上原裕美子のレビュー一覧
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生涯をかけて魚類を分類した科学者デイヴィッドスタージョーダンの半生を描きながら著者の人生について語られている。約2500種以上の魚に彼の名前が冠されておりその影響力は計り知れない。火災や地震で世界各地から集めた魚の標本が砕けても心折れずに収集活動を継続するのは科学者として立派だなと思う反面、スタンフォード大学で独裁政権のごとく権力を振り撒いり優生学に傾倒することで人として劣っていると判断した者への去勢推奨したりと負の面も描かれている。
最後魚って存在せず彼の行動もある意味無駄だっのではと書かれているが直感的にはやはり理解しづらい。魚という分類だけだと説明つかないことはまあ理解できるんだけどでも魚じゃんってなる。分類学難しい。人間の直感なんて当てにならないのかな、そもそも線引きすること自体がナンセンスなのかも。 -
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生物学者、デイビッド・スター・ジョーダンの人生史を紐解きながら、作者の人生、そして「分類」というものの危うさについて叙情的に綴る一本。
変な本ーー!(素直な感想)
ポピュラーサイエンスと思って読み始めたら結構肩透かしを食らう。中心的に語られるのはジョーダンのヒストリーであり、生物学者から優生思想が強まっていき、さらにスタンフォード大学の初期の政治的なゴタゴタした内容まで、サイエンスというよりもどこか事実は小説より奇なり、みたいな話がメインだった。
「魚が存在しない理由」については最終章に軽く触れるのみであるものの、「魚が存在しないこと」から遡って、ジョーダンの功罪を鑑み、そして我々の視点までも揺さぶってくるパワーはあったと思う。
思ってたのとは違うものの、美しい文体のいい読み物でした。表紙が大変美しいしね! -
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依存症ビジネスとどのように共存していくか、の話。依存症ビジネスに含まれている6つの要素の細かい解説が書かれていた。その6つの要素は、確かに依存するなぁと感じる反面、人生を充実させる要素、幸せを感じる要素、とも似ていて複雑な気持ちにもなった。
以下メモ
・行動嗜癖(依存)の恐ろしさ:
仕事や遊び、基本的な衛生観念人との交流などを後回しにしてしまう
・注意力の持続時間が減少している:
マイクロソフトの調査で、人間の注意力の持続時間が2000年の12秒から2013年には8秒に(金魚は9秒)
・依存症は学習によって生じる。記憶に埋め込まれる。なので、同じような環境であれば同じ症状があらわれる。
・「依存症」になる/ならないを決めるのは、自分の心理的な苦痛を和らげるために依存行動(ドーパミンをだすこと)を行ったかどうか。
☆補足として調べたこと:
依存症とは生きるのがつらいという環境への適応対応。依存症の対義語はつながり。人とのつながりがないから、依存物質とつながってしまう。
依存症患者への対策としては、病気として切り離すのではなく、受け入れることが効果的。
依存症へ引き入られる6つの要素
①目標
大きな目標でなく、具体的でチャレンジしやすい小さな目標。
現代は目標追求型の社会で、終わりなき目標が外部から与えられ続けている。システムが数値化して目標へと追い立てる。
②フィードバック
人間は予測不可能なフィードバックにより反応する。いいねボタンに夢中になる。
動機付けられた認知:はずれが続くと「当たりたい」という動機によって、認知がゆがめられる。「大当たりが近づいているはず」「あとちょっと」
③進歩の実感
自分の力で学んでいる、成長の実感が得られること。
④難易度のエスカレート
電気ショックの実験:被験者に20分間ただ座って楽しいことを考えるように指示。気が向いたら電気ショックを体験してもよい。最大20分間に190回電気ショックを自分に与えた人もいた。何もしないより、何かした方がいいと考える。
テトリスという、自分と一緒に成長する難易度。
停止規制:テクノロジーの進歩により停止規制がきかなくなる。
⑤クリフハンガー
続きが気になる終わり方。
未解決事件が人気なのは、人が完了した体験よりも完了していない体験に注目するから。
買い物依存:必要だから買うのではなく、買うという行為にのめりこんでいる。買い物と片付けがループする。
⑥社会的相互作用
社会的承認:他人と自分の価値観が同じと認められることで、仲間に入れているという安心感。
ネットの人間関係にのめりこむデメリットは、そこから何が生じるかではなく、人間関係の発達が生じないことにある。空腹のアリに砂糖だけを与えるようなもの。その瞬間の空腹は満たされてもいずれ飢えていく。
どのように共存していくのか
①子どもには、食事や生活を教えるのと同じように、テクノロジーとの付き合い方を教えていく。
依存傾向になった際には、本人の意思で変化を始められるよう行動を改める動機を表面化していくサポートをする。それにふさわしい環境を創る。
②行動アーキテクチャ
チョコレートを考えないようにして、というと逆に考えてしまう。依存の根源的動機をつきとめれば、それを満たす別習慣を提案できる。また、それとは物理的に距離をとる。
③ゲーミフィケーション
