北野勇作のレビュー一覧

  • レイコちゃんと蒲鉾(かまぼこ)工場
    かまぼこ。かまぼこ工場に勤めるひとりの男が主人公。かまぼこ工場でのお仕事のお話とレイコちゃんとのお話が織り交ぜられているのですが、とにかく不思議なのに妙にリアルなお話が続いていきます。文体は読みやすく、味わい深い。読後、かまぼこを見る目がちょっと変わりました。かまぼこ。
  • かめくん
    カメはなぜか好まれている。

    助けたカメは竜宮城へ連れて行ってくれるし。
    ガメラは子どもの味方だし。
    ウサギにだってかけっこで勝つし。
    「亀は意外と速く泳ぐ」って題名の映画まであるし(意外って言われるのも心外)。

    「この宇宙のすべては、たったふたつの要素に分けることができる。すなわち、甲羅の内と外...続きを読む
  • 100文字SF
    こういうのは毎度、字数が少な過ぎてよくわかんなくなってしまったやつと、字数足らずであやふやなところも深読みの余地があるバランスの上手いやつの二種に分かれるのだけど、今作に関しては、表紙・裏表紙、巻末の他作品紹介や帯の推薦文句までもが100文字で収められているというところが、隅々まで手が込んでいて面白...続きを読む
  • 100文字SF
    SFというより詩や短歌みたいな趣きのある文章集。短い文章なのに懐かしさや壮大さを感じられるものがたまに見つけたときは嬉しい。読む人の人生経験にかなり依存するのかもしれない。
    スキマ時間に読めるので気軽です。
  • カメリ
    森見登美彦解説、大納得!ちょっと不思議でカワイイストーリー。
    他の作品も読んでみたい。ヌーとリアがかわいい。
  • カメリ
    ストレートにカメでアメリ。ちょっといい加減なマスターの開いた喫茶店で、姉御肌な同僚やにぎやかな常連客に囲まれて、日々忙しく過ごす。それだけなら、古き良き純喫茶の一幕に見える。でもカメリは模造亀(レプリカメ)。マスターはシリコンの石頭だし、同僚はヌートリア的なもので、常連に至ってはヒトならぬヒトデナシ...続きを読む
  • 100文字SF
    娘の話で始まり、娘の話で終わる。たぶん父と娘かな。一篇が100文字なので読みやすい。よくも悪くも短すぎるため、やはり中には、何がどうしてそうなったのか、途中経過がとても気になる作品がある。ぜひ中編か長編で。せめて短編で読みたいという欲が出る。ネタが面白いゆえの物足りなさ。小説を読んでいるというより、...続きを読む
  • カメリ
    好きなポッドキャスト「謎解き!ハードボイルド読書探偵局」で一編ずつ精読する読書会が行われていて(あと3編は配信まだ)、正直そっちを愉しむために読んでみようか、という不埒な動機だった。
    が、えらく面白くて、大好きになった!

    北野勇作さんは「NOVA」などアンソロジーで数編読んだだけ。
    朝宮運河・編「...続きを読む
  • 100文字SF
    妄想癖のあるようなタイプの読書家にのみ(ここ大事)オススメできる変な本。

    文字数が少ないということは表現できることに大きく制限がかかるということ。そのため、何を言っているのかよく分からないというような文章になりがちなのにも関わらず、しっかりまとめられていてビビる。SFというジャンルもあって、サラッ...続きを読む
  • カメリ
    河出文庫の斉藤壮馬さんとのコラボ作品で知りました。
    不思議な話。人間がいなくなった世界で、ニセモノの生き物(?)たちが生活をしている。テレビのシーンがあり、それを模倣して、なり切って生きているような「ヒトデナシ」という人間を似せた生き物。ヒトデナシの存在が、コミカルのような寓話っぽく描かれているよう...続きを読む
  • カメリ
    ヒトの消えた世界。ヒトのように振る舞うヒトではないものたち。二足歩行型模造亀カメリの視点で、この奇妙な世界を探訪する連作短編集。

    ヒトのいた頃とは似て非なる世界は、いちど壊れてしまい今は修理中らしいが本当にそうか。
    健気に死ぬまで働き続ける気の好いヒトデナシたちは、本当にヒトではないのだろうか。
  • 100文字SF
     さて困りました。これをどう紹介したらいいものか。そんなこと、言われたほうが困るとは思うのですが。内容が内容なので、説明がどうにも難儀である。でもとりあえず、何とかやってみようと思います。

     というわけで、北野勇作著『100文字SF』。名は体を表す、読んで字のごとく、そのままずばりの内容で、著者が...続きを読む
  • 100文字SF
     面白く読んだ。百文字だと書けることも限られるし、センス・オブ・ワンダーに満ち満ちた作品集だとは思わなかったが、構成力の妙を味わえる。
  • 100文字SF
    以前ふと作者のツイッターに飛んだことがありそこで100文字SFを音読する奇妙な動画(しかも大好きな空気感)に出会ってからずっと読みたかった1冊。最高に良すぎて、たった数行ほんとに100文字なのに次から次へと色んな世界線のSFが頭の中になだれ込んでくる感じでずっとニヤニヤしながら妄想力逞しく読んでしま...続きを読む
  • 100文字SF
    個人的に日本の作家で最も信頼している書き手、北野勇作の新作。平易な単語の隙間から見える、どこか抜けていてかつ不穏な空気は『かめくん』の頃から変わらず健在。どうやら本作結構売れているようで、いちファンとしてはやっと世間にこの才能が伝わってくれたか、と嬉しく思う。
  • 100文字SF
    100文字でSFの世界が広がっていて楽しかったです。
    Twitterでも読んでいますが、まとまって紙の本になると何度でも読めて良いです。
    可愛いものちょっとゾクッとするもの哀愁漂うものと色々……現在も続いている100文字SFなのでまたまとまって本になってくれるといいなぁ。
  • 未来製作所
    武漢ウイルス蔓延により、はからずも数多の余剰時間が出来まして。
    ひさぶりに本でも読もうかなぁ?と。
    でも?いきなり中長編はなぁ?と。
    ぢゃあ!星新一先生!てのも短絡。
    アンソロジーやショート集を読みたいな?と本著に出会い、田丸雅智さんをはじめショートショートの旗手の方々にも出会いました。

    ワンルー...続きを読む
  • かめくん
    かめくんです。それ以上でもそれ以下でもない。宮沢賢治を彷彿とさせるオノマトペが多く、全体的な雰囲気としてはかなり柔らかく読みやすい。ただ、その印象は読み手の心境の投影でしかなかったことが最後まで読めば伝わるだろう。終始一貫して安易なセンチメンタリズムや叙情性に流されることなく、かめくんはかめくんとし...続きを読む
  • 主役コンプレックス
    悪役、脇役に続き主役がテーマ。お伽噺・昔話のリメイクって楽しい。白雪姫だって嫉妬するし、浦島太郎は竜宮城に戻りたいだろう。金の斧銀の斧は余計なサービスしすぎ。
  • 脇役ロマンス
    どの物語も趣向が凝らしてあり面白かったです。
    竹取ではおじいちゃーん!と心の中で叫び通し。
    ロミジュリでは、ロザラインって何処にいたっけ?と原作捲ってベンヴォーリオとの会話シーンに会話の中にのみ出てくる令嬢と確認。青年が誰を待っているのかはすぐにピンときてしまったけど、良い締めでした。
    羅生門。羅生...続きを読む