池田信夫のレビュー一覧

  • ハイエク 知識社会の自由主義

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    私はずっと池田信夫という人をリバタリアンだと思い込んでいたが、そうでは無かった。

    ハイエクの思想を、リバタリアニズムと表現するにはずっと保守的だし、保守というには自由すぎるということで、自由主義と名付けている。

    規制されたケインズ主義への反抗であって、すべてを自由にせよと言っているわけではなく、淘汰という自然摂理が自律的に作用するからこそ、頬っておいても問題はない、だからリフレ派はおかしいというロジックに成っている。

    このミッシングリンクを除外してインターネット上で話しが進んでいくため、リバタリアニズム全開なのかと疑ってしまいましたが、実際はそうではなく、自由を求めるというよりは、経済活

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    2010年06月08日
  • ハイエク 知識社会の自由主義

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    アダムスミスから受け継がれる市場経済に立脚したハイエクの思想と、それと対峙した社会主義やケインズ主義を中心に主要な経済学思想との比較を論じている。当初は、異端であると考えられ評価されていなかったハイエクの自由主義的経済は、既に現在の米英的な資本主義経済を中心とした先進国経済の活動の中核的な理論となり主流となっている。また、フリードマンを中心としたシカゴ学派による定量的なアプローチによって経済学の前提は、自己の利益を最大限に追求する個人としての経済人であり、これが経済学を現実の社会から乖離されている。ハイエクはこうした経済人的な個人の前提を否定し、人間は常に合理的な判断をすることができないという

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    2011年03月16日
  • ハイエク 知識社会の自由主義

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     最近、注目されることの多いハイエクの入門書。ハイエクは自生的秩序を重んじ、計画主義には批判的であった。それは、人間の知識は不完全であるからだ。ハイエクは、功利主義を否定するかわりに、最大限の選択の自由を許す社会が望ましいという「ルールの功利主義」を提唱した。どちらかといえば、保守的な思考をもつ私にとって、ハイエクの思想は魅力的である。

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    2009年10月07日
  • 脱炭素化は地球を救うか(新潮新書)

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    地球温暖化について冒頭では真っ向から否定している(都市化のヒートアイランド現象によるものだとしている)のにもかかわらず、後半からいきなり地球温暖化が進んでいるという前提のもと解決策等を提示していた。これはつまり地球温暖化を少なからず否定はしていないということになるので、主張の一貫性が不安定な気がした。結局筆者はどちらの立場なのかがよくわからなかった。
    筆者は終始さんざん地球温暖化の影響はほぼないと言い続けているが、結果今年2025年は野菜や果物等が暑さによって収穫不足になり、現にスーパーでも高いなと思うことがこの頃よくある。

    個々のテーマにおける論は妥当で私も参考にはなった。ただ、p28にあ

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    2025年09月21日
  • 日本人のためのピケティ入門―60分でわかる『21世紀の資本』のポイント

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    ・資本主義の根本的矛盾
    r>g 資本収益率>国民所得の成長率
    資本収益率とは株式や債券や不動産などのすべての資産の平均収益率
    つまり、資産家の儲けが国民の所得の伸びより大きく増えるので格差が拡大する

    ・グローバル資本課税(累進課税)
    タックスヘイブンに所得が逃避してる
    これをとめないと最上位層の所得が補足できず税制が崩壊する
    これが世界の所得の10%を占める

    ・キリスト教やイスラム教で行われてきたのが金利の禁止。それを徹底したのがマルクスや社会主義者。私的所有権そのものを無くそうとした。
    市場経済と所有権とは、資本家が労働者を支配する道具ではなく、無数の人々を命令なしに強調させ

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    2025年03月09日
  • 脱炭素化は地球を救うか(新潮新書)

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    冒頭で「脱炭素対策への懐疑論」であって温暖化については否定しないというわりに、若干「温暖化懐疑論」寄りというか、どっぷり反対論という気がした。が、それなりに説得力のある内容。読みながら、二酸化炭素を悪者にするのは、人間の心のどこかに「文明への後ろめたさ」があるのではないかと感じた。原罪というと言い過ぎだが、しかし、他の生物を殺め自然を破壊しながら文明を切り開いていく罪の意識に対して、二酸化炭素悪玉論は親和性が高い。

