乃南アサのレビュー一覧

  • 火のみち(下)

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    ◆あらすじ◆
    妹は女優として成長し、刑期を終えた次郎も独立して窯を開く。
    暗い過去ゆえに兄妹を名乗れないながらも家族の絆が深まる中、次郎は中国宋代の青磁・汝窯に魅入られる。
    「雨上がりの空の色」と称される幻の器を自らの手で甦らせたいという激情はどこへ向かうのか。
    戦後昭和という時代を描ききった意欲的長編。

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    2009年11月06日
  • 不発弾

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    ◆あらすじ◆
    デパート勤務の的場智明は、地味な売り場での仕事に耐える日々を過ごしていた。
    そんな折、息子や娘の"秘密"を妻までが一緒になって隠していたことに気づく。
    たまりにたまった憂さをはらすために彼がとった行動とは……。
    表題作など、現代人の爆発寸前の心境を的確に捉え、見事な筆致で描く、秀逸短編集。

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    2009年11月06日
  • ライン

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    ◆あらすじ◆
    一本の線だけで結ばれている、宙に浮かんだような若者たち。
    深夜のパソコン通信に嵌る小田切薫の周りで次々殺人事件が起こる。
    それぞれの道を歩む高校の同級生たちは、友情と嫉妬が複雑に絡み合い……。
    オンライン社会の若者の心の揺れを描く、直木賞作家の傑作ミステリー。
    (『パソコン通信殺人事件』改題)

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    2009年11月06日
  • 二十四時間

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    ◆あらすじ◆
    幼なじみの"よっちゃん"は、会う度に違った。
    私立の詰め襟中学生、暴走族の高校生、恋する浪人生。
    でもその内面はいつも温かで……(「二十二時」)。
    子供の頃、雪の積もった帰り道を歩いた、
    方向感覚を失って、"遠く"という"悲しく寂しい場所"に迷い込んでしまった(「十七時」)
    人生のそれぞれの風景を鮮やかに切り取った、私小説の味わいを残す、切なく懐かしい二十四の記憶。

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    2009年11月06日
  • あなた(上)

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    ◆あらすじ◆
    秀明はやや軽めの明るい浪人生。
    明るいといっても二浪目に突入したのだから、多少の屈託もないわけではない。
    しかし、女子大生の彼女もちゃんといて、携帯メールを間断なくやりとりして、にやけてみたり、ふて腐れてみたり……。
    受験の年の元日の未明、秀明の身体を異変が襲った。
    胃を握り潰されるかのような激しい吐き気、強烈な圧迫感。
    それは底なしの恐怖の序章に過ぎなかった。

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    2009年11月06日
  • あなた(下)

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    ◆あらすじ◆
    秀明を見つめ続ける不気味で執拗な視線。
    秀明がどここにいても、何をしていてもその「目」は彼から離れない。
    大学生になった秀明は、美貌の音大大学院生カンナに恋をした。
    その恋は、今までの浮かれた恋ではなく、本気の恋だった。
    そして、その「目」は狙いをカンナにも広げた。
    激しい恐怖がカンナを襲う。
    秀明は立ち上がった……。
    哀しく切なすぎる恋心を描いた青春ホラーの金字塔。

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    2009年11月06日
  • 行きつ戻りつ

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    ◆あらすじ◆
    どこの家庭でもありそうな、でも他人には言えない妻の悩み───夫との冷え切った関係、姑との対立、病死した一人息子への想い、受験生を抱えるつらさ、あるいは生活費の工面や、男友達との密会だったり……。
    それぞれに事情を抱えた妻たちは、何かを変えたくて旅に出た。
    新鮮な風景と語らいが、少しずつ彼女の強張った心を解きほぐす。
    切ないけど温かい、家族を見つめた物語集。

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    2009年11月06日
  • ダメージ―そこからはじまるもの―

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    ◆あらすじ◆
    「まず、傷ついている自分を認める。どんなに好きな人であっても、傷ついてないている自分を受け容れること───」。
    女性の心理を書かせたら、ピカイチの著者が、あなたを慰め、叱り、元気づける。
    20代の女性なら、誰もが抱える恋愛や友情、人生の悩みに、乃南さんが真摯に向き合って語りました。
    エッセイのようにも小説のようにも読める、そんな深い味わいが魅力の傑作モノローグ集。

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    2009年11月06日
  • 死んでも忘れない

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    ◆あらすじ◆
    夫婦と、息子ひとりの3人家族。
    どこにでもある、新興住宅地の平穏で幸福な一家だった。
    妻が妊娠したことで、新たなる喜びに一家は包まれる……はずだった。
    しかし、ある朝、夫が巻き込まれた小さな事件が思いもよらぬ展開を見せ、彼らの運命を大きく狂わせていく───。
    次第に追い詰められ、崩壊に向かう家族に果たして救いはあるのか?
    現代の不安を鋭くえぐった心理サスペンス。

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    2009年11月06日
  • 団欒

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    ◆あらすじ◆
    ばぜ自分にこの親、この兄弟姉妹なのか。
    いつもやたらとベタベタしているのに、実はバラバラだったりする。
    「家族」ってよくよく考えてみれば、ヘンなものだと思いませんか?
    この本には、なかでもきわめつけのヘンな家族が登場します。
    深夜、息子がいきなり彼女の死体を連れて帰ってきたり、夫婦の寝室に「ママ」がいたり……。
    これに比べれば、お宅はまだまだ大丈夫でしょう?

