フィツジェラルドのレビュー一覧

  • 夜はやさし(下)

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    フィッツジェラルドの儚い願いを託された一作。書くということで彼は浄化を求め、慰めを受けたかったに違いない。ディック博士のようなあっけない幕引きを望んで夢みて、物語に託した。
    失われていってしまったものへの哀惜。だけど、それはどこまでも自分だけのもので、誰に知らせることもできない。ただ、笑って波風立てぬよう過ごしていくより他ない。またしてもギャッツビーが現れる。優雅や気品さというものは、そうやって作り上げていくものだ。
    彼の文体がどこか断片的でとりとめのないように感じられるのは、思い出を壊したくなくて、バラバラに壊してしまった、そんな彼のやさしさゆえなのだと思う。子どもの大切にしまっておいた花や

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    2016年02月01日
  • ベンジャミン・バトン 数奇な人生

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    フィッツジェラルドの中でも、ミステリーとかそういった類のものをコンセプトに集めたらしい。
    発想の書き留めと言ったらいいだろうか。一瞬目の前に現れた景色をすぐさまペン一本で書き上げたラフなスケッチみたい。自己完結せずにこれから新しい拡がりをみせてくれそうな、そんな物語の数々。
    ベンジャミン・バトンは、時間という概念を疑いつくしたものだと感じた。この宇宙、存在というものは、時間とは独立して在るもの。だが、時間とは独立しているにもかかわらず、肉体をもって時間の中で生きているのがこの人間。そして、時間は流れるものとして過ぎては消えていく。そこに、もし、その流れが逆になって生まれてきてしまった存在がいた

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    2015年12月03日
  • 雨の朝パリに死す

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    「カットグラスの鉢」
    「冬の夢」
    「罪の赦し」
    「金持ちの青年(リッチ・ボーイ)」
    「雨の朝 パリに死す(バビロンに帰る)」
    の5篇を収録した短編集。

    全体を通して、どこか寂しさが漂う物語。
    個人的には「冬の夢」「金持ちの青年」が感慨深い。
    どちらも金持ちと恋人の関係が焦点の物語だが、どちらも時の過ぎた悲しみといざとなった時の金の無力さをよく表しているように思えた。
    以下「金持ちの青年」より引用。
    『晩餐までブリッジをやり、それから誰かの部屋で生のカクテルを四、五杯やって、愉快にでたらめな一晩をすごす。』(中略)『女をそばにひきつけておく手、邪魔になれば追っ払う手を心得ていたし、おれたちの利

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    2015年10月27日
  • フィツジェラルド短編集

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    フィッツジェラルドもあまり読んだことがなかったのですが、ふと。いずれもほろ苦いけれども、最後のバビロン再訪が気に入りました。

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    2014年11月13日
  • グレート・ギャツビー

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    ギャツビーという人間に対して、驕りと虚栄心の塊(もしくはただのストーカー)として軽蔑するか、それとも不当な手段で名声を得ても一人の女性に愛を注ぎ続けた純真無垢な男として同情するのかは、人によって持つ印象がかなり違うのではないかと思う。


    前半ははっきり言って何を言いたい小説なのか理解ができなかった。文体も読みづらく、入り込めない。
    後半の劇的な展開を経て、初めてこの男の持つ感性に共感を抱くことができたね。狂気に歪んだ愛を心に刻んでしまった人間として。



    解説を読んでみると、この小説がアメリカ社会が持っている(あるいはかつて持っていた)断絶と矛盾を見事に悲劇的に描いた小説だと分かった。

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    2023年07月08日
  • フィツジェラルド短編集

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    映画『華麗なるギャツビー』を見る前に、と思って買ったけど、なんか読んだことあるな・・・。

    他の短編集と重複して収録されているのがあったのかもね。

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    2013年07月06日
  • ベンジャミン・バトン 数奇な人生

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    フィッツジェラルドの世界が少しわかってきた。南部を舞台にした「最後の美女」、海外で享楽を続けるうちに虚しさを感じていく夫婦の話「異邦人」などが好きだ。

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    2012年05月29日
  • ベンジャミン・バトン 数奇な人生

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    表題作しか読んでない。

    シニカルで笑えるような前半に対し、後半のせつないこと。青春の輝かしいこと。

    フィツジェラルドの描く「栄華」はきらきらしていて、どこか懐かしい。

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    2012年02月20日
  • ベンジャミン・バトン 数奇な人生

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    映画が気になってたので原作を購入。表題作のベンジャミン・バトンのみ読みました。
    終始淡々とした文章で書かれているだけ余計、読後はぞわりと恐怖に襲われました。
    ベンジャミンを産んだ母親は、自分の子どもを見てどう思ったんでしょうね?(寧ろ、そもそもどうやって……と言うか、産めたの?) 自分の子どもを愛せたの? それとも父親のように疎んだの?
    短編にここまで掘り下げて…を期待してはいけないかなと思いつつ、ちょっと気になってしまったのが評価マイナス1です。

