北野勇作のレビュー一覧

  • 100文字SF

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    100文字という制限下でSFを綴る。
    読んでいて思うのは、この100文字という制限であるからこそ、無限に広がる世界が内包されているのだな、という感覚。

    これは、FC時代からゲームに親しんできた世代なら共感してくれるだろうと思います。あの荒いドットで表現された世界に、どれだけ興奮し没入して、描ききれなかったことも描かなかったことも想像し世界を構築してきたことか。
    技術の進歩によって解像度が上がったことは素晴らしいことであって、現実との境目があやふやになってきているのは、高精度の限界に挑戦していくということで頼もしいことです。ただ、見えるものに感動するのと、見えないものを補完して感動するのは違っ

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    2023年02月18日
  • 悪役リメンバー

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    「だれもが知っている話をだれも知らないかたちで」とのことだけれど、知らない話でも十分楽しめる。

    中学生の朝読書にもおすすめ。

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    2020年12月05日
  • 100文字SF

    購入済み

    「54字の物語」や「一行怪談」のような超ショートショート集。
    SFだけあって星新一先生みたいな話もあれば、ホラーに近い奇妙な話もあって面白かった。
    話の前後があれこれ想像でき、世界を拡げてみられるものが特に面白いと思った。

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    2020年06月22日
  • きつねのつき

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    こちらも再読ですが好きです。
    ぼんやりと見えてくるとおとかあと春子が暮らす世界の状況はとても厳しいのですが、ほのぼのしていました。「保育園送り迎えSF」。
    春子はとても可愛くて子育ての大変さと子どもの成長のきらめきも感じたのですが、とおは何かよく分からないものですし、かあは家の天井と融合している。
    とおの、家族を守りたい、を強く感じました。先は長くない、いつかはツケを払わなくてはならない、とわかっていても。
    3.11を思わせる大災害で、ラストの、誰かが決めた全てを押し流そうとする描写はあの津波を思わせたのですが、あとがき読むと震災前の2009年に既に書かれていたようでした。
    まともなものはひと

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    2020年01月26日
  • レイコちゃんと蒲鉾(かまぼこ)工場

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    ユーモアあるSFかと思って楽しみにしていたのに、瞬間的な怖さと沁みてくる恐ろしさが思っていた3倍くらいだった。他の作品も読みたい。

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    2021年03月06日
  • きつねのつき

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    大災害に見舞われ壊滅し、再構築され隔離された『人に化けた者』が生きる町で生きる家族の物語



    少し詳しく書くと人間が作り上げた人工巨大人による暴走によって街を破壊し、人工巨大人の超活性細胞が人間を飲み込み、そして人間に呑み込まれ、互いに『生きる』ために再構築された世界で生きる家族の物語です。妻は、暴走による巨大人の『肉の津波』に呑み込まれ、人に再構築出来ず、家の天井の壁と一体した生命体と化します。そんな妻から生まれた春子。"私"はこの小さな世界で、春子の保育園の送り迎えをする。

    そう、この物語は『日常』を描いています。
    時に生存のため、狐の如く化けた人が、呑み込まれた人

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    2018年05月15日
  • カメリ

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    ヒトが作り出したレプリカメ、カメリのお話。壊れた世界でヒトがいなくなって代わりにヒトデナシが世界を修正する世界。そこのカフェで働いているカメリ。ちょっとした冒険をしたり、ヒトデナシやマスターなどの役に立ったりする。可愛い模造亀。

    森見登美彦さんが解説を書いている!と思って手にとって、珍しく解説から読んでみたら面白そうだったので購入しました。読み始めてしばらくして、最高じゃん!と思った。どの辺が最高かというと、まずカメリが喋らないのになんか可愛い。そしてご都合主義的なことも多いもののどうにかピンチを切り抜ける。ヒトデナシたちの会話も楽しい。カメリがよくわからないままいろんなところでなんとなくや

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    2016年10月04日
  • カメリ

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    北野勇作ワールドらしくて久々に好きな作品
    人類がどっかに行ってしまった地球で、人類の日常を模倣して過ごす模造カメ、戦闘ヌートリア、そしてヒトデナシ達。
    夢と現実の境目がわからない、寝起きのぼんやりした時間のようなものが優しく流れています

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    2016年07月06日
  • かめくん

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    やわらかい文章、キャラクターの中にとこらどころにゴリゴリしたものが隠れてる。キャラクターはみんな優しいのに隠れてる世界は優しくなさそう。でも優しくなさそうな部分は隠れていてよく見えない。気になるけど霞の向こう。

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    2015年09月24日
  • 恐怖記録器

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    なんだかよく分からないのに、何かが分かりそうで何度も読み返してしまうけど、未だはっきりとした筋は見えない。

