岩城裕明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ完全なる不条理系ホラー。タイトル作の『牛家』はひたすら不気味でエグい上に、どこにもオチが見当たらない。怪異について一つも解決どころか説明もなされぬまま。なのに何度も読み直したくなる中毒性がある。登場人物を含め、最初は何てことない光景が徐々に歪んでいく恐ろしさ。幻覚と現実の境界線が消えていく様は、突然、自分の足元が抜けたような感覚に近い。「ゴミ屋敷にはなんでもある」という言葉がすべてを表している。
2作目の『瓶人』は発想的にはゴーレムかなと最初に思った。冒頭の数行は少年の日常なのに、急転直下、こちらも登場人物たちはネジが飛んでいる。言っていることも、やっていることもおかしいのに少年の語りで進むた -
購入済み
面白かった〜!
ホラー度はじっとりあるものの低め。
想像力豊かであれば不気味に感じる部分は多め。
何より読みやすい!買ってすぐ読み終わってしまった!!
ただ最後のモヤモヤしちゃった。
終わり方は綺麗だけど謎は増えたし、スッキリしない〜!!!!!!! -
Posted by ブクログ
初の岩城先生作品でした。
Twitterで面白そうだなあと思い、読んでみました。日本で唯一の心霊内科医な主人公とその相棒が、患者を診たり見たりして診察していくもの。まず、主人公と相棒の関係性が絶妙すぎて、バディものが好きな方は唸る関係性なのでは、と思いました。
話自体はとても読みやすく、そして毎話設定が凝っていて没入感がありました。そして話が進んでいく度に、主人公にかかっている呪いと相棒との秘密と謎とが解き明かされていき、面白くきちんと不気味でした。2人の間にあるものの行き着く先が、最善だったのかそれすら呪いだったのか、考えさせられる最後も良かったです◎ -
Posted by ブクログ
『牛家』
気持ち悪い。もう二度と読み返したくないです(褒め言葉)
ゴミと死臭の中をジェットコースターでぐるんぐるん進まされるような悪夢体験。意図的に想像力をカットしながら読んでもまだ気持ち悪い。
でも主人公がこの悪夢みたいな怪奇現象から抜け出したところにあるのは地獄のような私生活なんだよなぁ……っていう二重の地獄。
登場人物全員に秘密や暗い過去があって、きっとそれ前提で再読すれば新しい発見もあるんだろうけど、ちょっともう再読する気にはならないですね……ってくらい、気持ち悪さを感じさせる表現が上手すぎる!
『瓶人』
前提が不気味だし登場人物みんなおかしいし結末も最悪なんだけど、なんでか心温まる -
Posted by ブクログ
「てのひら怪談」よりもさらにミニマムな「ゆびさき怪談」。140文字以内という制約があるけれど、それでも、というかだからこそ描き出されるさまざまな恐怖が魅力的です。描かれない部分も多いけれど、その分想像力が恐怖を増幅させることも。
怖いと思ったのは織守きょうや「首がない」「橋姫」、澤村伊智「地獄」「ファミレス」、堀井拓馬「ネタバレイヤー」などなど。岩城裕明「ヒールはやめて」はなんだか可愛くて和みました。矢部嵩の作品はどれも不気味で素敵。そして白井智之「白塗りの悪魔」「川辺の砂」って……不可思議なホラーとしても読めますが。ミステリファンにはいろいろ気づけて楽しい作品では。 -
Posted by ブクログ
とある「呪い」に取り憑かれ、長子が三十歳で死んでしまうという久那納家。呪いを解くために悪霊を幽霊に変え吸収するという目的を持ち、数々の心霊トラブルを解決してゆくホラーミステリ。怖いようでユーモラス、そしてほんのりと切なさを感じます。
さまざまな「悪霊」が引き起こすトラブルとその解決法はしっかりミステリとして楽しめます。ホラーとしての法則も用いながら、いかにも不可思議に思える事象の意味にも納得がいくところが楽しい。「身代金の相場を教えてください」のとっかかりの謎があまりに突拍子もないのだけれど、謎解きとしてはとても堅実なんですよね。なるほど、思えばそれしか考えられないんだけれど。案外気づけなかっ