【感想・ネタバレ】100文字SFのレビュー

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Posted by ブクログ

100文字という制限下でSFを綴る。
読んでいて思うのは、この100文字という制限であるからこそ、無限に広がる世界が内包されているのだな、という感覚。

これは、FC時代からゲームに親しんできた世代なら共感してくれるだろうと思います。あの荒いドットで表現された世界に、どれだけ興奮し没入して、描ききれなかったことも描かなかったことも想像し世界を構築してきたことか。
技術の進歩によって解像度が上がったことは素晴らしいことであって、現実との境目があやふやになってきているのは、高精度の限界に挑戦していくということで頼もしいことです。ただ、見えるものに感動するのと、見えないものを補完して感動するのは違った喜びであるのです。

そんな懐かしさに打ち震える100文字の数々でした。

『定期的に襲ってくる人食い巨大怪獣への対策として行われたのは人を巨大化する計画。誰かひとりが巨人となって戦う。勝てるんですか。勝てなくても、今回から食われるのはひとりで済むだろ。あんなに大きいんだから』
『妻と娘が揃って工場へ。おせち料理を作るために行くのだという。それで工場へ、というのがじつはよくわからないのだが、彼らにもいろんな事情があるのだろう。嘘をついてはいないはず。そういう機能はないからな。』
『もともとあそこは高地などではなかった。ただ周囲が沈下していっただけ。そのとき、あそこだけは沈まず、それで周りよりも高くなったのだ。ついでに言えば、もともと我々はヒトではなかった。ただ周囲が以下略。』

ふと思い出した3つを引用。ちょっとしたブラックさが好みなのかな。限られた制限下ではオチとして優秀なのかもしれないな。好き。

感想も100文字で、なんて考えもしたのだけど、全くと言っていいほどにまとまらない。長文でも短文でも読ませる力を含んだ文を書くというのは、相当のことだと再確認です。

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2023年02月18日

購入済み

「54字の物語」や「一行怪談」のような超ショートショート集。
SFだけあって星新一先生みたいな話もあれば、ホラーに近い奇妙な話もあって面白かった。
話の前後があれこれ想像でき、世界を拡げてみられるものが特に面白いと思った。

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2020年06月22日

Posted by ブクログ

こういうのは毎度、字数が少な過ぎてよくわかんなくなってしまったやつと、字数足らずであやふやなところも深読みの余地があるバランスの上手いやつの二種に分かれるのだけど、今作に関しては、表紙・裏表紙、巻末の他作品紹介や帯の推薦文句までもが100文字で収められているというところが、隅々まで手が込んでいて面白かった。ここまでやるのか、と爆笑した。SFという点も、だいぶ自由で、気軽に未確認生命体が出てくるのが良かった。SFの世界観だと人類の扱いが雑で楽しい。

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2022年12月12日

Posted by ブクログ

SFというより詩や短歌みたいな趣きのある文章集。短い文章なのに懐かしさや壮大さを感じられるものがたまに見つけたときは嬉しい。読む人の人生経験にかなり依存するのかもしれない。
スキマ時間に読めるので気軽です。

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2022年11月10日

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ネタバレ

娘の話で始まり、娘の話で終わる。たぶん父と娘かな。一篇が100文字なので読みやすい。よくも悪くも短すぎるため、やはり中には、何がどうしてそうなったのか、途中経過がとても気になる作品がある。ぜひ中編か長編で。せめて短編で読みたいという欲が出る。ネタが面白いゆえの物足りなさ。小説を読んでいるというより、詩集を読んでいる感じに近かった。

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2022年07月22日

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妄想癖のあるようなタイプの読書家にのみ(ここ大事)オススメできる変な本。

文字数が少ないということは表現できることに大きく制限がかかるということ。そのため、何を言っているのかよく分からないというような文章になりがちなのにも関わらず、しっかりまとめられていてビビる。SFというジャンルもあって、サラッと読んでしまうと「何のこっちゃ??」となるのも仕方ない。じっくり読むべし。

