ロバート・A・ハインラインのレビュー一覧
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1959年のSF小説であるが現代社会へのアンチテーゼになっているのが面白い。
これはSF小説でありながらハインラインの思想書でもあると感じる。
内容は軍人にならなければ市民権が得られないという現代の私たちから見たらかなり保守的でありラディカルな思想の元で描かれたSF小説である。しかし、本書を読み進めていくとこの制度にある種の合理性を感じ、更には現代社会の問題点を浮かび上がらせている。
この小説で描かれる社会では共同体の存続或いは繁栄がかなり重視されている為、軍人にのみ参政権が与えられる。軍人は自己を犠牲にして国や組織の為に尽くすものである。その責任感が大事なのである。責任感のない民間人に参政権を与えると共同体の為ではなく個人の為の選択になってしまう。
これは現代社会と対照的である。現代社会は個人の権利を尊重し過ぎるあまりに共同体が弱くなってしまっている。この辺りは今年出版されたテクノロジカルリパブリックにかなり合い通ずる部分である。
現代の社会ではある種の無責任さが蔓延している。行き過ぎた資本主義によって社会に貢献しなくともお金が稼げれば成功者。加速していく個人主義は共同体への責任逃れ。それに反してハインラインは共同体への責任の重要性を説いている。
軍人に参政権が与えられるのは頭がいいからではない。共同体への責任感を持っているからだ。これがハインラインの本書での明確な思想である。彼は権利や自由よりも共同体に対する責任を重んじている。 -
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ネタバレ一気読み。さすが名作、冒頭以降は古典を感じさせなかった。冷凍睡眠直前の「あれ?」の欠片たちが終盤で一気に回収されていくのが爽快。ミステリ畑とは別の読み心地の伏線回収。
ヘイルメアリーのグレースといい、SFの主人公は人間らしくて共感が持てるのに強烈に頭が良い。ここは頭脳と共に人間性もちょっと人と外れている探偵等とは違うと感じた。
ラスト女児を嫁にするのはちょっと倫理観どうかな、とは思ったが、まぁ婚約者と友人に裏切られて猫も失ってた(取り戻したが)状況で、心の拠り所はもうリッキーしかいない状況で半年頑張っていたからな…ちょっと仕方ないかな、という気持ちも。
あとピートがずっと格好いいにゃんこ。
「未来は、いずれにしろ過去にまさる。誰がなんといおうと、世界は日に日に良くなりつつあるのだ」 -
購入済み
子供から大人まで楽しめる…深い
この本は色々と思い入れがある。
まず、十代の頃、「機動戦士ガンダム」が好きで、そのモビルスーツのアイデアに寄与したと言うことがきっかけで読んだ。
なお、その当時は読み飛ばしていた、主人公とデュボア教授とのやり取りなど、今になって読むと興味深い。(思想は置いといて)
前半はほぼ新兵物語である。
女性がほとんど出てこないが(名前のある女性は数人で、描写もせいぜい数十行程度)楽しめる。
むしろズイム軍曹やホウ艦隊軍曹、ニールセン大佐に萌える。かも。
そして、私はミステリが好きなのだが、ラスト、13章の終りにミステリ的な驚き(ストーリーとは関係ないが)があった。
この本はSFなので、ミステリ好きの人がこの本を読むかは分からないが、興味あれば是非読んで欲しい。
あまり書くとネタバレになるが、ビル・バリンジャー的なサプライズと言っていいだろう。(一番有名なアレである。バリンジャーのアレはまあまあストーリーにも影響あるかもだが、本書には全くないが。なので多くの人が「だから何?」と思うだろう。
それに他の方のレビューを見てもこの部分に触れてる人はいないみたいだから、そんなに驚かないのかな? この本が書かれたのは1959年。思想的なこととかネタバレしないように匂わせるのって難しい…。
ヒントとしては、13章に出てくる歩兵を調べると興味深い。「(兵士としての)英雄」だけではない人や引退後に社会的に奉仕した人も出てくる。そういう意味では、隠れたテーマは「政治」なのかな…(そこまであからさまではないけど…作者が出してきた名前を深読みすると…。いや、個人の感想ですよ!)
