池田信夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ハイエクという人の名前はぼんやり聞いたことはあったのですがどんな業績を残したのか全然知りませんでした。アダム・スミスやケインズのように、ミクロ・マクロの初級授業じゃぜんぜん出てこないですからね。
しかし、読んでみるととても面白かった。
普通、経済理論というと、いわゆる資本主義の市場経済重視と、社会主義・共産主義の計画経済という対立軸で語られることが多いと思います。ほとんどの社会主義国家が崩壊した現代では市場経済が正しくて、市場経済効率的な資源配分を実現するという新古典派が主流なわけですね。でも、市場経済重視の新古典派の理論も、社会主義・共産主義の典型的な計画経済も、人間の合理性を前提に置いている点ではどちらも同じ。その合理性を発揮するのが、市場の参加者すべてなのか、一部のエリートなのかという違いでしかない。
それに対して、ハイエクはその合理性の前提自体を疑ったと。前提を疑って、市場や政府が均衡なんていうほとんど計算不可能なところに経済をもっていけるなんて考えを否定した。で、合理的でも、均衡にもっていくこともできない人間ができることは、それぞれがそれぞれの目的にしたがって行動して漸進していける自由を設定することじゃないか、そのためには市場の規制は極力なくして自由な経済活動ができるようにしましょう、と。最終的には新古典派同様市場を重視する姿勢になるんですが、その理由は新古典派とは全然違うところからきているんですね。自由な経済活動によって最適な資源配分を実現するのが目的じゃなくて、市場の参加者それぞれが自由な経済活動できること自体が大事ということかな。新古典派の理論が全体として機能する精緻な機械のイメージなら、ハイエクのはそれぞれが自律的に動いていく細胞のあつまり的な感じでしょうか。
いままで単純に、いわゆる新古典派の市場経済とマルクス経済学の計画経済というぼんやりとした対立軸でしか経済理論を捉えていなかった身としては、経済学に対する見方が一気に変わる本でした。 -
Posted by ブクログ
池田先生のブログ、読んでいるので買いました。この表現力、さすがです。
内容そのものの精査は僕の専門外ですが、経済思想をはっきりさせる事は、経済学が学問だけでなく、政策に応用されるものだということ、そして、政策の決定に国民が関与している(投票という鼓動が政策への影響として程度の質量を持っているかはこの際置く)事を考えると、一つの重要なテーマのように思います。
ただ、学派とは先天的なものではなく、自分の研究内容や実証結果に応じてそうした思想は出来上がっていくんでしょうけどね。ま、所詮そんな事は建前ですけど。
ま、とにかく、読んでいて色々考えさせてくれる本というのは、先端の論文と同様に重要です。