池田信夫のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
この本はプロローグにあるとおり、日本を舞台にした近未来物語であるが、中身はミルトン・フリードマンが1962年に創刊した「資本主義と自由」をベースとしたもの。
現在の日本を取り巻く震災復興支援や、増税、不安定な政権運営、継続される不況が今後も続き、日本国の財政は破綻寸前となる。2015年には長期国債が大量に売れ残り長期金利が上昇。メガバンクはじめ各金融機関や外資系ファンドが国債を大量に売り始め、邦銀売却分を日銀が買い取り通貨が市場にあふれ、インフレを引き起こす。
政府の債務不履行を阻止するため日銀が国債を引き受け続けなければならない事態となり、更なる増税を問う内閣総辞職、選挙が行われた。その結 -
Posted by ブクログ
「イノベーションとは何か」というタイトルでありながら、書かれているのは「イノベーションを阻害するものは何か」である。
かつては日本的な産業的・経営的な構造がイノベーションに有利だったが、現在では行き詰まりを見せている。
本書では、その打開策は与えられていないが、妨げているものは明らかにされる。
その際に用いられるのは、経営学だけではなく、政治学、経済学、心理学といった幅広い手法だ。
本書で取り上げられるのは主にIT企業だけれど、基本的な考え方はあらゆる業界に応用ができ、自分の周りのイノベーションを妨げているものが一体何なのか、多面的に捉えることができるだろう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレかつてinnovationという単語は日本で「技術革新」と訳されたため、多くの人が、革新的な変革は新しい技術の発生を伴うと誤解している。しかし、わかりやすい例として、iPodやiPhoneといった製品を見ればわかるように、その製品自体に新しい技術要素がなくても革新的な変革を起こすことができる。
停滞が目立ってきているとはいえ、変革が起こり続けている業界のひとつはIT業界である。ここ数年の日本のIT業界の停滞はひどいものであるが、それを尻目に海外からのinnovationが押し寄せている。クラウド、SaaSの法人企業への導入は確実に進んでいる。IT業界にとっての停滞の原因、これからのin -
Posted by ブクログ
池田さんは、NHK出身の経済学者。
過激な発言、もっともなんだけど、もうちょっと言い方ないのかな、というレベルの発言なので、よく、ツイッターとかブログが炎上するらしい。
自分は、明確な論理展開が気にいっているが、あおきさんのように、マナーが悪いと指摘する人もいる。
評価が分かれている人。
シュムペーターが言っているとおり、イノベーションがないと、新しい段階での経済発展、社会発展が見込めないが、日本人は、均質的な社会体質でイノベーションが不得意と言われている。
この本をよんでも、これが決めてという手法はないが、そもそもイノベーションにそういう常道はないのだろう。
①自閉症的 -
Posted by ブクログ
イノベーションについての体型的な視点をできるだけ理論ベースでアプローチした本です。池田氏も冒頭で述べているように今まで経済学でイノベーションというのは不確実な事象というある種サジが投げられたものであり、他方経営学ではケーススタディの分析にとどまっておりなぜイノベーションが起こったかはわかってもどうやってイノベーションを起こすかはやはりベールに包まれていました。それをできるだけモデル化しようとしたのが本書です。大学の教科書にも使えるように意識して書いたというのだが、アカデミズムの教授が書く本との違いはケーススタディの量でしょう。理論ベースの教科書では実際例というのはこちらで勝手に考えるように課さ
-
Posted by ブクログ
ハイエクの思想をまとめた本。
他者の書評などを見ていると、著者池田信夫のインパクトが強すぎて、良くも悪くも「池田信夫が書いたハイエクの本」という視点で語られることが多いようだ。
が、この際著者のことは脇に置いておくと、80年代以降、英米が自由経済を推し進める際の理論的支柱となったハイエクの思想を、認識論・政治哲学・法哲学・経済学の観点から解説し、最終的にインターネットなど現代の現象に照らしてその是非を問うている。
ハイエクの思想は、要約すれば
「人間社会というものはとかく変数の量が膨大であり、かつ変数間の関係も時と共に変化していくため、予測は不可能。そのため、社会全体の効用を最大化する一 -
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
一九三〇年代、ほとんど一人で社会主義・ケインズ主義と対決したハイエクは、サッチャー、レーガン政権が成功したことで、経済学だけではなく、世界のあり方をも変えた。
本書では、市場経済を全面的に信頼したハイエクの思想の今日的意義を明らかにする。
彼の思想は、現在の脳科学、法体系、知的財産権、インターネットを理解する鍵を、私たちに与えてくれるのだ。
現実がハイエクに追いつくには二〇世紀末までかかったが、彼の思想は、新しい社会秩序のあり方を考える羅針盤として、いま不動の位置を占める。
[ 目次 ]
第1章 帝国末期のウィーン
第2章 ハイエク対ケインズ
第3章 社会主義との闘い
第4章 -
Posted by ブクログ
<引用など>
・所得分配という意味での格差は、小泉政権では縮小しました。むしろその後の政権で「正社員」と非正規労働者の格差が拡大しました。
・金利上昇はめぐりめぐって、設備投資の際に企業の調達コストを上げることになります。
・「骨太2006」で社会保障の自然増を抑制する議論を正面から取り上げた
・OECDの統計によると、2010年末に政府債務残高GDP比が200パーセントに達する(これはグロス)
・政府保有の金融資産にも着目し、これを相殺消去したネットの政府債務(純債務)で見ると、対GDP比は110パーセント強となります。(グロス債務に将来の年金給付債務が含まれ、金融資産には年金積立 -
Posted by ブクログ
最短で日本の余命はあと3年か。
確かに個人資産の総額に国債発行額が近付いていることから、そんな感じはしてた。
粛々と準備をしておかないと。
そうならないことがもちろん良いのだけれど、
そうなってしまったときにでも大丈夫なように。
---気になった言葉---
子ども手当(年間5.6兆円)を諦めれば、現在、実効税率40%の法人税を、香港並みの17%にすることが数字上可能です。(P77)
「圧力団体は一つで頑張ると資源配分によくないことが起こるが、利権グループ同士を競わせると、よい均衡に到達できる」(P196)
社会や国家は、「幸せ」という概念について立ち入らないほうがいいと思うのです。(中略 -
Posted by ブクログ
資本主義の中で生きてて市場が本当にいつも正しいか、なんてことはまあ平均的な人はあまり考えません。特に日本で生きていると資本主義だと言いながら、不景気になるとやたら社会主義が流行って困ったことになります。
史上、何人も経済学者なんていましたが、マルクスもケインズも絶対なんてことはなかったわけです。そしてこれからもそうであるように、またハイエクも彼らを否定することで、またハイエク自身が新しく誰かに否定されることで経済云々が進んで行くわけです。
さて、そんな中で労働や賃金というのは一番個人的には気になるところだと思います。本書では同時間で掘るダイヤと鉄の鉱夫を例にとって説明されていますが、なんし