あらすじ
あるゴミ屋敷の清掃をすることになった特殊清掃員。期間は二日間。作業は順調に進んでいたが……いてはいけないもの、片付けられない部屋、様相を変え続ける内装……これは現実なのか、それとも……!?
※この作品は、第二十一回日本ホラー小説大賞佳作となった「牛家」に、書き下ろし作品「瓶人」を加え、文庫化したものが底本になります。
感情タグBEST3
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気持ち悪くていい!! すき。
最初はホラー路線を辿るのに、後半になるにつれてSFになる。
牛がそう絡んでくるのか……! と、にやにやしながら読んだ。
「瓶人」は、よく考えると気持ち悪い話なのだが、語り手が子供であり、一人称視点で描かれており、狭い世界内(友達)を全世界として捉え、それと比較して自分の「家庭」を見ているため、強烈に異質であるはずの「瓶人」も、あくまで「他の家のお父さんに比べて、変」というようなレベルで語られており、コミカルに感じられる。
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完全なる不条理系ホラー。タイトル作の『牛家』はひたすら不気味でエグい上に、どこにもオチが見当たらない。怪異について一つも解決どころか説明もなされぬまま。なのに何度も読み直したくなる中毒性がある。登場人物を含め、最初は何てことない光景が徐々に歪んでいく恐ろしさ。幻覚と現実の境界線が消えていく様は、突然、自分の足元が抜けたような感覚に近い。「ゴミ屋敷にはなんでもある」という言葉がすべてを表している。
2作目の『瓶人』は発想的にはゴーレムかなと最初に思った。冒頭の数行は少年の日常なのに、急転直下、こちらも登場人物たちはネジが飛んでいる。言っていることも、やっていることもおかしいのに少年の語りで進むため、何だか爽やかさやお涙頂戴(のような)シーンもある。ふつうに考えてハッピーな話じゃないのに、なぜか青春小説を読んだような読後感で我ながらちょっと笑ってしまった。
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これは何を意味するのだろう?と理屈で考えながら読んでいたことが楽しめた要因だろう。主人公に感情移入しながら読めたので、起こる出来事に対して感情が振られる楽しさがあった。
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岩城裕明のホラーは『事故物件7日間監視リポート』で知ったが本作は帯の通りかなりの問題作。ゴミ屋敷の清掃バイトを進めるうちに迷宮へと迷い込み、自らの境遇も溶けて悪夢のような展開となる。インパクトはあるが読後は人それぞれ何かしら引っかかるだろう。
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表題の「牛家」だけだったら星3つだったんだけど(途中でこんがらがった。不条理は難しい…)一緒に収録された「瓶人」がすごくよかったのでプラス1。
クソの様な母親とか、そもそも主人公の発想がアレなので(あーいう環境でそだったらそら歪むわな)決してよい読後感とは言えないんだけど、なんとも言えず切ない印象でした。
多分読み直したら「牛家」も味わい深くなるんだろう…な…?
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『牛家』
気持ち悪い。もう二度と読み返したくないです(褒め言葉)
ゴミと死臭の中をジェットコースターでぐるんぐるん進まされるような悪夢体験。意図的に想像力をカットしながら読んでもまだ気持ち悪い。
でも主人公がこの悪夢みたいな怪奇現象から抜け出したところにあるのは地獄のような私生活なんだよなぁ……っていう二重の地獄。
登場人物全員に秘密や暗い過去があって、きっとそれ前提で再読すれば新しい発見もあるんだろうけど、ちょっともう再読する気にはならないですね……ってくらい、気持ち悪さを感じさせる表現が上手すぎる!