なお、翻訳は昔の方(矢野徹氏)が好み。そっちを買おう。 -
Posted by ブクログ
ハインラインの傑作とも謳われる本作、SF好きとしてなぜ今まで読まなかったのか。
かなり読みやすいです。SF(ハードSFを読みがちだからかもしれませんが)って中盤で技術的な(しかも架空の)話で置き去りにされて、後半でやっと本筋の伏線回収でアッとなるのが多いんですが,本作は置いてけぼりにされることもなく最初から最後まで丁寧な伏線を回収して行って理解して読めたので楽しかったです。
書いてたこと全部に意味があるって理解させてもらえる展開が多くて読んでいて楽しかったです。意味のないことは書かないんですかね、ハインラインはまだこれしか読んでないので、以降色々読みます。
本当に面白いです。 -
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ネタバレわかぴーに借りた本
主人公の考え方とか行動力高いところとか好き
ちょっと難しいところは適当に読んだからもう1回読んでも面白そう
【好きな文】
この期におよんですら、ぼくはまだベルを信用していたのだ。
酒が危急に際して頼りにならない友であることを覚った日から、ぼくは、アルコールといえばチャックとともに酌み交わすビールだけに制限していたのだった。
「ダニー、ぼくはいつも患者のことを気にかけているよ。患者はみんなぼくの家族なんだ」
が―――なんどひとにだまされようとも、なんど痛い目をみようとも、結局は人間を信用しなければなにもできないではないか。 -
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言わずと知れた古典的名作。第2次大戦から冷戦初期を時代背景に、正面から軍隊を肯定·礼賛しているが、市民の責任と人生の意義についての哲学は深い。敵異星人の描かれ方は、共産主義のメタファー。以後の戦争SFの基礎を築いた作品。
「宇宙の戦士」はパワードスーツという概念を現代SFに定着させた元祖と言える。また本書で描かれる社会には、退役軍人にしか参政権がない。これは「権利=義務」という考え方で、「価値あるものを得るには、相応の代償が求められる」という作者の人生哲学を表現している。
「宇宙の戦士」(1959)R·A·ハインライン
#読書好きな人と繋がりたい -
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冷凍睡眠で未来へ跳ぶ技術者のダン。
時代は1970年から2000年へ。
こういう話、大好きです。
ハッピーエンドですから安心して読めます。
久しぶりに大好きと言える本に出会えました。
以下ネタバレ感想、読み終えた方どうぞ
半分まで読んだ頃
ダンが冷凍睡眠に入ったまでの流れはわかったけど、動物好きの自分としては、ビートはどうなっちゃったんだろう、もう出てこないのかな?
いやいや、世のすべての猫好きに捧げる本、なんだから
そんなはずない、、とかピートの心配をしながら読み進めましたよ。
なんとまあ、嬉しい驚きの展開で、
タイムマシーンでまた、過去へ飛び直すところなんか、すごくワクワク。
冷凍睡眠に入る前にマイルズの家へ乗っていった車がどこに行ってしまったのかなあと、物語の展開の雑さが気になっていたのですが、これは、単なる伏線で、ちゃんと話が回収されていて、嬉しい凄すぎ。
11歳のリッキーにカレッジリングを与えて約束をするとこ最高!
再び未来に戻ったとき世界線がどうなっているのか。
冷凍睡眠から目覚めたリッキーを連れていったのは2回目ののダンだったということ?そのとき世界線は、ずれた?
うーん、もし、世界線がずれたなら、それは悩ましい。
元の世界線で辛い思いをしている、リッキーやピートや自分がいることになるのだから、、
幸せなのはこの世界線だけ?それを考えはじめたらキリがないし悲しすぎるよね。。
しかし
これについて自問自答するダンの考えに救われた。
野良猫に戻ったピートがいる世界はないはず、ベルにイジメられるリッキーがいる世界もないはず。
タイムマシーンから再び冷凍睡眠に入り蘇生した、2回目のときの蘇生者の新聞記事を見つける事がないのと同様に、最初からどうなるかは決まっていて、違う行動を、とることは本来からあり得ないのだと結論づけていた。
わたしとしては、多元宇宙はあり得るとは思いつつも、今回はダンの考えに乗っかりたい。ここにいま在るこの世界だけしかない。ハッピーエンドだけしかなくて良かった。
まあ深く考えると頭こんがらがる。
タイムマシーンで戻ってからピートと一緒に2回目の冷凍睡眠をしたダンがいて、でその後に、ベルから解放されて、ピートなしで1回目の冷凍睡眠をするダンが来たってことだよね?