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    2009年11月06日
  • 花盗人

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    ◆あらすじ◆
    「あなたが私にくれたものは、あの桜の小枝だけ。あなたが盗っていったものは、私のすべて」───。
    自立できない夫との生活に疲れた女は逃げ場を求めた。
    しかしそれが彼女の「脱線」の始まりだった……。
    表題作のほか、「最後の花束」「脱出」など、怖くて意外な結末が詰まった全10編。
    デビュー当時から直木賞受賞第一作まで、乃南アサの幅広い作風が楽しめる文庫オリジナル短編集。

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    2009年11月06日
  • 再生の朝

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    ◆あらすじ◆
    十月七日午後五時三十分。
    萩行きの夜行高速バスが品川のバスターミナルを出発した。
    乗客乗務員は十二人。
    約十四時間で目的地到着の予定だったのだが……。
    深夜に乗務員が殺害され、バスは殺人者とともに、何処とも知れぬ闇の中に放り出される。
    台風接近で風雨も激しさを増し───。
    それぞれの人生を背負って乗り合わせた登場人物たちの多視点から恐怖の一夜を描く、異色のサスペンス。

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    2009年11月06日
  • トゥインクル・ボーイ

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    ◆あらすじ◆
    天使のような笑顔を浮かべると、出会う者はみな思わず「可愛い!」と声を上げてしまう。
    大人たちを自分の魅力のとりこにし、望むものを手にしてきた小学1年生の少年、拓馬には、ある秘密の「趣味」があった。
    場所はたそがれの競馬場───。純真、残酷、妖艶、粗暴、嘘言……。
    正常と異常の狭間に立つ幼児たちの危うい心理を描き出した、現代の「恐るべき子どもたち」ともいうべき7編。

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    2009年11月06日
  • 家族趣味

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    ◆あらすじ◆
    人生は楽しく、充実していなければ。そこそこ出世した旦那に、健康な息子。
    私の仕事も順調だ。そして恋も……。
    次々に年下の男性との不倫関係を重ねてゆく、奔放な主人公を待ち構えていた運命は?
    表題作をはじめ、宝石にとり憑かれた女の破滅的生活を追う「魅惑の輝き」、少年の底知れぬ不可解さを描いた「デジ・ボウイ」など、日常に潜む狂気を抉った直木賞作家の傑作短編5編。

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    2009年11月06日
  • 6月19日の花嫁

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    ◆あらすじ◆
    私は誰───?
    6月12日の交通事故で記憶を失った千尋。
    思い出したのは、一週間後の19日が自分の結婚式ということだけだ。
    相手は一体、誰なのか。
    "自分探し"を始めた千尋の前に、次々と明かされる予想外の事実。
    過去のジグソー・パズルは埋められるのか……。
    「結婚」にゆれる女性心理を繊細に描き、異色の結末まで一気に読ませる、直木賞作家のロマンティック・サスペンス。

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    2009年11月06日
  • 幸福な朝食

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    ◆あらすじ◆
    女優を目指して上京した少女は、運命の悪戯に全ての夢を打ち砕かれ、孤独のうちに歳月を過ごしてきた。
    だがその男との出会いを境に、心の底に凍てついた狂気がゆっくりと溶けはじめる。
    ……なぜ忘れていたのだろう。
    あの夏から、私は妊娠しているのだ。
    そう、何年も、何年も、この子は待っていてくれたのよ……。
    濃密な心理描写が絶賛された直木賞作家のデビュー作、待望の文庫化。

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    2009年11月06日
  • 夜離れ

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    甘えん坊の摩美としっかり者の朋子。摩美の彼氏に一目惚れしてしまった朋子が、摩美の結婚式で行なった禁断のスピーチとは…「祝辞」。銀座のホステスから地味なOLに戻り、着実な結婚をめざした(私)を襲った突然の不幸…「夜離れ」。結婚に憧れる女性たちが、ふと思いついた企みとは?ホントだったら怖いけど、どこか痛快な気分にも。微妙な女心を描く6つのサスペンス。

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    2010年05月24日
  • ヴァンサンカンまでに

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    <ネタバレ>
    おもに不倫の話。荻島の妻にいたずら電話してたのが翠だった、っていうのは、本当にびっくりしてしまった。これ、伏線読み取れた人、どれくらいいるんだろう?少なくとも私は全然気付かなかったです。翠はもっとサバサバしてるんだと思った。でも、よく考えたら、不倫なんかしてたら、どこかで自分の存在が消されてることにもやもやして、存在主張をしたくなるかもね。うーん、、、わかる。
    荻島の家庭が少し良くなってくる前兆だけ見せて、物語は終わってしまうんだけど、それは本当に良かった。いつでも犠牲は子どもにくる。子どもたちの荒れはやっぱり読んでいて嫌な気分だったから。なんか荻島家だけで1冊本が書けそうだと

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    2009年10月04日
  • 死んでも忘れない

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    ストレートに感じるならば、意識的な“忘れない”よりも記憶として“忘れられない”が合っている気がする。
    まるくおさまる辺りが、捻た私としては納得行かなかったりする。

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    2009年10月04日
  • 6月19日の花嫁

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    自分の誕生日という理由で手に取りました。

    もっと人がばんばん死ぬかと思いきや違った。
    記憶喪失の自分の過去を探すというミステリー(?)。
    というか、あの彼がなんで印象悪く書かれているのか
    わからない。
    感じ悪いし、でも結婚相手なわけでしょ?うむ
    そしてなんか少し男性の言葉遣いが白々しい。

    けど展開はぐいぐい入り込め、楽しかった。
    最後は??でした。

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    2015年11月12日