五十嵐貴久のレビュー一覧
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ネタバレ同作者の「リカ」で気持ち悪くなるほどの戦慄を覚えさせられた記憶があり、スリリングな展開が期待できるかなーと思って手に取ってみたのですが、期待通りの内容でかなり満足。
リスナーの自殺予告が届いたとある深夜ラジオ番組。その関係者たちがそのリスナーを捜し出すと言うシチュエーションが、非常事態な上に時間制限もあり、とてもとても絶望的な状況。そんな状況からパーソナリティを“動かし”、リスナーたちを動かし、さらにはまさかの時間延長策を用いて自殺志願者を捜し出す流れは、途中やや都合よさを感じさせられるも、終止「どうすんの?」と先の展開を気にさせられてほぼ一気読みでした。
加えて、番組関係者のラジオに対す -
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五十嵐貴久さんのパパとムスメの7日間の続編です。
ドラマから原作を知り、今では五十嵐さんの著書はとりあえず読む、
という感じの五十嵐ファンに育った自分ですが、
本作もとりあえずは続編だし読もうかな、という感じで買いました。
しかしただの続編というだけじゃなく、
十分に設定を活かした素晴らしい作品になっていました。
特に室田さんが会議室で叫ぶ一言、
そして家族が山の中で危険な状況にあるときに娘が叫ぶ一言。
この二つのシーンでジワっと涙が出てきました。
それぞれに仕事と家庭の本質を凝縮したような、
そんなシーンだったと思います。
やはり正しいことは正しいし、かけがえのないものはかけがえが -
Posted by ブクログ
フェイク【fake】
1 にせもの。模造品。まやかし。
2 アメリカンフットボールで、意図しているプレーや動作を相手に見破られないように行う
トリックプレー。
3 ジャズで、即興演奏すること。
yahoo!の辞書に載ってた。
ほんでこの本は、1と2(アメリカンフットボールじゃないけど)がかかってた。
だまし合いの戦い。
依頼者を大学に受からせる為、センター試験で完璧なカンニングを実行する。
ただ、それは罠だった。
全てを失った彼らは、復讐の為、10億円を賭けたポーカーの勝負に打って出る。
入念なイカサマをかけた仕掛け人は、決して負けるはずがなかったが・・・。
と、まぁ、お互いだましだまされ -
Posted by ブクログ
「何度だってやり直せばいいんだよ!バーカ!」
そうだそうだ!
もちろん最初からというわけにはいかない。これまでのことをなかったことには出来ない。
でも、今ここからまたやりたいことを始めればいい。そう出来るんだよってこの小説は言ってくれている。
無理だって決めつけて、見るだけだったバンドを始めた主人公達。
練習をしながらパートに通って、家事もやって…って本当に大変だけど、楽しいって気持ちが伝わってきて私も何か始めたくなった。
途中まではまさかこの小説で泣くなんて思わなかった。
でも泣いた。いいなぁ…と、良かったなぁと心から思えた。
とっても素敵なラストだったけど、終わってしまったことが寂しい -
Posted by ブクログ
五十嵐作品、初対面からは印象の良い出会い、のあとここんとこ2冊続けて「なんか違う。。」感を味わったので、もうこれが合わなければ私別れる、この恋あきらめるわ。。くらいの棘の分かれ道だったんですが、この作品はキタねー。これはぞっくぞくした。「リカ」なんかよりよっぽど、人間というものの怖さと強さを思い知る。1章の終わり、 「何も無い部屋の真ん中に、藍色の菖蒲が一花活けてある。その濃い青が、鉄之介の瞳を染めた。」ここは痺れた。やっぱりこの作者さんはどえらい創作の泉を内に持ってる。この一文は私が高校国語教師なら、後の井伊直弼である鉄之介の心情とともに解釈を書かせる授業をするね。深い失意と恨みと諦念が襲う