覧
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私が考える理想の研究者とは、人類がこれまで歩んできた歴史とともに、現在の社会を見つめ、少し先の未来までをも見ようとする「優しい研究者」です。
「持続可能な開発(SDGs)」という概念が近年注目されていますが、「持続可能な開発」とは、おそらく「次世代を見ようとする努力そのもの」なのではないかと考えています。持続可能な開発とは、言い換えれば、次世代まで継続して豊かな社会を築くことです。そのため、これまでの歴史を振り返りながら、今起こる現象を読み解き、次世代まで豊かな社会を築くには何が必要かを問う姿勢が重要なのです。
しかし、これから起こりうる未来を想像することはそう簡単なことではありません。そこでお勧めしたいのが『未来を読む‐AIと格差は世界を滅ぼすのか』です。この本には、『銃・病原菌・鉄』の本で有名なジャレド・ダイアモンド氏や『サピエンス全史』の著者であるユヴァル・ノア・ハラリ氏など、名立たる知の巨人たちが予想する未来が分かりやすく書かれています。そして、歴史や現在を紐解くことで浮彫となる、次世代まで豊かな社会を築くための重要なヒントやモチーフが、この本のあらゆるところに散りばめられています。
例えば、ダイアモンド氏は、最先端のテクノロジーが普及していく社会だからこそ、「伝統的社会」の叡智に着目することの重要性を説いています。なぜかという点は、実際に本を手に取って読んでみてください。この他にも、次世代まで豊かな社会を築くために重要となるヒントがたくさん隠されています。特に開発について研究をする人たちには非常に有益となる本となるでしょう。
次世代まで豊かな社会を想像(創造)できる「優しい研究者」が増えることを、切に願うとともに、私自身もそういった研究者になれるよう日々努力をしていきたいと思っています。(名古屋大学大学院国際開発研究科 博士課程 綿貫竜史) -
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ネタバレ【要約】
①長寿化とテクノロジー進化がもたらす地殻変動
・人生100年時代の到来:
先進国で生まれる子供の50%以上は100歳まで生きると推計されており、すでに成人している世代も90〜100歳まで生きることが珍しくなくなる
・テクノロジーの急速な進化:
AIやロボット工学の進化により、定型業務や単純作業(レジ係、運転手、工場や事務の作業など)は機械に代替されやすくなる
その一方で、マネジメントやリーダーシップ、創造性、共感といった「人間らしい仕事」の価値が高まり、新たな仕事も生まれていく
②「マルチステージ」への人生リデザイン
従来の「教育・仕事・引退」という一本道の3ステージモデルは、寿命の長期化や急激な変化によって機能しなくなる
これからの100年時代は、年齢にとらわれず、何度も学び直し(リスキリング)を重ね、副業、独立、ボランティアなど多様な活動を組み合わせながら生涯現役であり続けるマルチステージの人生へとシフトする必要がある
③100年時代を生き抜くための3つの行動戦略
この新しい生き方を実現するための鍵として、個人が取るべき3つの行動戦略を提示
(1)物語(ナラティブ)
暦年齢に基づく固定観念(「もう高齢だから何もできない」という決めつけ)を捨て、自分らしいアイデンティティと人生のストーリーを主体的に再編・設計すること
(2)探索
生涯を通じて変化と学習を繰り返すこと
キャリアの転換期には不安が伴うが、日頃から新しい知識やスキルを「学び直す(リスキリング)」習慣を身につけることが、経済的・精神的な生存のために必須となる
(3)関係
家族の絆、世代を超えた友人、地域コミュニティなどの多様な人間関係(人間関係資産)を構築・維持すること
豊かな人間関係は幸福度や健康寿命を大きく向上させ、人生の転換期を支える最大のセーフティネットになる
④人生100年時代のマルチステージを生き抜くための5つの重要スキル
これらのスキルは独立しているのではなく、相互に関連し合っており、年齢を重ねるほど重要性が増していく
(1)変化適応力
テクノロジーの急速な進化に対応し続ける、柔軟性と学習姿勢のこと
1つのスキルや仕事だけで生涯を乗り切る「一社キャリア」の時代は終わり、生涯を通じて学習と変化を重ねる必要がある
10年ごとに大規模なスキル更新(リスキリング)を行うことが経済的生存のために必須となる