この本は、自分なりの解釈を、余白にどんどん書き込んでいくのが面白い。はじめからそうすることを想定されているかのように余白が配置されているのもいい。「正しい解釈なんかどうでも良い、自分なりに解釈しながら楽しむのが読書だ!」なんて人には是非おすすめの一冊。個人的には、一話ごとに自分でタイトルをつけていくのが楽しかった。

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2022年01月27日

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 さて困りました。これをどう紹介したらいいものか。そんなこと、言われたほうが困るとは思うのですが。内容が内容なので、説明がどうにも難儀である。でもとりあえず、何とかやってみようと思います。

 というわけで、北野勇作著『100文字SF』。名は体を表す、読んで字のごとく、そのままずばりの内容で、著者がTwitterで綴ってきた(そして今もなお書き続けている)ほぼ100字の小説集です。

 もとはといえば、キノブックスから『じわじわ気になる(ほぼ)100字の小説』という児童書のシリーズとして刊行されていましたが、担当編集者の退職を機に、方針の変更で打ち切りとなってしまったとのこと。

 その後もTwitterでは投稿を続けつつ、やはり改めて書籍化したいという思いから、「興味のある方は連絡ください」と掲げていたところ、早川書房よりこうして、晴れて一冊にまとめられる運びとなったそう。

 著者の北野勇作は、日本SF大賞受賞作の『かめくん』をはじめ、寡作ながらSF分野では定評あり。コミックエッセイ『年収150万円一家』(森川弘子)に登場する、夫のSF作家としてお馴染みの方もいるかも。

 めでたく重版もされているという本書には、厳選された全200編が収録。現在も「#マイクロノベル」という呼称とハッシュタグで日々書き続けられる物語の数は、すでに2,000を超えているとか。

 真っ白な表紙にイラストなし、文字オンリーの潔いデザイン。裏表紙のあらすじ文も、カバー見返しの著者プロフィールも、巻末の既刊・新刊紹介に、帯の推薦文まですべてほぼ100字という徹底ぶりに驚嘆。

 つきましては、今回の紹介文も頭を捻りまして、「ほぼ100字」のパラグラフばかりで構成してみました。ぎりぎりまで削ることで濃厚に凝縮された、珠玉のSFエッセンスを、じっくり存分にお愉しみください。

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2021年06月14日

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 面白く読んだ。百文字だと書けることも限られるし、センス・オブ・ワンダーに満ち満ちた作品集だとは思わなかったが、構成力の妙を味わえる。

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2021年02月25日

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以前ふと作者のツイッターに飛んだことがありそこで100文字SFを音読する奇妙な動画(しかも大好きな空気感)に出会ってからずっと読みたかった1冊。最高に良すぎて、たった数行ほんとに100文字なのに次から次へと色んな世界線のSFが頭の中になだれ込んでくる感じでずっとニヤニヤしながら妄想力逞しく読んでしまう。そういうの大好きなので永遠に読みたい。

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2020年11月12日

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個人的に日本の作家で最も信頼している書き手、北野勇作の新作。平易な単語の隙間から見える、どこか抜けていてかつ不穏な空気は『かめくん』の頃から変わらず健在。どうやら本作結構売れているようで、いちファンとしてはやっと世間にこの才能が伝わってくれたか、と嬉しく思う。

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2020年09月12日

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100文字でSFの世界が広がっていて楽しかったです。
Twitterでも読んでいますが、まとまって紙の本になると何度でも読めて良いです。
可愛いものちょっとゾクッとするもの哀愁漂うものと色々……現在も続いている100文字SFなのでまたまとまって本になってくれるといいなぁ。

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2020年08月15日

Posted by ブクログ

感想を書くと本編の作品より文字
数が多くなってしまう可能性が高
くちょっと変な感じだ。何とか100
文字ぴったりにしようと画策して
いるが、なかなかこれが難しい。
100文字の物語の行間をいかに読
むか、それが楽しい。

