あらすじ
抜群の感受性で時代の寵児となり、真摯に人生の理想を追った人フィツジェラルド。「人生は崩壊の過程である」となぜ彼は書くことになるのか。ニューヨークの上流家庭に生まれた青年アンスンを憧れと揶揄をもって描いた「金持の御曹子」、大恐慌後、パリに静かな悔恨と不屈の魂で佇むチャーリーに熱い思いを託した「バビロン再訪」等、彼自身と当時のアメリカを彷彿とさせて魅力的な6編。
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どれも素晴らしい短編ばかり。
金持ちの御曹司はフィッツジェラルドの中で一番好きな作品。
あるリッチな男性の生涯をここまで解像度高く書けるのか。自分とはかけ離れた、あまりにもリッチなアンソンという主人公像がくっきり輪郭を持って存在しているのが素晴らしい。
自分とはかけ離れた人物の生き方を体験できる。
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レイモンド・カーヴァー、ジョン・アーヴィング、スコット・フィッツジェラルドと3連チャンで海外作家を読んだ中で(コミックはさみつつ・・・)、一番好きでした。
時代も違う、国も違うので、風景や文化は想像だけど、男女の機微、心情がリアル。
人にあげたので、また買って手元に置いておこうと。
Posted by ブクログ
短編を読もう!第三弾はフィツジェラルド。
たくさん短編を書いてる中、新潮文庫では選りすぐりの6遍を収録。
「氷の宮殿」は南部に住む女の子が北部にすむ婚約者について行く話。南北の違いがよく表されていたように感じた。
「金持の御曹司」は、何でも手に入ると思い込んでいる青年が、愛は手に入れられないと悟る話。上流階級の話は新鮮だった。
「乗継ぎのための三時間」は内容を書くとネタバレになっちゃうので…。でも1番面白かったかも。短いので乗り継ぎの時間に読める!
「バビロン再訪」は過去の失態により別居している娘ちゃんを引き取って育てたいと、親戚と話し合いをする話。結論は、なんだかやるせなかったな。
ここまで、スタインベック、フォークナー、フィツジェラルドとアメリカの短編集を続けて読んだけど、フィツジェラルドは自分にとっては異色だったな。黄金期のアメリカでも人間の弱みは変わらない。
読んだフィツジェラルド
なし
読みたいフィツジェラルド
『グレート・ギャッツビー』
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青春時代の情熱の恋愛模様。5組のカップルが登場する。あの青春時代の疑うことを知らない情熱はどこから来るのか、どこへ消えてしまうのか。お祭り騒ぎが終わったあとの余韻と驚き。愛の反対が無関心であるのと同様に、貧乏でも多忙でもなく、世の中からの無関心ーー必要とされないことを、人は一番おそれているのではないか。
編者の意図もすばらしい。バランスのとれた短編集。
1. 氷の宮殿
アメリカの北と南。出身地と男女の相性。
2. 冬の夢
主人公がよい。暗い。女性の虚勢とそれに気付きながらも受け入れる男性。
3. 金持の御曹子
すばらしい。幸せとは何か、問いかけてくる。青春と家庭とその先に待っている老いをも匂わせる。金ピカの中に哀愁ただよう作品。
4. 乗り継ぎのための三時間
まるで星新一のような。おもしろい掛け違い短編。短い中に人生のおかしみが詰まっている。あるある、と思わず膝をうってしまうユーモアのある作品。
5. 泳ぐ人たち
水の中の静けさと心地よさ。それが伝わってくる。伏線や展開がおもしろい。短編だからかもしれないが、この著者は道中がうまく、終わりが若干尻込む。会話もベタベタと男女の会話を書くのではなく、まるですべて見てきたあとのようにさらっと、少しだけ書き出してあとは抽象的な心理描写で終わらせてしまう思いきりの良さがよい。
6. バビロン再訪
この作品のなかで、唯一恋愛ではない作品。みうらじゅんさんが書かれていた「親は子のファン」という言葉通り。うまくいかない人生のいたずら、周りからはそれもすべてうまくいっているように見られてしまうジレンマ、人生の試練が分かりやすく凝縮されている作品。
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映画『華麗なるギャツビー』を見る前に、と思って買ったけど、なんか読んだことあるな・・・。
他の短編集と重複して収録されているのがあったのかもね。
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『夜はやさし』を読んで以来フィッツジェラルドに興味がある。きらびやかな表面の下に闇がうごめいているかのような独特の雰囲気(誰かの受け売り)に惹かれる。
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中公文庫から出ている村上春樹編の短編集に引き続き読んでみた。
「乗り継ぎのための3時間」と「泳ぐ人たち」の2編が初めまして。
前者にはいろいろな意味での喪失が、後者にはアメリカとヨーロッパの二項対立のようなものが描かれる。
伝統や、国民性、「泳ぐ人」と「泳がない人」、そんな対照。
村上春樹訳とくらべたら翻訳が少し古い感じがする。特に会話文で感じたり。
村上訳も癖があるので、合わせて読み比べるのも面白い。
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社会的な成功と幸福は必ずしも一致しないということを、しみじみと感じた。
異国情緒漂っているのは感じたが、心情をイメージできないところがあった。文化の違いだろうか。
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華麗なるより、こちらが作者の本命な気がする。
野崎氏の訳も華麗なるより言い回しが心理的に深い。
まぁフィッツジェラルドが知られたのは春樹氏のおかげ。
それだけは言い切れる。
春樹氏万歳かアメ文学好きじゃないと乗り切れない所がある。
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アメリカのそこそこ金持ちの物語ってのがフィツジェラルドのイメージやけど、この短編集もまさにそんな感じやった。個人的には「氷の宮殿」がとても良かった。主人公の少女がとにかくキラキラしてていい。
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ロスト・ジェネレーションの代表的作家、フィッツジェラルド。
その淡い、脱力を誘うような文体が好き。
「氷の宮殿」はアメリカの南部と北部が対照的に描かれていて、アメリカの文化に少し触れられる。
ゼミでフィッツジェラルド研究をしていた女の子は元気かな
Posted by ブクログ
フィッツジェラルドの描くテーマは常に金持ちが落ちるストーリーな気がする。モテモテで金じゃぶじゃぶな人が結局は孤独になる、ってのが多いのかな。
富とは総合的なもんでございますよ、皆様。