池田信夫のレビュー一覧

  • 日本人のためのピケティ入門―60分でわかる『21世紀の資本』のポイント

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    ・資本収益率>経済成長率となり、資本家と労働者の格差が拡大するのが現在の金融資本主義、つまり配当や賃料の利回りが、所得の伸び率を上回っている
    ・理論的な裏付けはないが、相続効果とタックスヘイブン効果が格差の拡大再生産に繋がっている
    ・グローバルに所得課税を行い、所得隠しが出来ないように世界の金融情報を共有するのが格差縮小の方法
    ・マルクスのように私的所有権をなくすのではなく、もっとマイルドに、格差是正の為のグローバル課税を標榜している

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    2021年06月10日
  • 失敗の法則 日本人はなぜ同じ間違いを繰り返すのか

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    日本の組織に「あるある」な失敗事例集。
    一言でいうと、

    優秀な現場が部分最適化してトップが決断できなない「空気」による機能不全

    が起きている。意思決定をボトムアップで部分最適にやるために、全体最適をしようとするリーダーを排除しているとも言える。打ち合わせを重ねて責任者をうやむやにして「空気」を醸成していくのが日本的な民主主義であり、そのシンボルが「象徴天皇」とも言える、と。

    本書の最後に、こういう日本の空気だからこそ「空気を読まない孫正義さん」が成功した、と紹介しているのが興味深い。

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    2021年01月26日
  • 「強すぎる自民党」の病理 老人支配と日本型ポピュリズム

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    池田信夫による日本の戦後政治における問題点を指摘したもの。

    日本が政策論争ではなく政争に明け暮れて、本質的な問題が棚上げになってここまで来てしまったということがよく分かった。

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    2020年03月08日
  • 「強すぎる自民党」の病理 老人支配と日本型ポピュリズム

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    現状の自民党政権の課題というか、日本の政治課題を論理的に説明していて納得感があるが、消費税の逆進性について全く言及がないのはなぜだろう。

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    2020年02月29日
  • ハイエク 知識社会の自由主義

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    いつもブログを読んで勉強させてもらってる池田信夫氏の新著。

    ハイエクといえば、一般的にはケインズに対置される存在の人物として理解されているのではないかと思います。
    政府支出による有効需要創出を唱えたケインズに対して、サッチャーやレーガンによる「小さな政府」を志向した新自由主義思想の後ろ盾となったハイエク、というイメージがあるのではないかと。
    そういうイメージで捉えると、昨今評判の悪い「市場原理主義者」の教祖みたいに思われてしまいそうですが、ハイエクの思想は決してそんな単純なものではない。

    ハイエクの思想のうち、自分が最も共感するのは、人間の不完全性を認めた上で、理論で社会をコントロールしよ

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    2019年01月06日
  • ハイエク 知識社会の自由主義

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    アダムスミスから受け継がれる市場経済に立脚したハイエクの思想と、それと対峙した社会主義やケインズ主義を中心に主要な経済学思想との比較を論じている。

    当初は、異端であると考えられ評価されていなかったハイエクの自由主義的経済は、既に現在の米英的な資本主義経済を中心とした先進国経済の活動の中核的な理論となり主流となっている。

    また、フリードマンを中心としたシカゴ学派による定量的なアプローチによって経済学の前提は、自己の利益を最大限に追求する個人としての経済人であり、これが経済学を現実の社会から乖離されている。ハイエクはこうした経済人的な個人の前提を否定し、人間は常に合理的な判断をすることができな

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    2018年10月08日
  • ハイエク 知識社会の自由主義

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    経済学の基本も学ぶことができる内容だった。

    ハイエクの思想は、ウィーンに生まれたことで大陸の遺産を受け継ぎ、英米に移住することで新しい世界と交わってできた。市場経済を擁護し、歴史の進歩を信じる理論のようでありながら、近代の合理主義を否定し、人間の無知を前提に置く。

