北野勇作のレビュー一覧

  • 100文字SF
    100文字という制限下でSFを綴る。
    読んでいて思うのは、この100文字という制限であるからこそ、無限に広がる世界が内包されているのだな、という感覚。

    これは、FC時代からゲームに親しんできた世代なら共感してくれるだろうと思います。あの荒いドットで表現された世界に、どれだけ興奮し没入して、描ききれ...続きを読む
  • 主役コンプレックス
    本の主人公は必ずと言って良い程、ハッピーエンド。
    現実では、失敗の方が多いのに、、、。
    そんなことを思ったことがある人に読んで欲しい。私も考えが変わった。
    ハッピーエンドのその後や、当たり前のように読み流している文について想像力を膨らませれば、あなたの知らない物語が見えてくる。
  • 悪役リメンバー
    「だれもが知っている話をだれも知らないかたちで」とのことだけれど、知らない話でも十分楽しめる。

    中学生の朝読書にもおすすめ。
  • カメリ
    ヒトのいなくなった世界でヒトの世界を夢想して過ごすカメリたち。
    私の今いる世界に外側から思いを馳せるノスタルジーになぜか胸がしめつけられる。
  • 100文字SF
    「54字の物語」や「一行怪談」のような超ショートショート集。
    SFだけあって星新一先生みたいな話もあれば、ホラーに近い奇妙な話もあって面白かった。
    話の前後があれこれ想像でき、世界を拡げてみられるものが特に面白いと思った。
  • きつねのつき
    こちらも再読ですが好きです。
    ぼんやりと見えてくるとおとかあと春子が暮らす世界の状況はとても厳しいのですが、ほのぼのしていました。「保育園送り迎えSF」。
    春子はとても可愛くて子育ての大変さと子どもの成長のきらめきも感じたのですが、とおは何かよく分からないものですし、かあは家の天井と融合している。
    ...続きを読む
  • レイコちゃんと蒲鉾(かまぼこ)工場
    ユーモアあるSFかと思って楽しみにしていたのに、瞬間的な怖さと沁みてくる恐ろしさが思っていた3倍くらいだった。他の作品も読みたい。
  • きつねのつき
    大災害に見舞われ壊滅し、再構築され隔離された『人に化けた者』が生きる町で生きる家族の物語



    少し詳しく書くと人間が作り上げた人工巨大人による暴走によって街を破壊し、人工巨大人の超活性細胞が人間を飲み込み、そして人間に呑み込まれ、互いに『生きる』ために再構築された世界で生きる家族の物語です。妻は、...続きを読む
  • カメリ
    ヒトが作り出したレプリカメ、カメリのお話。壊れた世界でヒトがいなくなって代わりにヒトデナシが世界を修正する世界。そこのカフェで働いているカメリ。ちょっとした冒険をしたり、ヒトデナシやマスターなどの役に立ったりする。可愛い模造亀。

    森見登美彦さんが解説を書いている!と思って手にとって、珍しく解説から...続きを読む
  • カメリ
    北野勇作ワールドらしくて久々に好きな作品
    人類がどっかに行ってしまった地球で、人類の日常を模倣して過ごす模造カメ、戦闘ヌートリア、そしてヒトデナシ達。
    夢と現実の境目がわからない、寝起きのぼんやりした時間のようなものが優しく流れています
  • かめくん
    やわらかい文章、キャラクターの中にとこらどころにゴリゴリしたものが隠れてる。キャラクターはみんな優しいのに隠れてる世界は優しくなさそう。でも優しくなさそうな部分は隠れていてよく見えない。気になるけど霞の向こう。
  • 恐怖記録器
    なんだかよく分からないのに、何かが分かりそうで何度も読み返してしまうけど、未だはっきりとした筋は見えない。
  • かめくん
     大阪で暮らすロボット「かめくん」の目を通して、ちょっと不思議な世界を描く。
     『日常系SF』と呼んでもいいだろう。
     いや、ライトノベルのレーベルから発売された作品が日本SF大賞を受賞したのだから、『日常系ラノベSF』と言うべきか。
     切ないラストが涙を誘うが、何度も読み返したくなる。
  • かめくん
    SFだと言われても最初ピンとこなかった。
    ただ、物語全体にわたって、諦念と不安感がつきまとい続けていて、それが、少しほのぼのして見える「かめくん」の語り口とミックスされて、読み進めずにはいられない原動力になって、夢中で読んでしまった。
    カメの哲学と世界観は難しくて直感的で面白い。
    不思議な物語だった...続きを読む
  • かめ探偵K
    再読。
    北野さんの本は再読する時のほうがおもしろいのはなぜだろう。私に読解力がないからか。ちゃんと読んでるつもりなのに新しいイメージが湧いてくる。
    「かめくん」もいいけど、こちらの方がTVアニメにしてほしい。去年のピングドラム系ののりでやったら合うのではないかと思う。
    少女キャラが何人か出てくるから...続きを読む
  • かめくん
    ああ、10年前に読めていたら良かったな。こんな面白い小説があったなんて。復刊で出会えてほんとうに良かった。

    微笑ましいんだけどなんだかかなしくて、いつのまにかかめくんの目線で世界を見ている。少しだけ泣く。この小説世界に浸っていたい。
  • かめくん
    北野SFの原点にして、一つの到達点であり、後の北野勇作のすべてが集約された傑作物語。
    また、2000年代の日本SF復活の幕開けとなる長編の一つ。

    10年ぶりの再刊で読み返したけど、10年間に北野勇作の作品をいろいろ読んだので、10年前より作品がより理解できるようになったと思う・

    背景レイヤにかな...続きを読む
  • かめくん
    優しくて、温かくて、どこか懐かしくて、
    そこはかとなく不安さを感じるおぼろげな世界。

    SFだしファンタジーなんだけど、相手はかめなんだけど、
    かめくんが感じている「不確かさ」には、共感を覚えてしまいます。

    ちょっと哀しいけれど、ゆったり浸っていたい
    ほんのりとあったかい世界ですw。
  • かめくん
    不思議な世界観。
    いえ、SFの設定としては決して珍しいものではないのですが。

    かめくんは「レプリカメ」です。
    亀に似せて作られました。
    人に混じって生活していますが仕事や生活面で弱い立場です。
    作られた存在ですがりんごやパンの耳を買って食べます。
    口がきけなくてワープロを使って会話します。
    そうい...続きを読む
  • レイコちゃんと蒲鉾(かまぼこ)工場
    暴走して社員を襲ったり蒲鉾にしちゃったりする蒲鉾を製造管理している工場が舞台のお話。
    不条理展開のおかしな生活が描かれているなあ、とまったり読んでいたら終盤で意表をつかれてしまってすっかりお気に入りに。
    読み終わってからしばらく経つけど、不思議な余韻は今も自分の中に残ったままです。
    大好きな一冊。