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    2011年01月30日
  • フィツジェラルド短編集

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    先に読んだグレート・ギャツビーよりこちらの短篇集のほうが好きだった
    全体的に洒落た雰囲気、セリフ回しがたまらなかった

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    2011年01月13日
  • フィツジェラルド短編集

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     『夜はやさし』を読んで以来フィッツジェラルドに興味がある。きらびやかな表面の下に闇がうごめいているかのような独特の雰囲気(誰かの受け売り)に惹かれる。

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    2022年11月20日
  • ベンジャミン・バトン 数奇な人生

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    映画を観てこの本を読んでみようと思った。映画と同じで私的には面白かったのですぐに読み終わってしまいましたが、映画を観たことの無い人だと話の内容は分かるけど、想像したらいまいち分からないと思うので、やっぱり映画の方をおススメします。

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    2010年01月27日
  • 雨の朝パリに死す

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    フィッツジェラルドの短編の中でも優れたものだけを集めたものだとかでそのせいかめっちゃ面白い短編集になってます。とくに雨の朝パリに死すは心に残る一編。悲しいメロディーが聞こえてきそうな雰囲気すら漂ってます。フィッツジェラルドは本当に雰囲気のある作品を残していると思う。

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    2009年10月07日
  • フィツジェラルド短編集

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    「冬の夢」
    「乗継ぎのための三時間」
    「バビロン再訪」

    若いうちに読んでください。ノイローゼになりますよwww

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    2009年10月04日
  • グレート・ギャツビー

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    読書会の過去課題本として読みました。半世紀以上前の翻訳ですが、古めかしい印象は全くありませんでした。

    本作は、米国が経済的に絶頂期にあった時代に、「アメリカン・ドリーム」の残酷さを喝破したことで有名な作品です。読んでいて、昭和の歌謡曲「悲しき60才」とテーマが共通していることに気づき、驚きました。

    どちらも経済が最も繁栄していた頃だからこそ語られる、貧富の差の残酷さや、夢と現実の落差が深く描かれているのだと思います。

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    2025年10月23日
  • グレート・ギャツビー

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    底辺から成り上がったギャツビー。ある目的のために毎晩のようにパーティを開く。1920年代のアメリカが舞台。アメリカが、かつて懐かしいような西部と華やかな成功者達の東部が対比で描かれている気がする(正直歴史は全く詳しくない)。書かれた当時はわからないが、現代の今読むと、当時の時代背景も勉強して読みたいなとも思う。

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    2025年07月18日
  • ベンジャミン・バトン 数奇な人生

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    読んだ本 ベンジャミン・バトン数奇な人生 フィッツジェラルド 20250707

     表題作の映画がフィッツジェラルド原作だってのは知ってたけど、文庫になってるんですね。寡作な作家だと思ってたんですが、実は翻訳されてるのが少ないだけで、結構多作らしいです。
     フィッツジェラルドは高校生くらいの頃によく読んでたんだけど、なんか虚無的というか、中身のない人生の中の恋愛小説ってイメージで、ヘミングウェイや村上春樹の影響で好きになったって感じだったかな。
     で、このベンジャミン・バトン読んだら、意外とエンターテーメント性があって、それでいて虚ろな人生を送ってる男女の物語って構図は変わらず、これはこれでい

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    2025年07月07日
  • グレート・ギャツビー

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    成り上がったピュアな田舎者が見た夢。1920年代のアメリカの時代背景や東部、西部の関係への理解があればもっと面白く読めたんだろうなあ

    ところで2章の最後はどういうことなんだろうか

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    2024年10月02日
  • フィツジェラルド短編集

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    中公文庫から出ている村上春樹編の短編集に引き続き読んでみた。
    「乗り継ぎのための3時間」と「泳ぐ人たち」の2編が初めまして。
    前者にはいろいろな意味での喪失が、後者にはアメリカとヨーロッパの二項対立のようなものが描かれる。
    伝統や、国民性、「泳ぐ人」と「泳がない人」、そんな対照。

    村上春樹訳とくらべたら翻訳が少し古い感じがする。特に会話文で感じたり。
    村上訳も癖があるので、合わせて読み比べるのも面白い。

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    2024年07月14日
  • グレート・ギャツビー

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    ネタバレ

    デイジーが結局はトムを選ぶことをわかっていながら、その事実も含めてギャツビーはデイジーのことを愛していたんだとわかった。そうまでしてデイジーにこだわるギャツビーに共感はできないが、デイジーへの愛を貫くことができてギャツビーは幸せだったのではと感じる。舞台版を見た時はトムとデイジーは最悪な人間じゃないかと憤ってしまったが、よく考えるとマートルとギャツビーの死がブキャナン夫妻にとっての罰とも言えると思うので少し胸がスッとした。

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    2024年02月04日