『瓶人』
前提が不気味だし登場人物みんなおかしいし結末も最悪なんだけど、なんでか心温まる読後感だった。なんでだよ。
基本的には「死者を蘇らせる」って要素の入ったヒューマンドラマだなと思った。たぶん。
ラストがハッピーエンドと思うかメリバと思うかはその人次第かな……
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本書に収録された「瓶人」の方が、個人的には好きだった。最後の文にも痺れた。グッドエンドにしろ、バッドエンドにしろ、やっぱりホラーは毒のある終わり方でなくちゃいけないよなと改めて思った。
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飽きずに読ませてくれるホラー短編2編を収録。収録された『牛家』も『瓶人』ともにグロいながらも、どこかユーモラスである。
『牛家』。ゴミ屋敷の清掃を任された主人公と同僚は、次第に夢とも現とも判別出来ない奇妙な世界に足を踏み入れる。
『瓶人』。所謂、ゾンビ物なのだが、面白い設定になっている。
第21回日本ホラー小説 佳作受賞作。
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牛家は雰囲気がよかったが、なんとなく惜しい感じだった。瓶人は優しさと暴力性がミックスされており、すごくよかった。瓶人みたいな話をもっと書いてくれるといいな。
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ゴミ屋敷にはなんでもある。そして迷うと、抜け出せなくなる…。特殊清掃の仕事から戻れば、自宅には精神を病んだ妻が待つ。 フルーツで作られた生ける死体の話「瓶人」との二本立て。
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表題作はあんまり…というか、文章がアレ過ぎて読むのに苦労しました。あんまり小説とか読んだことのない人が書いた文章のような…気がしないでもないですけれども、実際のところはどうなんでしょうか?
今流行りのゴミ屋敷!を舞台に繰り広げられるお話ですから、期待していたんですけれども、なんだか…まあ、ホラー小説?だからなのかもしれませんけれども、お話が非現実な方向へと向かっていってしまいましたねぇ…これ、作者も書いてて混乱してきたんじゃないでしょうか? なんだか話の落としどころにやや難が…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
個人的には「瓶人」のが良かったですねぇ…少々、泣けるような話ですし。表題作とは雲泥な出来栄えだなぁ…と思いました。
角川ホラー文庫とかってあんまり読んでこなかったんですけれども、暇つぶしには丁度良いですね! 幽霊を怖がる、みたいな感覚はあまり僕には無いのですけれども、このホラー小説群を読んでいくうちに本当の恐怖に出会えるかも! みたいな期待が無いではないので、これから少しずつ読んで行こう…。
さようなら…。
ヽ(・ω・)/ズコー
Posted by ブクログ
とあるゴミ屋敷。空いた玄関を覗くと山頂から見下ろした雲の様にゴミ袋が廊下を埋め尽くす。そしてその奥に一際大きな物体が鎮座している。男か女か人なのかも怪しい牛の様な肉の塊。導入部のこの1文に心の琴線がソクソクしたのだが…いや、確かにゴミ屋敷に於ける次に何が出てくるか分からない恐怖の疾走感は気持ち良かった。前半までは。後半は何やらSFっぽい展開となり、あらま!というオチに消化不良。危機的状況下のジョークや妙な冷静さに緊迫感が失せた。非常に面白い設定だけに後半の失速が残念。不気味さと異様さは秀逸。こういうの大好き。
Posted by ブクログ
ゴミ屋敷の清掃にやってきた特殊清掃員が体験した奇妙な出来事を描く表題作と、奇妙な親子の関係を描いた「瓶人」の2編を収録した作品集。
表題作「牛家」は日本ホラー小説大賞の佳作を受賞した作品なのですが、これは感想が難しい…。巻末でホラー小説大賞の選考委員、宮部みゆきさんの選評が載っているのですが、これが一番この作品を表しているように思うので引用します。
「『牛家』は問題作です。「おいしい?」と問われて、「……たぶん」という返答しかできない異国の料理のような味がします。」
言いえて妙です(笑)。あらすじもオチもへったくれもなく、ただゴミ屋敷で奇妙な体験をするだけの話。だんだん主人公たちが体験していることの現実と幻想の区別がつかなくなり、そしてそのまま放り投げられます。いわゆる不条理ホラーですが、文章はなかなか板についていると思いました。
なんとなく大賞が取れなかったのも分かりますが、かといって埋もれさせるのがもったいない、という気がしないでもない、そんな作品です。こんな言葉はどうかと思いますが納得の佳作作品!
「瓶人」はそれと比べるとインパクトは落ちるものの、話は上手くまとまっていて、作者紹介によると既に別の賞でデビューされている方らしいので、そうした地力の確かさが出ているように思いました。
第21回日本ホラー小説大賞佳作「牛家」