    ー このように地球温暖化によって(日本を含む)先進国では、超過死亡率が減る可能性が高い。ゆるやかな温暖化なら死亡率は減り、北国では積雪がなくなり、北海道はリゾートになるだろう。幸

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    2025年02月21日
  • 脱炭素化は地球を救うか(新潮新書)

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    脱炭素は心に響くものがあるけれど、実際には極めて政治的な要因で動いているのだなぁと思った。本書で挙げられている各事例を見ると少なくとも経済性からの選択ではなく、自国や自分への利益誘導であったり、社会主義の復権など理念の実現であったり、背後の思惑が複雑。
    やはり、社会的な問題を考察する上で科学や経済性といった単純な視点だけではやっていけないなとしみじみ思う。そして、こういった論点を政治問題化させて自らの利益に誘導するEUの手腕は、一度深く勉強してみたいと思った。

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    2025年01月04日
  • 「日本史」の終わり 変わる世界、変われない日本人

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    中国のような皇帝がルールを決めて統治する社会ではなく、欧米のような法治国家でもなく。日本は江戸時代から続く村社会で課題を解決する仕組みが今も根付いている。
    専門家の2人の先生の対談で、お互いに一定の知識レベルがある前提で話をあちこちに展開されるので、正直なところ読みにくい。内容は詰まっているので、完全に自分のレベルが低いのですが。

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    2023年06月12日
  • 日本人のためのピケティ入門―60分でわかる『21世紀の資本』のポイント

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    r > g。資本収益率は国民所得の成長率を上回る。つまり、資本主義では所得分配の格差が拡大する傾向がある。これを防ぐにはタックス・ヘイブンへの資産逃避を防ぐ必要があり、その為に高度な国際協調が必要。資本主義が最高とは言わないが、他よりはマシ。個人ではコツコツと投資して「金利が金利を生む」状態を目指すしかないかなぁ。

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    2023年06月02日
  • 日本人のためのピケティ入門―60分でわかる『21世紀の資本』のポイント

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    ピケティのコンセプトの概略がつかめたのは収穫。よいかわるいか、今後も続くかはわからないけど、資本主義のルールに生きる以上は、r>gを理解して、資本家の振る舞いを意識して生きることをしたいと思う。労働者マインドだけではしんどい。

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    2022年11月02日
  • 日本人のためのピケティ入門―60分でわかる『21世紀の資本』のポイント

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    経済学の初歩的な知識があった方が分かりやすいのかも。意外と難しかった。ただ、「長期的にみると、教育投資が賃金格差を減らす最善の手段」との箇所に納得。教育が行き渡っていなければ、一部の経済的に専門教育が受けられる人に職業が偏っていくことになる。教育は大事。それなのに、日本の財務大臣はひどいことを言う。

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    2021年06月06日
  • 戦後リベラルの終焉 なぜ左翼は社会を変えられなかったのか

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    左翼的なメディアの問題と政治の流れをいろんな実例で述べる本
    問題あるのは事実だけど、これでリベラルの終焉というのはちょっと全体化しすぎかな。政治のところは各時代の流れの紹介だけになっている。

    事実を伝えるだけじゃなくて方向性をつけようとする、地方紙は国政と接点が少ないので批判をしやすい、戦争を煽るほど新聞が売れる、不安を煽る。
    社会に対して漠然と不満を持った人に問題を与える。テレビ視聴者に合わせてワイドショーが増える、

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    2021年02月28日
  • ハイエク 知識社会の自由主義

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    フリードリヒ・ハイエクは1899年生まれの経済学者で、1974年にノーベル経済学賞を受賞している(1992年に死去)。その主張のユニークさから、主流の経済学者からは無視され、知識人からは嘲笑されたという。

    といって、彼の主張は別に奇異でもなんでもない。

    その根幹は、いわゆる「新古典派」経済学に見られる理念的で純化された前提からではなく、「人間は不完全な知識のもとで、必ずしも合理的とは言えない慣習に従った行動をする」という、フツーに考えれば当たり前の事実から出発していることにある。

    つまり、計画され、規制された社会(たとえば社会主義)はうまく機能しない。野放図では話にならないが、人々の自由

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    2019年06月13日
  • 資本主義の正体 マルクスで読み解くグローバル経済の歴史

