稲葉稔のレビュー一覧
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宮本武蔵のたどり着いた境地、五輪書が生み出されるところを、静謐に、厳格に、されど心の通う温かみのある物語として描き出している。
吉川版宮本武蔵で描かれた武蔵像や世界観とも繋がる。
剣の道と、人間の懊悩。後悔と心のふれあいと。
万理一空。
『万物のものには存在する理があり、万物の中にその理がある。』兵法と治世につながるものはないか。
高校時代に生徒手帳にメモしていた独行道が、小説の冒頭に出て来て、なんか、懸命に鍛錬していたことを思い出す。
今のこの物語を味わえることを踏まえて、改めて五輪書を読みたくなる
自然環境を守ること、自然との共存と、禅、体幹を使って走ることなど、つながるのかもしれな -
購入済み
宝箱
7人の作家の小品集で、江戸人情小話が、いっぱい。どれも、ちょっぴり切なく、ホロリとさせられる。次々と色々な話が、ポンポン出てくる宝箱のようだった。
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購入済み
おもしろい!
主人公の菊さんがとても良いです。優しく厳しく、闘うと強い。でも美人の前だとおたおたしてヘタレになる笑。完璧なヒーローじゃないところが魅力です。シリーズ全部読もうと思います。
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Posted by ブクログ
好きだなぁ〜。このシリーズ。
死病である労咳を患ったとの宣告を受け、息子に職を譲り隠居となったのは桜木清兵衛。
風烈廻り同心だった。
だが、看病すると気管支の病だったようで完治。
そんな早すぎる隠居であったが、今はその自由な時間を満喫している清兵衛だ。
何か趣味でもと釣りや、俳句をしてみるのだが、続いているのは散歩のみ。
ついつい散歩の途中で知った困りごとなどに首を突っ込み世話を焼く。
これがたった一つの趣味と言ってもいい。
今回は、八百屋の息子の親子げんか。
大きな役をしていた隠居の頑固で厳しい様に周りがストレスを溜めていると聞き、お節介にも話し相手になり悩みを解決。
母親が -
Posted by ブクログ
ネタバレ幕府役人事情「浜野徳右衛門」最終巻。
どこでどうなったか、御先手鉄砲頭、角南刑部が火盗改の短期に助ける「増役」になってくれと頼まれる。
上役からの指令を断れるはずもなく、徳右衛門は役目につくが、今までの門番とは違い、人を切る事もあれば拷問もと言う。
ところが、一年ほど前に行き倒れの男を仕事を世話してやったのだが、その男は押し込み強盗の片割れで、事件の後殺されていたのだった。
そこで、浜野徳右衛門にもプレッシャーがかる。
妻に聞かれ、事情を話すと、立ち聞きしていた長男まで、捜査を秘密裏にすることになった。
マイホームパパの江戸版!
もっと続けて欲しかったが、だいぶ前のシリーズなので、こ -
購入済み
ほろっとします
中間管理職の親が、仕事で苦労しながら家庭問題も抱えている。江戸時代からこの構図は変わらないのか?
子を持つ親の気持ちに熱くなる巻でした。 -
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武士の流儀というよりは、より広く、人生の流儀というテーマになってきた。
家庭内不和、まさかの貧困。
[この世に楽なことなどない。
みんな苦しみもがきながら生きているのだ。自分だけが不幸だと思うのは身勝手なことだ。
そんな幸せな人はいない。ほとんどの人は、苦しんだり、辛い思いにたえて、ほんの少しの幸福を得ることができると思うの。]
夫婦で価値観が合っているところが、面白い。
妻に先立たれて支えがなくなって男の再出発や、孤独から立ち直る料理人の話。
孤独な男の話は、身につまされる。
[人の命には限りがある。これからはその恨み辛みを水に流し、人のいうことを受け入れ、そして褒めてやれ。]