フィツジェラルドのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
20年くらい前に、「グレート・ギャツビー」と「老人と海」はどっちがより沁みるか、友人と議論したことがある
結論は「老人と海(以下RU)」となった
「グレート・ギャツビー(以下GG)」は、まずフィッツジェラルドっていう名前がカッコ良いし、社交界が舞台で華やかだし、若い女がたくさん出てくるし、主人公は何だか影あるし、過去に引きずられがちな文章は含みを持たせるし、文庫本持ってるだけで様になるから、ハンチング被った学生がベンチで横になって読んだりしてた
一方のRUは、まず題名がダサいし、舞台は海だから誰もいないし、ヘミングウェイも無骨な佇まいだし、教科書にも載っちゃってるから真面目な印象だし、そ -
Posted by ブクログ
ネタバレ奇跡的に内容を知らずに読み始めて、思わぬ悲劇の結末だったことに驚いた。
いい人があまり出てこないという印象。人を見下していたり金でしか人を見ていなかったりして誰にも共感はできないが、そこが良かった。
過去のデイジーもトムを選び、今のデイジーもトムを選んだのだと思うと複雑な気分になる。
心理描写が巧みで、ニックの言葉だけで場の空気感までよく伝わってくる。感情の目まぐるしく変わっていく様子がありありと。
唯一振り回された形になったニックには少し同情するが、ニックもまたここでの人間関係や生活を終わりにして新たな一歩を踏み出していく。結局元通りというか、何かはあったが何も残らなかったひとときの交流だっ -
Posted by ブクログ
ネタバレ以下ネタバレ。
この作品を理解するカギは最後の数段落にある。ここで作品の要点が作者自身の手でまとめられている。
この作品の主要登場人物たちは西部(田舎)から東部(都会)に出てきた者たちである。作品のラストでは、語り手ニックは、アメリカ建国の父祖たちに思いを馳せる。アメリカ建国はヨーロッパという過去から離れて新しい社会アメリカを作る試みだった。つまり東部-都会-未来/西部-田舎-過去という対照が明らかに見てとれる。
アメリカの夢は都会の夢・資本主義の夢だと言える。作者フィッツジェラルド本人も一時期そういう雰囲気の中で生きた。「つねに過去に押し戻されながら、未来の夢をつかもうとして、前へ前へ