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    タイトルはミスリーディング
    マルクスを中心とした経済学の歴史を描いた本
    信憑性は不明、でも面白い。

    150ページまで読んだ → 最後まで読んだ。

    結局、現在の問題に対しての解決策は提示してない。
    まあ、そんなに簡単に解決策があるわけもないので、提示しない方が、まともという気もする。

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    2019年05月21日
  • 失敗の法則 日本人はなぜ同じ間違いを繰り返すのか

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    「日本軍は何度も同じパターンで攻めてきて玉砕する」と太平洋戦争でもあざ笑われていた、実効より組織内論理の優先。’90年代から伸びないGDP、数十倍になった中国、数倍になった韓国「一人当たりの労働生産性では先進国中下位にあり、韓国にさえ抜かされそう」言外の意が伝わる優秀な職人技が製造業を進化させた「製造業の貢献で官僚・非製造業の非効率をカバーしてきた」江戸時代の限られた土地から最大の成果を得る労力集約型・労働革命、対してヨーロッパは産業革命/バブルの崩壊は防げない、しかし後の処理がまずかった。国対政治の限界

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    2019年04月25日
  • 丸山眞男と戦後日本の国体

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    前著『戦後リベラルの終焉―なぜ左翼は社会を変えられなかったのか』(PHP新書)でも論じられていた丸山眞男について、思想家としての側面と思想史研究者としての側面の両方に目配りをしながら、その全体像を著者自身の観点からえがき出している本です。

    安保闘争への丸山のかかわりを論じた第5章までは、おおむね丸山の思想形成のプロセスをたどりながら、「戦後民主主義」を代表する思想家となった丸山の時代へのコミットを批判的に検証しています。丸山の「夜店」としての仕事にかんする検証は、水谷三公『丸山真男―ある時代の肖像』(ちくま新書)がていねいな考察をおこなっていますが、本書も戦後民主主義という一時代のなかに丸山

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    2019年03月23日
  • アベノミクスの幻想―日本経済に「魔法の杖」はない

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    この本での主張は、次の通り。
    ・アベノミクスに実体はないが、国民に景気はよくなるかもと思わせる「偽薬効果」はあった。でも効果はもうすぐ切れる。
    ・不景気の結果、デフレになった。だから、デフレ脱却しても景気はよくならない
    ・日銀の黒田バズーカは無意味。ハイパーインフレの可能性を高めるのみ。
    ・不況を脱する方法は、雇用環境の自由化

    本の中で、難しい経済指数、グラフを多用して、論理的に解説しています。
    日本はもう、「焼け跡リセット」つまり、ハイパーインフレを起こして、財政赤字を無くすしかないのでは?と思ってしまいます。勿論、日本経済と国民生活はめちゃくちゃになりますが。

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    2018年12月30日
  • 日本人のためのピケティ入門―60分でわかる『21世紀の資本』のポイント

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    21世紀の資本の解説本です。
    全77ページで、内容もポイントごとまとめられており、気楽に読めます。

    ピケティの言いたのは、資本課税は、21世紀のグローバル資本主義をコントロールする為のもので、目的は所有権を尊重して個人の権利を守ることであり、所得の再分配ではない。

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    2018年12月30日
  • 戦後リベラルの終焉 なぜ左翼は社会を変えられなかったのか

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    朝日新聞の従軍慰安婦報道問題や、脱原発運動のおかしさのほか、古賀茂明や孫崎享らのメディアでの発言、大江健三郎や内田樹といった文化人の論考などをとりあげて、戦後民主主義の観念論的な立場が日本社会において変えられることのないまま残りつづけていることを、厳しく批判しています。さらに返す刀で、現在の自民党政権に対しても、将来の日本が直面する課題から目を背けている点では、戦後民主主義の陥っている問題からけっして無縁ではないと批判しています。

    現代のリベラルな立場に立つ論者たちの迷走ぶりを批判することに終始しており、戦後民主主義を「敗者の戦後史」としてえがき出した本とはいいがたい内容だと思いました。ただ

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    2018年11月07日
  • もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら

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    日本の財政赤字は待ったなしの状況まで来ており、

    近い将来起きてもおかしくない経済混乱をシリアスに描いた作品

    日本の経済はどこへ行くのか、本当に考えさせられます。

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    2018年10月28日