大人の学習においては、新しい知識を得るだけでなく、これまでの古い思考や行動を捨てる「学習棄却(アンラーニング)」も大きな比重を占める
(2)ナラティブ構築力
自分の人生の物語(ナラティブ)を意識的に編集し、過去の経験を次のステージに生かす能力
これからは誰もが同じ一本道を歩む時代ではなくなり、自らのアイデンティティを深掘りして、主体的に人生設計やストーリー構築を行うことが求められる
その前提として、「高齢だから何もできない」といった暦年齢に基づく固定観念や偏見を取り払う必要がある
親の世代の価値観は参考にならないため、未来を見据えて自発的に人生の選択肢を再編する力が重要
(3)創造的問題解決力
AIやロボットなどの機械に代替されにくい、人間特有の創造性を発揮するスキル
定型的な業務(同じ作業の繰り返しなど)はAIや機械に代替されやすいが、非定型的な業務である「創造やイノベーション」「複雑な状況を分析・評価して問題を解決する力」「マネジメントやリーダーシップ」といった人間特有の能力は機械に対する優位性を保つ
(4)人間関係構築力
多様な世代や分野の人々と共同するためのコミュニケーション能力
家族や親しい友人などの「強い繋がり」だけでなく、新しい情報やキャリアの機会をもたらしてくれる知人や元同僚などの「弱い繋がり」を意識的に構築・維持する力
世代を超えた交流や地域コミュニティ、ボランティア活動への参加など、多様な人間関係のネットワークを分散して持っておくことが、人生の満足度を高め、幸福な人生の土台となる
(5)健康管理力
長い人生の活力(活力資産)を維持するための自己投資能力
健康を単に「病気がない状態」と捉えるのではなく、問題が起きてから対処する反応的アプローチから、予防と早期介入に重きを置く「予防的アプローチ」へと切り替え、自立して活動できる「健康寿命」を積極的に延ばす力
身体的・精神的・社会的健康は密接に関連しており、目的や意味を持った活動に従事することも、免疫機能の向上や認知機能の維持といった健康維持に寄与する
⑤社会(企業・教育・政府)に求められる「社会的発明」
テクノロジーと長寿化を社会全体の恩恵にするためには、個人の努力だけでなく、社会制度や慣行のアップデート(社会的発明)が不可欠
・企業に求められること:
新卒一括採用や一律の定年制度など、3ステージに縛られた人事制度を改め、多世代の採用や柔軟な働き方、高齢者が能力を発揮できる継続雇用体制を整える必要がある
・教育機関に求められること:
人生の初期に学びを完結させるモデルから、生涯にわたる「学び直し」を支援する仕組みへと移行し、不確実な状況に対処し問題解決する「人間特有のスキル(S(Science)T(Technology)E(Engineering)M(Mathematics)やアートとの融合など)」の育成を重視する必要がある
・政府に求められること:
70年人生を前提とした時代遅れの政策(年金、医療、雇用規制など)を見直すこと
雇用の消失を無理に防ぐのではなく、新たな雇用の創出とリスキリング支援を強化し、予防医療に重点を置いたインフラを整備することが求められる -
Posted by ブクログ
ネタバレ【要約】
長寿化が進む現代社会において、どのように人生を設計し、キャリアや資産を築いていくべきかを示した画期的な人生戦略書
①「人生100年時代」の到来と「3ステージ」モデルの崩壊
・劇的な長寿化の現実:
医療技術などの進歩により、人類の寿命は伸び続けている
試算によると、1994年生まれの半数が100歳まで生き、2007年生まれの半数は107歳まで生きると予測されている
・一律の人生レールの終焉:
これまで当たり前だった「教育(学ぶ)」「仕事(働く)」「引退(余生)」という一律の「3ステージ」モデルは成り立たなくなる
なぜなら、60〜65歳で引退すると、その後の約30〜40年に及ぶ長い老後生活を支える資金が圧倒的に不足するから(長生きリスク)
対策を怠れば、80代まで働き続けなければならないという厳しい現実が待ち受けている
・社会の変化:
テクノロジー(AIやロボット)の急速な進化による雇用の変化や、終身雇用制度の崩壊、企業寿命の短縮により、ひとつの会社や職種だけで一生を逃げ切ることは不可能
②年齢に縛られない「マルチステージ」への移行
これからは、生涯を通じて「学ぶ」「働く」「休む・移行する」を何度も繰り返す「マルチステージ」の人生設計へと移行していく
