上原裕美子のレビュー一覧
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本書は、脱成長の基本ビジョンが分かりやすく説明されるとともに、世界各地における実践例が紹介されており、入門書として適当な一冊だと思います。
ただ、「脱成長」について思うこと。
どうにかしなければならないことは理解できる。無駄なもの、ここまで必要ないだろうと思うモノやコトも多い。しかし、経済成長が良いことだ、パイを大きくしないと豊かになれないという考えが沁み込んでしまっている人間(自分だってその一人だ)が大勢の中で、政治を変え、脱成長の経済にしていくことを現実化していくのはとても難しいだろうと思う。
特に国際社会において対立の度が深まっている現在、これまで不平等を強いてきたから先進国が -
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「統計でウソをつく法」ダレル・ハフ著
という、ちょっと有名な一般向け統計的発想の啓蒙書があって、その本のことは名著として褒めてはいるが、この本に対し、いや、統計ってのはちゃんと扱えば強力なツールになるのだ、ただ、誤謬が入ることもあるし、わざと誤誘導しにくることもあるから騙されないようにこういうところに気をつけよう!
的な本。
「この本に対し」も何も、同じことを違う言い方してるような気もするんだが。
本としては、散文的で事例がむやみに多く、同じことの繰り返しで、だれる。
結局のところ、落ち着け、冷静に分析しようと、最後にまとめてくれてはいる。
だが、心構え的なところはなかなか身につくも -
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本書冒頭で語られる、行動も、麻薬や、アルコール、タバコと同様、依存をもたらすというのはその通りと思える。
今や、多数の人々がスマホを片時も手放せず、デートの最中や、友達との食事中までスマホをチラチラ見ているのはよくあること。
スマホは現代の生活において必要不可欠であるが、過度にそれに依存する/のめりこむ/集中することが、弊害をもたらす。
人を依存させる要因として、目標、フィードバック、進歩の実感、難易度が上がっていくこと、クリフハンガーの感覚、他者との交流があるということも概ね納得。
本書後半、どうやって依存から抜け出すか、依存にならないためにはどうするか、というあたりになると、途端に歯切れが -
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「共感」は、意識的に伸ばすことのできる能力だ。分断や不寛容が広がる時代に不可欠なこの「思いやる力」について、心理学者が解説する書籍。
人は「共感(エンパシー)」という感覚を通じて、相手の気持ちや痛みを推測し、理解する。
この共感の最も重要な役割は、「やさしい行動」を引き出すことだ。共感すると、人は自分を犠牲にしてでも、他人を助けようという気になる。
共感の本能は、周りにいる人のほとんどが「身内」である時代に進化し、確立した。その後、時代とともに都市化が進むと、知らない人が増え、やさしさの行使は難しくなった。その結果、現代に入って共感力は大きく減少している。
科学者や哲学者はかつて、共感力 -
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「脱成長」、英語ではdegrowthと言う。
私のような左翼を自任している人間でも、資本主義のなかで生まれ、その価値観に深く影響されていることがあるのだろう。まさしくマルクスが言ったように「存在が意識を規定」している。私自身も、経済成長をストップしたり、減速させようという意見を聞くと、抵抗を感じる。しかし、なんでも疑問を突き付け、「正しさ」の上にあぐらをかいている価値観に揺さぶりをかけるのは、ともかくも「良い」ことだ。
著者たちは次のように主張する。経済成長を重視する資本主義経済は惑星地球の限界に到達しつつある。化石燃料はいずれ枯渇する。原子力発電もウランなどの特殊な鉱物資源に依存しており有限 -
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ネタバレ1,感情の反応によって騙される
気に入らないエビデンスは無視しやすい=オーストリッチ効果。相場が下がっているときは株価のチェックをしない。議論の両論のエビデンスがたくさん出るほど、中立から離れてムキになりやすい
2,統計的な見地の鳥の目と、個人的な体験の虫の目を組み合わせる。
3,データの意味がほんとうにわかるか。
何を数えたデータか各印する。ニュースは前週のものだけ読む。
4,全体像のなかで眺める
5、統計の背景にも目を向ける
キックスターターで巨額を集めるプロジェクトがあって話題になるが、40%は一円も集められない。
選択肢が多いと購買意欲がそがれる、という論文は出版バイアスで出版されるが -
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武田先生推薦
☆3.5くらい
行動嗜癖の6つの要素
①ちょっと手を伸ばせば届きそうな魅力的な目標があること
②抵抗しづらく、また予想できないランダムな頻度で、報われる感覚(正のフィードバック)があること
③段階的に進歩、向上していく感覚があること
④徐々に難易度を増していくタスクがあること
⑤解消したいが解消されていない緊張感があること
⑥強い社会的な結びつきがあること
こうした要素を必ず1つは備えている
①好きと欲しいは似ているようで違う。
通常ならば、
好きなものを欲しがり、
欲しいものを好きだと思う。
ところが、
依存症の場合、
愛してはいけない相手に恋 -
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新型コロナウイルスの感染爆発がもたらすものとは? かねてより感染症対策の重要性を訴えてきたワシントン・ポスト紙のコラムニストが、“パンデミック後の世界”を見通す書籍。
今日、世界の国々は相互依存を強めている。そして情報革命により、財やサービス、文化など、あらゆることが高速で移動する。世界は開かれていて、急速に動いているため、必然的に不安定である。私たちは、そのリスクを意識し、危機に備え、社会にしなやかな回復力を持たせていく必要がある。
今回の危機にうまく対処した国には、台湾や韓国など小さな政府の国もあれば、ドイツやデンマークなど大きな政府の国もある。政府の大きさは重要ではなく、共通点は「有 -
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<目次>
第1章 「脱成長」とは何か
第2章 成長で犠牲になるもの
第3章 草の根から変革を起こす
第4章 道を切り拓く5つの改革
第5章 人々を動かすための戦略
付録 脱成長に関する23の質問への回答
日本語版解説 資本主義に亀裂を入れるために(斎藤幸平)
<内容>
最近言われている「人新世」。それが地球の自然環境の破壊へとつながる、資本主義の権化であると。それを超えるためには「脱成長」が必要とする書。この本には具体例がたくさん載っている。そして、夢ばかりを語らない。先進資本主義国は、その甘い汁を離さないし(政治家と金持ちが結託しているから)、一般の我々も資本主義の先など考