    ハイエクはオーストリア学派に分類される。その創始者のメンガーは、価値が消費者の必要で決まると考え、その心理に依存する相対的なものと考えた。市場の機能を高く評価する点ではシカゴ学派がその伝統を受け継いでいるが、シカゴ学派が新古典派の均衡理論を取り入れているのに対して、オーストリア学派は人間の非合理的な行動を分析することに注目した。

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    2018年10月31日
  • 失敗の法則 日本人はなぜ同じ間違いを繰り返すのか

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    「失敗の本質」が流行っているので、失敗の本質と過去からの池田氏の持論を組み合わせて売れる本にしようという編集者の意図がミエミエの著書。従って内容的には過去の池田氏の本や主張同様、非常に含蓄があって本質をついており、興味深い内容ではあるものの、上記のような観点からみると、あまりいただけない本ではあります。

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    2017年10月22日
  • 戦後リベラルの終焉 なぜ左翼は社会を変えられなかったのか

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    信夫氏の左翼に対する熱い思いを垣間見ました。
    日本の左翼は定義が狭すぎて、共感できる人が少ないのが問題なんだと思うなー。あと、自民党の幅が広すぎて明確な対立軸を出せないのではないのかな。
    人の感情に直接反応させる右翼に比べて、左翼は賢そうだけど
    感情に届かないので結局それでは何も変えられない。大多数の人間は感情で動くものなので、大多数には響かないのではないかな。

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    2017年10月29日
  • 失敗の法則 日本人はなぜ同じ間違いを繰り返すのか

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    日本人の失敗のパターンは同じ。。
    その特徴は現場主義による部分最適化と誰も決めない「空気」の支配。

    意思決定がボトムアップで部分最適になり、全体を統括する強いリーダーを拒否する。最終決定者がいないので、みんなで打ち合わせをして時間をかけて「空気」をつくっていく。

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    2017年10月01日
  • 日本人のためのピケティ入門―60分でわかる『21世紀の資本』のポイント

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    ピケティの主張について知りたくて読書。

    この数年、帰国するたびに耳にしていたピケティの名。原書の厚さ969ページに驚いた。これについては今後も原書の翻訳本を読む機会はないと思う。

    そもそも資本主義は格差を拡大させるも。是正させるためのポイントは、累進課税で今後は、タックスヘイブンへのグローバル課税の仕組みが作れるか。

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    給料、所得を増やすことよりも資産運用へ頭と時間を使えということだろう。

    市場経済の原則は、マクロ的には市場は右肩成長を続ける。だから、複利と時間の力を見方にした長期運用が安全、確実とされる。

    読書時間:約25分

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    2017年07月18日
  • 「強すぎる自民党」の病理 老人支配と日本型ポピュリズム

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    池田信夫さんの本は久しぶりに読んだ。著作自体も久しぶりなのではないだろうか。SNSやブログでの発言はずっと目にしているので、その主張には違和感はない。本書は、「戦後の政治史を追って、自民党が一貫して多数派に迎合するポピュリズムの党だったことを明らかにする」というものである。「財政や社会保障を考えるうちに、その根幹には日本の政治システムの欠陥があることに気づいた」からだという。その欠陥は結局は日本に蔓延する「無責任の体系」といっていい。

    戦後の政治史を追った、ということだがざっくりと書くと、60年安保闘争などの結果による左翼による政治争点の矮小化、田中角栄が利益誘導のばら撒き政治のシステムを確

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    2016年12月30日
  • 資本主義の正体 マルクスで読み解くグローバル経済の歴史

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    マルクスの『資本論』や『経済学批判要綱』を、現代のグローバル資本主義に対する優れた分析として読みなおし、修正を加えるとともに、マルクスの提出したアソシエーションはグローバル資本主義に対峙するための有効な処方箋とはならないとしてこれを退け、将来の世界経済および日本社会について考察を展開している本です。

    著者自身が「はじめに」で「本書の理論的コアになるのは第一章の後半の企業理論(不完備契約理論)だ」と語っています。ここで著者は、労働者が窮乏化するというマルクスの予想が外れたと断じ、オリバー・ハートの指摘に従って、資本家と労働者の間の権力の配分メカニズムに資本主義のもっとも大きな問題が存するという