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2023年03月12日

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こういうの好きです。
余白が多いデザインも、わかっていらっしゃる・・・、
行間を読むことにフェチがあるような、例えば二次創作を嗜むオタクにも刺さりそう。

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2022年01月22日

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著者のTwitterで毎日更新している「ほぼ百字小説」のなかから200篇を抜粋した掌編小説集。


15字×7行の正方形に近いフォーマットに、1ページに1篇ずつのレイアウト。元は1ツイート140字以内に収めるための制限が、紙に印刷されることで詩情を放ちだす。
北野さんの作品を読むのは初めて(Twitterでほぼ百字小説はたまに読んでいる)だが、この人は亀をトーテムにでもしているのだろうか。亀の登場回数がやたらと多い。それと学校や子どものでてくる(一見)ノスタルジックな話、特撮関係のモチーフもよくでてきて、ほぼ100字という形式もあるためか笹公人の〈念力〉短歌シリーズを連想せずにはいられない。制限内の文字数でおはなしを語るという試みは、どうしても短歌と俳句という定型詩の強度に感じ入ってしまうところがある。
けれどこの『100文字SF』は、例えば書き出し小説大賞などの投げっぱなしな自由さとは違って、ちゃんと1篇のなかで話を完結させているのが偉いと思う。アメリカンジョークじみたのや、落語のオチのようなの、ホラーのようにヒヤッとするものもある。一番好きなのは143ページ。

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2021年06月04日

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ちょっとぞくっとする。
SFってなんだろう、みたいなのがなんとなくわかったような。
100文字で広がる宇宙。

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2021年05月16日

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100文字という制限の中、世界観がパッと広がるのがすごい。
きれいにオチがついているものから、後味の引くものまで多種多様でどれも楽しめた。

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2021年01月14日

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・一篇100文字のSF小説がいっぱい。ファンタジーとしてもいいかもね。夜見た夢の話を聞かされているようでもある。それらしく、おもしろくもありタイクツでもある。
・まあ、発想集のようなものか。人気作家がやるから喜んでもらえるといった類いの本。
・だんだんアフォリズムっぽくなっていくようで、そこはマイナス。
・気に入ったのは、花瓶の中で死んだ妖精の話。坂道の商店街の話。ダムの底の村の話。シャボン玉の中で暮らす話。好きだったあの坂の町の話。いい空き地の話。落ちた宇宙ステーションの話。不完全な神の卵の話。未使用テイク集の話。地獄の観測の話。地下に広がる砂漠の話。妻の形の空白。渦を飼っている話。

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2020年12月11日

Posted by ブクログ

すべて100文字で書かれたSF作品をこれだけ(しかももとのツイッターはこの十倍の量でさらに継続中!とか)そろえるのはすごい才能。SF定型詩集やや不条理とでもいうべきか。ま、個人的には詩集はちょっと苦手なんですけどね(^^;)

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2020年08月23日

Posted by ブクログ

100文字(100枡)に収める作業は、短歌とか俳句とかに似ているのかもしれない。「SF」で縛ることで普通のショートショートより難しくなっていそう。ただこんなにたくさんあるとちょっと食傷気味になる。お気に入りは、p.15「あの金属の塔、~」、p.19「嵐の翌朝、~」、p.34「不法投棄され~」、p.66「毎晩時刻たがえず~」、p.149「自動車の自動運転が~」、p.160「亀の動きで~」。

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2020年08月09日

Posted by ブクログ

twitterの様に限られた文字数で満足のいく表現をするのは極めて困難なのに、SF的な内容で纏め上げるのはかなりの高等技術が必要。俳句・短歌では無理だし、これが約2,000の作品からの抜粋であることも驚き。重複するアイディアもあるかもしれないが、それらを書ききることにもある意味凄さを感じる。短編のネタ帳とすれば、かなりのアイディアをお持ちなので、その方面での執筆もお願いしたい。もしかしたら、結果的に他の作家さんにもアイディアを提供してしまったことになったかもしれないが、それはそれで業界にある意味での影響を与えた考え方・作品になったと信じたい。

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2020年06月28日

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