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    2013年12月06日
  • かめくん

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     大阪で暮らすロボット「かめくん」の目を通して、ちょっと不思議な世界を描く。
     『日常系SF』と呼んでもいいだろう。
     いや、ライトノベルのレーベルから発売された作品が日本SF大賞を受賞したのだから、『日常系ラノベSF』と言うべきか。
     切ないラストが涙を誘うが、何度も読み返したくなる。

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    2013年07月13日
  • かめくん

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    SFだと言われても最初ピンとこなかった。
    ただ、物語全体にわたって、諦念と不安感がつきまとい続けていて、それが、少しほのぼのして見える「かめくん」の語り口とミックスされて、読み進めずにはいられない原動力になって、夢中で読んでしまった。
    カメの哲学と世界観は難しくて直感的で面白い。
    不思議な物語だった。
    SFなんだろう。
    せつなくて、面白かった。

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    2013年04月07日
  • かめ探偵K

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    再読。
    北野さんの本は再読する時のほうがおもしろいのはなぜだろう。私に読解力がないからか。ちゃんと読んでるつもりなのに新しいイメージが湧いてくる。
    「かめくん」もいいけど、こちらの方がTVアニメにしてほしい。去年のピングドラム系ののりでやったら合うのではないかと思う。
    少女キャラが何人か出てくるからそう思っただけかもしれないけれど。

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    2013年03月30日
  • かめくん

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    ああ、10年前に読めていたら良かったな。こんな面白い小説があったなんて。復刊で出会えてほんとうに良かった。

    微笑ましいんだけどなんだかかなしくて、いつのまにかかめくんの目線で世界を見ている。少しだけ泣く。この小説世界に浸っていたい。

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    2012年09月27日
  • かめくん

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    北野SFの原点にして、一つの到達点であり、後の北野勇作のすべてが集約された傑作物語。
    また、2000年代の日本SF復活の幕開けとなる長編の一つ。

    10年ぶりの再刊で読み返したけど、10年間に北野勇作の作品をいろいろ読んだので、10年前より作品がより理解できるようになったと思う・

    背景レイヤにかなりハードなSF設定があるのに、その前景レイヤに日常とノスタルジーを感じさせる風景、どこかずれているけどほのぼのとした優しい世界。
    それを描き出す作者の文章が考え抜かれ、でもなんか読みやすく、擬音の巧みさもあり、淡々と進むけど奥が深い小説。

    この風景がカメモリのどこかにひっそりと冬眠して、いつかかめ

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    2012年08月10日
  • かめくん

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    優しくて、温かくて、どこか懐かしくて、
    そこはかとなく不安さを感じるおぼろげな世界。

    SFだしファンタジーなんだけど、相手はかめなんだけど、
    かめくんが感じている「不確かさ」には、共感を覚えてしまいます。

    ちょっと哀しいけれど、ゆったり浸っていたい
    ほんのりとあったかい世界ですw。

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    2012年08月09日
  • かめくん

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    不思議な世界観。
    いえ、SFの設定としては決して珍しいものではないのですが。

    かめくんは「レプリカメ」です。
    亀に似せて作られました。
    人に混じって生活していますが仕事や生活面で弱い立場です。
    作られた存在ですがりんごやパンの耳を買って食べます。
    口がきけなくてワープロを使って会話します。
    そういったことから、
    どちらかというと受身で周囲の人たちを観察している感じ。
    でも内面でいろいろな事を不思議に思い、常に考えています。
    そんなかめくん視点で語られる世界は静かで優しく、でも切なくて。
    そしてよく考えると怖い。
    淡々とかめくんの生活が語られていく中で、
    底知れない不安と悲劇の予感がじわじわと

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    2017年10月14日
  • レイコちゃんと蒲鉾(かまぼこ)工場

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    暴走して社員を襲ったり蒲鉾にしちゃったりする蒲鉾を製造管理している工場が舞台のお話。
    不条理展開のおかしな生活が描かれているなあ、とまったり読んでいたら終盤で意表をつかれてしまってすっかりお気に入りに。
    読み終わってからしばらく経つけど、不思議な余韻は今も自分の中に残ったままです。
    大好きな一冊。

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    2010年03月19日
  • レイコちゃんと蒲鉾(かまぼこ)工場

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    かまぼこ。かまぼこ工場に勤めるひとりの男が主人公。かまぼこ工場でのお仕事のお話とレイコちゃんとのお話が織り交ぜられているのですが、とにかく不思議なのに妙にリアルなお話が続いていきます。文体は読みやすく、味わい深い。読後、かまぼこを見る目がちょっと変わりました。かまぼこ。

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    2009年10月04日
  • 未来製作所

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    いろんな未来の形があって、わくわくするなあ。どの話もなんか、ちゃんと未来なのに、あったかくてやさしくて、環境が変わっても人々の心の感じは変わっていないようで、手を伸ばせば届きそうな、なつかしいような、現実味があった。

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    2025年09月30日