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    2018年02月08日
  • 戦後リベラルの終焉 なぜ左翼は社会を変えられなかったのか

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    リベラル思想を滅ぼしてはいけない。あの戦争敗戦は何だったか。保守主義が勝っているわけではない。安倍さんの政治はたんに経済優先ではないのか。

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    2016年12月04日
  • 日本人のためのピケティ入門―60分でわかる『21世紀の資本』のポイント

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    80ページほど。分厚いピケティの『21世紀の資本』を開設してくれる。忙しい人には、この解説本だけで良いのでは?それくらい、分かりやすい。

    資本主義の根本的矛盾 r>g つまり、資本収益率が必ず成長率=国民所得の増加率を上回るため、格差拡大傾向を持つという矛盾。技術移転に格差縮小の効果があるが、資本蓄積は格差を拡大させる。この格差傾向を是正するには、グローバルな課税が必要であり、タックス・ヘイブンに資本逃避されると、上位層の所得が捕捉できない。

    格差の大部分は同世代で起こっており、それは遺産相続によって拡大再生産される。この相続効果が現在の不平等の最大の原因だ。また、ハーバード大学の親の平均

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    2016年07月12日
  • 今さら聞けない経済教室―こどもに聞かれても困らない60の疑問と答え

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    良く耳にする豊かさ、物価、円安、雇用、格差、アベノミクス、税金、エネルギー、財政、社会保障について丁寧に解説されている本です。税金の章で述べられている軽減税率については政権与党である公明党が頻りに口にしていますが、OECD(経済開発協力機構)はこの税率を止めるように勧告しているらしいです。知らなかったな~。。。

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    2016年06月25日
  • 戦後リベラルの終焉 なぜ左翼は社会を変えられなかったのか

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    戦後レジームからの脱却というスローガンに対し、今の状況には最早合わず、日米同盟の続く限りは、戦略上もその方が良いという考えには賛成だ。しかし、それがいつまで続くのか。幕引きの時に、彼の言う空気を醸成しておく事が重要だ。さもなければ、タイミングを担う政治が、その時に適切な判断をするとは限らないからだ。

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    2015年09月24日
  • 戦後リベラルの終焉 なぜ左翼は社会を変えられなかったのか

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    著者がアゴラ他に書いている記事と軌を一にするもの。

    非常に論理的かつ明快な論旨だが、初めて接する読者からすると省略が多くてわかりづらく感じる可能性はある。

    現代保守を代表する論客と思えるが、著者からすると当たり前のことを当たり前に主張しているだけかもしれない。

    著者に賛成するか反対するかはともかく、一読の価値はある。

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    2015年09月24日
  • 日本人のためのピケティ入門―60分でわかる『21世紀の資本』のポイント

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    トマ・ピケティさんの”21世紀の資本”には興味が有ったのですがぶ厚くて難しそうだし高そうだったので購入を躊躇っていたの中、池田信夫さん著のこの本に出合いました。第一章ピケティQ&Aは凄く良くまとめられておりサブタイトル”60分でわかる”も決して大げさではないです。

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    2015年09月21日
  • 「空気」の構造

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    官民問わず意思決定不全による失敗を繰り返してきた日本の歴史を神話や古事記の時代から振り返り、丸山真男や山本七平といった過去の学者や思想家による論考も引用・解釈しつつ、「空気」という概念を軸に問題の本質を明らかにした集大成的な日本人論。

    著者は、日本が地政学的な特性によって、歴史的に外部からの侵略をあまり受けることなく技術や文化の吸収に成功した一方、農村共同体に端を発するボトムアップ型利害調整メカニズムも時代を越えて温存されてきたため、国や企業がタコツボ型・部分最適思考に陥り、責任の所在が曖昧な「空気」による意思決定が今日もまだ横行していると主張する。

    その解決策として、著者の持論で

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    2015年06月07日