池田信夫のレビュー一覧
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私はずっと池田信夫という人をリバタリアンだと思い込んでいたが、そうでは無かった。
ハイエクの思想を、リバタリアニズムと表現するにはずっと保守的だし、保守というには自由すぎるということで、自由主義と名付けている。
規制されたケインズ主義への反抗であって、すべてを自由にせよと言っているわけではなく、淘汰という自然摂理が自律的に作用するからこそ、頬っておいても問題はない、だからリフレ派はおかしいというロジックに成っている。
このミッシングリンクを除外してインターネット上で話しが進んでいくため、リバタリアニズム全開なのかと疑ってしまいましたが、実際はそうではなく、自由を求めるというよりは、経済活 -
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アダムスミスから受け継がれる市場経済に立脚したハイエクの思想と、それと対峙した社会主義やケインズ主義を中心に主要な経済学思想との比較を論じている。当初は、異端であると考えられ評価されていなかったハイエクの自由主義的経済は、既に現在の米英的な資本主義経済を中心とした先進国経済の活動の中核的な理論となり主流となっている。また、フリードマンを中心としたシカゴ学派による定量的なアプローチによって経済学の前提は、自己の利益を最大限に追求する個人としての経済人であり、これが経済学を現実の社会から乖離されている。ハイエクはこうした経済人的な個人の前提を否定し、人間は常に合理的な判断をすることができないという
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地球温暖化について冒頭では真っ向から否定している(都市化のヒートアイランド現象によるものだとしている)のにもかかわらず、後半からいきなり地球温暖化が進んでいるという前提のもと解決策等を提示していた。これはつまり地球温暖化を少なからず否定はしていないということになるので、主張の一貫性が不安定な気がした。結局筆者はどちらの立場なのかがよくわからなかった。
筆者は終始さんざん地球温暖化の影響はほぼないと言い続けているが、結果今年2025年は野菜や果物等が暑さによって収穫不足になり、現にスーパーでも高いなと思うことがこの頃よくある。
個々のテーマにおける論は妥当で私も参考にはなった。ただ、p28にあ -
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・資本主義の根本的矛盾
r>g 資本収益率>国民所得の成長率
資本収益率とは株式や債券や不動産などのすべての資産の平均収益率
つまり、資産家の儲けが国民の所得の伸びより大きく増えるので格差が拡大する
・グローバル資本課税(累進課税)
タックスヘイブンに所得が逃避してる
これをとめないと最上位層の所得が補足できず税制が崩壊する
これが世界の所得の10%を占める
・キリスト教やイスラム教で行われてきたのが金利の禁止。それを徹底したのがマルクスや社会主義者。私的所有権そのものを無くそうとした。
市場経済と所有権とは、資本家が労働者を支配する道具ではなく、無数の人々を命令なしに強調させ -
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冒頭で「脱炭素対策への懐疑論」であって温暖化については否定しないというわりに、若干「温暖化懐疑論」寄りというか、どっぷり反対論という気がした。が、それなりに説得力のある内容。読みながら、二酸化炭素を悪者にするのは、人間の心のどこかに「文明への後ろめたさ」があるのではないかと感じた。原罪というと言い過ぎだが、しかし、他の生物を殺め自然を破壊しながら文明を切り開いていく罪の意識に対して、二酸化炭素悪玉論は親和性が高い。
ー このように地球温暖化によって(日本を含む)先進国では、超過死亡率が減る可能性が高い。ゆるやかな温暖化なら死亡率は減り、北国では積雪がなくなり、北海道はリゾートになるだろう。幸 -
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フリードリヒ・ハイエクは1899年生まれの経済学者で、1974年にノーベル経済学賞を受賞している(1992年に死去)。その主張のユニークさから、主流の経済学者からは無視され、知識人からは嘲笑されたという。
といって、彼の主張は別に奇異でもなんでもない。
その根幹は、いわゆる「新古典派」経済学に見られる理念的で純化された前提からではなく、「人間は不完全な知識のもとで、必ずしも合理的とは言えない慣習に従った行動をする」という、フツーに考えれば当たり前の事実から出発していることにある。
つまり、計画され、規制された社会(たとえば社会主義)はうまく機能しない。野放図では話にならないが、人々の自由 -
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前著『戦後リベラルの終焉―なぜ左翼は社会を変えられなかったのか』(PHP新書)でも論じられていた丸山眞男について、思想家としての側面と思想史研究者としての側面の両方に目配りをしながら、その全体像を著者自身の観点からえがき出している本です。
安保闘争への丸山のかかわりを論じた第5章までは、おおむね丸山の思想形成のプロセスをたどりながら、「戦後民主主義」を代表する思想家となった丸山の時代へのコミットを批判的に検証しています。丸山の「夜店」としての仕事にかんする検証は、水谷三公『丸山真男―ある時代の肖像』(ちくま新書)がていねいな考察をおこなっていますが、本書も戦後民主主義という一時代のなかに丸山 -
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この本での主張は、次の通り。
・アベノミクスに実体はないが、国民に景気はよくなるかもと思わせる「偽薬効果」はあった。でも効果はもうすぐ切れる。
・不景気の結果、デフレになった。だから、デフレ脱却しても景気はよくならない
・日銀の黒田バズーカは無意味。ハイパーインフレの可能性を高めるのみ。
・不況を脱する方法は、雇用環境の自由化
本の中で、難しい経済指数、グラフを多用して、論理的に解説しています。
日本はもう、「焼け跡リセット」つまり、ハイパーインフレを起こして、財政赤字を無くすしかないのでは?と思ってしまいます。勿論、日本経済と国民生活はめちゃくちゃになりますが。 -
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朝日新聞の従軍慰安婦報道問題や、脱原発運動のおかしさのほか、古賀茂明や孫崎享らのメディアでの発言、大江健三郎や内田樹といった文化人の論考などをとりあげて、戦後民主主義の観念論的な立場が日本社会において変えられることのないまま残りつづけていることを、厳しく批判しています。さらに返す刀で、現在の自民党政権に対しても、将来の日本が直面する課題から目を背けている点では、戦後民主主義の陥っている問題からけっして無縁ではないと批判しています。
現代のリベラルな立場に立つ論者たちの迷走ぶりを批判することに終始しており、戦後民主主義を「敗者の戦後史」としてえがき出した本とはいいがたい内容だと思いました。ただ