行動嗜癖を逆に利用する。運動や勉強にゲーム感覚を取り入れる。ただし、ゲームが楽しいという動機だけに頼っているとゲームに飽きたときに運動や勉強をやめていしまう。初めはゲームきっかけでも、徐々に本来の目的(運動や勉強)に達成感を感じられる仕組みが望ましい。 -
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ネタバレ「行動嗜癖」という観点から、インターネットやそれを活用したデジタルデバイス、デジタル商品に対する現代人の「依存症」について警鐘を鳴らす本書。現在のデジタルデバイスやサービスは顧客に「依存」させる仕掛けを巧妙に用意しているというのは事実だし、具体例として紹介される内容も「自分にも身に覚えがある」と思えるものばかりで、その内容自体は非常に興味深い。
ただその一方で、「どこまでこの主張を信用していいのか」という根本的な疑問が解消できない。
例えば第一章p.37では、「オンラインでの交流は(中略)ある種の害をもたらす。人間は、自分の行動が他人に影響を与える様子を観察することで、他人への共感や理解というものを学ぶ。目の前で反応を見られなければ共感力は育たない」とし、実際に1979年から2009年までのあいだで、大学生の共感力が下がっているという研究結果も出している。その後も本書の中でこの手の主張は何度も出てくる。
しかしp.300では、「幼いころに長期的にテクノロジーを過剰使用した場合の影響が、まだはっきりと解明されていない」と言ってしまっている。これまで長々とインターネットやデジタルデバイスの悪影響を主張しておきながら、その根拠を揺るがすであろう重要な事実を終盤にしれっと書き、しかもその一行以上は言及はしないまま、本書では「でもやっぱり悪影響あるよね」とばかりに自説を展開していく。これではさすがにその主張を完全に信用することはできない。これ以外にも、正直「それ本当?」と思わせる内容が散見されるように個人的には思う。
基本的に、非常に面白い本だとは思う。書かれている内容は実に興味深いし、一読の価値は十分すぎるほどあると思う。ただ、この本の初版は2019年で、当然その内容はそれ以前の研究・調査内容がベースになっているはず。それを踏まえて、この本の内容が「どこまで本当か」の判断は、慎重に見極める必要がある。 -
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本書は、脱成長の基本ビジョンが分かりやすく説明されるとともに、世界各地における実践例が紹介されており、入門書として適当な一冊だと思います。
ただ、「脱成長」について思うこと。
どうにかしなければならないことは理解できる。無駄なもの、ここまで必要ないだろうと思うモノやコトも多い。しかし、経済成長が良いことだ、パイを大きくしないと豊かになれないという考えが沁み込んでしまっている人間(自分だってその一人だ)が大勢の中で、政治を変え、脱成長の経済にしていくことを現実化していくのはとても難しいだろうと思う。
特に国際社会において対立の度が深まっている現在、これまで不平等を強いてきたから先進国がまずは脱成長に踏み出すべきだという議論は、国力を相対的に弱めることになりかねず、なかなかコンセンサスを得にくい状況ではないだろうか。
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「統計でウソをつく法」ダレル・ハフ著
という、ちょっと有名な一般向け統計的発想の啓蒙書があって、その本のことは名著として褒めてはいるが、この本に対し、いや、統計ってのはちゃんと扱えば強力なツールになるのだ、ただ、誤謬が入ることもあるし、わざと誤誘導しにくることもあるから騙されないようにこういうところに気をつけよう!
的な本。
「この本に対し」も何も、同じことを違う言い方してるような気もするんだが。
本としては、散文的で事例がむやみに多く、同じことの繰り返しで、だれる。
結局のところ、落ち着け、冷静に分析しようと、最後にまとめてくれてはいる。
だが、心構え的なところはなかなか身につくもんではないよな。
普段からきちんとした訓練をしておかないと、難しい。
少なくとも、日本の教育にもっと確率統計をきちんと教えるカリキュラムは必要だと思っている。 -
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本書冒頭で語られる、行動も、麻薬や、アルコール、タバコと同様、依存をもたらすというのはその通りと思える。
今や、多数の人々がスマホを片時も手放せず、デートの最中や、友達との食事中までスマホをチラチラ見ているのはよくあること。
スマホは現代の生活において必要不可欠であるが、過度にそれに依存する/のめりこむ/集中することが、弊害をもたらす。
人を依存させる要因として、目標、フィードバック、進歩の実感、難易度が上がっていくこと、クリフハンガーの感覚、他者との交流があるということも概ね納得。
本書後半、どうやって依存から抜け出すか、依存にならないためにはどうするか、というあたりになると、途端に歯切れが悪くなってくる。
依存を逆に「良いこと」に利用しようとするゲーミフィケーションに至っては、良いことと悪いことはどう区別すんねん、そもそも依存の例で挙げてた運動しすぎとかだって、健康になりたいという動機はよかったわけじゃん、どっちにしろ依存したら生活破綻するやろって、突っ込みどころ満載。
まあ、テクノロジー製品への依存症は始まったばかりなで、これからどうしていくかは/どうなっていくかはまだまだわからないよね、といったところか。