この生き方には年齢による縛りがなく、各自が主体的にステージを選択できる
従来のステージに代わる新しい3つのライフステージを提示する
(1)エクスプローラー(探検者)
日常の生活から一旦離れて旅や探索をし、多様な生き方に触れることで、自分の「好き」や「得意」、自身のアイデンティティを模索・再確認するステージ
(2)インディペンデント・プロデューサー(独立生産者)
組織に縛られず、起業やフリーランス、ギグワークなどを通じて主体的に活動する
お金を稼ぐこと以上に、スキルアップや人的ネットワーク(無形資産)を増やすことを目的とするステージ
(3)ポートフォリオ・ワーカー
異なる職種の仕事や活動(コンサルティング、執筆、ボランティアなど)を同時に並行して行う
リスクを分散しながら、やりがいと精神的充足、生活費の確保を両立させるステージ
③カギを握る3つの「無形資産」
長寿化の人生を幸福に生き抜くためには、お金やマイホームなどの「有形資産」だけでなく、目に見えない「無形資産」の蓄積と継続的なメンテナンスが極めて重要になる
(1)生産性資産(仕事のスキル・知識・評判・仕事上の人脈)
生涯にわたって成果を出し、所得を増やすための資産
AIやロボットに代替されにくい人間ならではの能力(創造性、共感、複雑な問題解決能力)を磨くことや、時代に合わせた「学び直し(リスキリング)」が必要
(2)活力資産(健康・良好な家族や友人関係)
肉体的・精神的な健康と、幸福感をもたらすつながり
「孤独は最大の敵(負債)」であり、定年後に社会的孤立に陥らないよう、若い頃から家族や友人、社外コミュニティとの良好な関係を地道に育んでおくことが不可欠
(3)変身資産(変化への適応力・挑戦する勇気)
人生の途中で新しいステージへスムーズに移行する能力
深い自己理解、多様な価値観を持つ人々とのネットワーク、新しい経験に対してオープン(積極的)である姿勢によって構成される
④人生を豊かにするためのアクションプラン
・時間の再投資(リクリエーション):
余暇時間を単なる娯楽(レジャー)に費やすのではなく、自己の学び直しや健康維持、人間関係の再構築に充てる「自己再創造(リクリエーション)」に変えていく必要がある
・ワークライフバランスの死守:
本業だけに時間を奪われないように個人の時間を確保することで、健康維持や家族とのイベントへの参加、副業や新たなスキルの習得といった「無形資産への投資」が可能になる
・しなやかな自己定義:
「自分はこの会社・職種の人間だ」という固執を捨て、自分を常に変化し続ける存在として柔軟に捉えるマインドが大切 -
Posted by ブクログ
前作を読まずに読んだ
健康寿命が延び、これまでのような教育、仕事、引退のような単純な3ステージから、移行の回数が増えたマルチステージの人生をどう生きていくべきかが書かれていた
本筋ではないが、これからだけでなくこれまでも変化は起こっていたことを再認識(女性の労働人口増加など)AIの出現などで今だけが変化の時代みたいな見方をしがちだがいつの時代でもそうなんだろうなと思う
新しいことを学び続ける必要があることには同意。
コミュニティもやはり大事。最近人とのつながりが薄くなりがち。
仕事以外の生きがいという観点についての言及は少なめ。定年後も仕事を続けたいと思ってはいないが、仕事を辞めたら何をするんだろうという不安はあるが、その解消にはあまりならなかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2017年に購入していたのに今読んだ。なぜなら40代で初めてのサバティカル期間だから。10年経っても、新鮮に読める。ほぼ言っていることは、まだそのまま当てはまるから。
以下、刺さったことネタバレします。
・・・・・・・
・エクスプローラーとしてのステージ
エクスプローラーに適した時期は3つあり、18−30代前半、40代半ば、70−80歳。これらの時期は人生の転換期になりやすく、エクスプローラーとしての時間が明確な効果を生みやすい。
(特に若い人にとっては、自分についての理解を深め、自分がどういう人間で、なにを好み、なにが得意なのかを見出す。外的な刺激を通じて発見をおこなう時期になる。試練を与えられたり、思考を揺さぶられたり、怒りを掻き立てられたり、時には喜びを感じさせられたりする環境で自分について学ぶのだ p.236)
