あらすじ
信用できる統計データを賢く使う人が、見る真実とは。
現代社会の必須ツール――統計学はトレンドを見通す望遠鏡だ!
賢く統計を使いこなす人はなにに注意しているのか?
嘘のデータに騙されずにどんな真実を見ているのか?
統計データを疑うばかりでは世界のリアルが見えてこない。
好奇心と健全な猜疑心を持ち感情やバイアスの罠を回避し
いまのトレンドを見通す術をFTの人気コラムニストが伝授。
【統計を賢く使うための10のルール】
ルール1 とっさの感情には注意する
ルール2 個人的経験を疑う
ルール3 なにを数えたデータか確認する
ルール4 俯瞰する
ルール5 背景を知る
ルール6 数え損なったデータを考える
ルール7 AIやアルゴリズムに丸投げしない
ルール8 公的統計の存在を重視する
ルール9 グラフやチャートが美しくても、鵜呑みにしない
ルール10 頭と心を柔軟に
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
自分は数字で騙されやすいと思っているので、そのリスクを避ける手がかりになりそうな本でした。
以下の3つが個人的に心に残りました。
特定のデータ解釈へと読み手を差し向け、その他の結論には至らせないという点で、このローズ・ダイアグラムは驚くほどに巧みだ。
ジョージ・ギャラップは、大きなサンプルを用意することよりも、サンプリングバイアスを避けることのほうがはるかに重要だと知っていた。
世の中について統計で語る主張に出会って、ソーシャルメディアで共有しようと思ったり、怒りを込めた反論を書き込もうと思ったときは、そうする前に自分に問いかけてほしい。「いま、このことで私はどう感じている?」
統計を見せられたときは、感情、バイアス、表現について一旦整理してから数値を眺めていく訓練をしていこうと決めました。
Posted by ブクログ
「統計でウソをつく法」ダレル・ハフ著
という、ちょっと有名な一般向け統計的発想の啓蒙書があって、その本のことは名著として褒めてはいるが、この本に対し、いや、統計ってのはちゃんと扱えば強力なツールになるのだ、ただ、誤謬が入ることもあるし、わざと誤誘導しにくることもあるから騙されないようにこういうところに気をつけよう!
的な本。
「この本に対し」も何も、同じことを違う言い方してるような気もするんだが。
本としては、散文的で事例がむやみに多く、同じことの繰り返しで、だれる。
結局のところ、落ち着け、冷静に分析しようと、最後にまとめてくれてはいる。
だが、心構え的なところはなかなか身につくもんではないよな。
普段からきちんとした訓練をしておかないと、難しい。
少なくとも、日本の教育にもっと確率統計をきちんと教えるカリキュラムは必要だと思っている。
Posted by ブクログ
1,感情の反応によって騙される
気に入らないエビデンスは無視しやすい=オーストリッチ効果。相場が下がっているときは株価のチェックをしない。議論の両論のエビデンスがたくさん出るほど、中立から離れてムキになりやすい
2,統計的な見地の鳥の目と、個人的な体験の虫の目を組み合わせる。
3,データの意味がほんとうにわかるか。
何を数えたデータか各印する。ニュースは前週のものだけ読む。
4,全体像のなかで眺める
5、統計の背景にも目を向ける
キックスターターで巨額を集めるプロジェクトがあって話題になるが、40%は一円も集められない。
選択肢が多いと購買意欲がそがれる、という論文は出版バイアスで出版されるが、反対の結論の論文は出版されない。
検証するデータは多いほどいいのだが、少しずつ増やしていって、結論が都合よく出たところでやめるのは、統計的手法として正当ではない。
結果を知った後に仮説を立てるなら、立てた後にそのための検証を行うべき。
出版バイアスと、ルーズな研究観光で、統計的事故がおきる。
エクセレントカンパニーに出た会社の3割は2年で業績が傾いた。
6、除外されている存在はないか
TIKTOKのユーザーのアンケートは全体を代表しない。全ツイートを調査しても、すべてではない。ビッグデータはたいてい幻想を含んでいる。
7、アルコリズムには検証が必要。
Googleは検索語からインフルエンザの患者数をAIで推定した。しかしアルコリズムは検証不可能で、間違ったこともある。夏のインフルエンザは予想できない。
雪が映っているハスキー犬はオオカミと判断した。アルコリズムはパターンを見つけるだけ。Googleは入社試験に導入して、女性を差別する結果になった。
しかし人間の判断もぶれやすい。同じ事例でも判決は分かれる。AIだったら同じになるはず。どちらがいいか、ケースバイケース。
8,公的統計を大事にする
CBOの仕事ぶりには、共和党も民主党もケチをつける。後進国では、大統領が求める数字でないと公的統計は認められない。公的統計にケチをつけることを許さないのも、不正が正されない可能性がある。国家権力が情報不足による誤認識をそのまま政策にしやすい。とはいえ、公的統計は基盤になり得る。
9,美しいグラフやチャートに騙されない
どのように見せようとしているか、作り手の意図を推察する心構えを持つ。
10、自分のミスの可能性を常に考える。
フィッシャーとケインズ派ともに専門家で統計に詳しかった。しかし、暴落時の運命は正反対になった。