保険会社は、2人のダンを同日に冷凍睡眠させていたってこと?
ダンは、メリーゴーランドに乗って回転数を数えてるみたいにどこかでポイントがはずれてくる、という言い方をしている。
ここでバグが発生してやっぱり世界線がズレたのか?と
一瞬思うけど、いやいや、最初のダンが冷凍睡眠に入ることは最初から決まっているはず。。。。だからやっぱりこれ以外の流れはあり得ない
それはともかくも、、
人を信じることが怖くなっていたダンが偶然出会ったジョン&ジェニー夫妻を信じて未来を賭けたところも胸が熱くなった。
共同経営で騙されたダンは葛藤する、だけど、腹をくくる。
なんど痛い目をみようとも、結局は人間を信用しなくては何もできないではないか!と
そして、、最後に、、。
2021年にこの作品を原作とした映画が公開されていたことを後で知りました。まあびっくり!しかも邦画。これは絶対みなくちゃ。
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もしぼくに革命家の友人がいたなら、ぼくは少しも躊躇うことなく、かれにこの本を読むよう薦めるだろう。
この本はさながら革命の教科書なのだ。情報管理の方法、大衆を扇動する方法、口うるさい自称・知識人たちを黙らせる方法、そして自分たちの真の目的を隠しながら交渉を進める方法。革命の計画から遂行に至るまでに必要な、考えうる限りすべてのことが記されている。
そしてそれ以上に大事なことは、この本が娯楽として楽しむために書かれた、極上のエンターテインメントだということだ。
この本を読む時の感覚は、よく出来たアニメを夜更かしして一気観しているときの感覚とほとんど変わらない。というのは、この本自体がとにかくアニメチックなのだ。
義手の電気技師で「やれやれ系」の主人公、マヌエル。超人的な忍耐力と遠大な野望を持つ、参謀にして黒幕的存在、デ・ラ・パス教授。月世界いちの美人であり革命の申し子、ワイオミング。
そして人格を持った超高性能コンピューターのマイク。チート級の活躍を見せつつも、少しズレたユーモアを愛する一面も持っている。
ここまで揃えばあざといくらいのキャラ立ち具合で、21世紀のアニメに少しも引けを取らない。
忘れてはいけないのが、月世界人のものの考え方を象徴する「タンスターフル(無料の昼飯はない)」というフレーズや、政治についてのウィットに富んだ名言(ほとんどは教授によるもの。ぼくのお気に入りは、「ニュースの自由を"ほんの少しだけ"制限するってことは、古い言いまわしだが"ほんの少しだけ妊娠している"と同じ範疇に入るんだ」)。
こうした仕掛けの一つ一つも読者の厨二心をくすぐり、この本にアニメじみたコンテンツ性と中毒性を与える。付け加えておくが、ぼく自身がこうして(多少なりともハインラインに寄せた)感想文を書いているのも、この素晴らしい小説の世界に囚われた「ロス」によるものなのだ。 -
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本作は、アニメ監督の富野由悠季が『機動戦士ガンダム』を構想する際に、本作の「パワードスーツ」に着想を得たことであまりにも有名である。しかし本作は、裕福な家庭で育ち、成績優秀だが特段将来について考えてもいない高校生の主人公ジュアン・リコ(ジョニー)が、出来心で軍隊に志願し、入隊後兵士として成長していく姿を描いた青春小説であることを忘れてはならないと思う。そうでないと、本作で示される社会観・国家観を含む、本作の白眉とも言える思想的・哲学的要素を十分に味わうことができないからだ。
作中で主人公ジョニーが通う高校の歴史・道徳哲学の教師デュボアは、女生徒からの「わたしの母は暴力ではなにも解決しないと言っています」との発言に対して、「暴力は、むきだしの力は、ほかのどんな要素と比べても、より多くの歴史上の問題に決着をつけてきたのであり、それに反する意見は最悪の希望的観測にすぎない。この基本的な真理を忘れた種族は、常にみずからの命と自由でその代償を支払うことになったのだ」と答える。戦争という暴力行為が歴史的には大半の問題に対して「決着をつけてきた」という事実と向き合えというのは若者(もちろん、若者に限らないが)に対するかなり強烈な洗礼であり、こうした考え方をめぐり当時かなりの論争を巻き起こしたというのも納得がいく。また、本作の中では、2年間の兵役を経験した者だけが参政権を与えられ、かつ公職に就くことが許される「市民」となることができる(また、兵役の期間中には投票権が無い)という社会像が描かれる。理不尽な経験に耐え、命をかけて国家を守るという経験を積んだ者のみが政治的決定権を与えられるというハインラインの政治思想はさまざまな反応を呼ぶであろうが、個人的には非常に興味深いものであった。これはいわゆるノブレスオブリージュの考え方であろうが、作中でも示されている、権力には責任が伴う、という考え方には一考の余地があるのではないかと思う。