エクスプローラーのステージは回り道にしか感じられない、そしてリスクを嫌う人は学校教育を終えた後すぐに従来型キャリアに進みたがるかもしれない。しかし、このステージを経験することにより人生が大きく変わる人もいるのだ。エクスプローラーの時期は、綿密に計画を立てて、このステージの恩恵に浴すこと。
・「変身資産」と「活力資産」
100年ライフでは実験する姿勢は不可欠
ageとstageが一致する時代が終わりをつげる
若さと柔軟性、遊びと即興、未知の活動に前向きな姿勢
目の前のものごとに意識を集中し続けられるか
・パートナー同士の関係性も変わってきている。
「親密さの変容」=パートナー同士の間に、言うなれば純粋な関係が生まれつつある。取引的生活をもつ旧来の夫婦関係とは異なり、その関係自体が双方に恩恵をもたらすからこそ維持される夫婦関係のことである。内政を土台とし、つねに再検討と再構築を受け入れる。それは普遍の関係でもなければ、惰性で継続されるような関係でもなく、2人の間で調整を重ねていく関係。
・結婚のリスクの分散の効果
同類婚(自分と教育・所得レベルが近い人を結婚相手に選ぶこと)が増えている。稼ぐ力にあまり差がない場合は、リスク分散を考えた方が理にかなっている。結婚によるリスク分散は、2人の稼ぐ力が近い方がうまくいく。p.321
パートナーが固定的な役割分担をせず、2人が主な稼ぎ手の役割を交互に行い、相手がキャリアの途中で仕事を中断して生産性資産を築くのを助ける方法もある。長い人生の中で役割分担を成功させるためには、2人に高度な相互補完性があり、徹底的にすり合わせを行う必要がある。スキルの更新、新しい試練、新しい人的ネットワークへの投資は、パートナーとの緊密な協力関係が必要。いいパートナーは、情緒面での支え、難しい決断をする際に意見と率直な批判を聞かせてくれる。
・シェリル・リンドバーグは、「パートナー関係は、長い目で見た公平を実現し、家族の1人だけではなく、家族全員が成功を手にするための方針を共有する関係だ。男女ともに互いに対する見方と態度を変えることが避けては通れない。そのためには多くの調整が必要になる。」と言っている。
・学生は働くのに十分なスキルを持っていない。特に、創造性、イノベーション能力、やさしさ、思いやり、という資質が足りない。p.369
・昔のように特定のロールモデルに従っていればいい時代ではなくなり、ありうる自己像の選択肢が大きく広がる時代には実験を通じて、なにが自分にとってうまくいくのか、自分がなにを楽しく感じ、なにに価値を見出すのか、なにが自分という人間と共鳴するのかを知る必要がある。実験は若者だけのものではない。それは、あらゆる年齢層の人にとってきわめて大きな意味をもつ。和達達を次の地点に導き、どのように意向を成し遂げればいいかを明らかにするのは実験なのだ。実験と探求は、1人の人間の人生を貫く要素の一部をなすものである。p.361
長寿化の議論では、所得や貯蓄の問題ばかり注目を浴びているが、真の試練は、長い人生を支えるのに必要な無形の資産をどのようにマネジメントするかという点なのだ。p.392
企業に求められること p.370
・無形の資産に目を向ける (賃金、年金、手当だけでない無形の資産)
・移行を支援する
・マルチステージの人生を前提にする
・仕事と家庭の関係の変化を理解する
・年齢を基準にするのをやめる
・実験を容認・評価する
・人事の一大改革が必要 -
Posted by ブクログ
10年後の未来予想を、予想された年を過ぎてから読むって、後出しジャンケンみたいでちょっと後ろめたい感じと、答え合わせの楽しみと両方ある。
方向性としては間違ってないと感じたけど、
私の周りだけかもしれないんだけどまだ途上だな、
と思う部分が多かった。
コロナのせいかお陰かは分からないけど。
コロナがなければオンライン化はもっと遅かっただろうけど、コロナあったくせにその後全然進んでない気がしてならない。
結びつく土壌はあるのに結びつこうとしない怠惰のせいでコミュニケーションは全然取れてない気がする。
21世紀だと言うのに前時代的な物理的戦争が多発してるって、コミュニケーション不足と老害の合わせ技の極みじゃなかろうか。聞く耳を持たない偏屈者が被害妄想に駆られて暴走している。
自分ブランド化。確かに必要なんだろうけど、
自分に何が出来るんだろう、とティーンエイジャーの様に途方にくれるアラ還。
そうね、還暦ですものね、いっちょ生まれ変わって第二の人生、行ってみましょうか。