翻訳本は苦手だが、これは読みやすかった。そしてかなりタメになる本だった。
まず、2007年にiPhone、その3年後にiPadを世に送り出し世界を変えたスティーブ・ジョブズが、自分の子にはiPodなどのデバイスを使わせていなかった、というのが衝撃だった。作った本人が、デバイスが幼少期に与える悪影響や
...続きを読む依存性を認識していたといえる。
私がこれを読んで思ったのは、自分が生まれた時にまだこれらのデバイスがなくて良かったということ。最近の子は4歳までに8割がなんらかのデバイスに接するらしく(こういったデータも各所に出ていてわかりやすい)、子育てや教育のひとつに、これらの接し方や使い方をどうするかという大きな問題がある。今の親や教師は大変だ。
そして、そんな自分でさえ、もうスマホなしでは生きていけない。運動のしすぎを誘発するというウェアラブル端末も、良かれと思って使っている。最近スマホを見る時間が増え、一つの物事(読書したりテレビを見るなど)に集中できなくなったと感じていたので、この本を読んでさらに危機感が募った。スマホはそこに置いてあるだけで、気を取られる存在であることがデータで実証されている。
今後は、さらに依存性が高いもの(それこそ現実と仮想の区別がしにくそうなVRなど)が浸透してくるだろう。それらは良い面もあるが、悪い面もある。私たちは、現実から逃げず、リアルの世界も大切にしながら、それらと適切な距離を保って生きていかねばならないのだと強く思った。
知っておくべきことが多く書かれていた良書だと思う。