ハインライン作品は基本的に筋立てはシンプルであるのに、それに比して内容にボリュームがあり過ぎる(時には冗長に感じることも多い)のはなぜかと考えることが多かったが、ハインラインは、作品で示すあらゆるSF的(時には思想的)要素をいちいち精密に説明しないと気が済まない人なのだろう、と本作を読んで感じた。だからこそ、人によっては本作のパワードスーツのみに惹かれたり、哲学的要素に惹かれたりするのであろう。この点は物語に集中するという意味では作品のバランスを損なっている部分があると思うが、再読の度に新たな面白さに気づくことができる、というメリットもあるように思う。とはいえ、個人的にはジョニーが訓練期間を終えた作品中盤くらいからはとても楽しめたのだが。
それにしても、ハインラインは少ないギミックでSF作品を成り立たせるという点においては天才的に上手いと思う。本作でもSF的ギミックとしてはパワードスーツ、バグ、市民権くらいではないかと思うのだが、それだけで十分に面白いSF作品に仕立て上げてしまうのだから凄い。本作も、1959年という時代にこれだけの精度でSF世界を展開し、後の数多のミリタリーSF作品に影響を与えているという点で偉大な作品であることは間違いない。 -
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アーサー・ジョージ・スミス軍曹に捧げる
兵士、市民、科学者のあなたに
――そして、いつの時代であろうと
子供たちを真の男に鍛え上げてくれた
すべての軍曹に(前文より)
はい、R.A.ハインラインの名作にして問題作『宇宙の戦士』です
思想的なところは一旦置いておいてSFとしてまず面白かったです
SF的なところ少なくない?って意見もあるでしょうけど
とりあえず1個確実に言えることは『夏への扉』が大好き!でハインラインに興味を持ったって人は迂闊に足を踏み入れない方が良いです
間違いなく同姓同名の別人が書いてます(嘘しか言わない)
わいはどっちも好きだけどね
はい、じゃあどのへんが問題作なのか、どのへんが迂闊に足を踏み入れない方がいいのか
ものすごい簡単に言うと「暴力の肯定」なんよね
前文にある「軍曹」なんですが、軍隊における「軍曹」の役割ってのは、新兵の教育係であり、お目付け役であり、その小隊の規律を維持するための役割を担っていることが多いんですね
でその手法ってのが主に暴力なんです
ぶん殴って分からせるって奴ですね
日本にも「鬼軍曹」なんて言葉がありますよね
つまり子どもたちを暴力によって育てあげた人たちを称賛してるわけですね
時代背景もあるんですが、なかなか賛否別れる話ですよね
しかもこれ1960年のヒューゴー賞受賞作なんですよ
ヒューゴー賞ってのはアメリカのかなり権威のあるSFの文学賞なんですが、つまり当時のアメリカ人の多くが、一般社会における「軍曹」の存在をあまり否定的には捉えていなかったとも言えると思うんです
まぁ、今の日本でも度々議論になる体罰の是非についての話にもなるんですが、ハインラインは体罰を法律で規制していない州での少年犯罪の発生率の低さなども交えて必要だと主張してるわけですね
社会に「鬼軍曹」は絶対必要だ!ってわけです
なので体罰否定派の人は読んでいてあまり気分は良くないかもです
気分は良くないかもしれないけど、読んでみてもいいのかな?って思います
反対の意見を完全にシャットアウトするのもどうかと思うのでね
(まぁ、そういうの切り離して読んでも面白いと思うんだけど)
で、ひまわりめろんの意見はどうなのか?ってところなんですが…意見どうこうの前に現実に鬼軍曹が家にいるんでね
受け入れるしかないのですよ!。゚(゚´Д`゚)゚。
(すぐ嫁をオチに使う)