岡潔のレビュー一覧

  • 春宵十話

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    本書は、岡潔さんが近頃の日本人の情緒のあり方について問題意識を持ち、そのあるべき姿を様々な側面から語られています。

    その教養の幅の広さから専門的で分からない内容の話に入ることも多かったのですが、一つ一つの事柄に対し、岡さん本人が感じていることを率直で丁寧に綴られていることが印象的でした。「情緒」が働くというのはこういうことなのかな、ということを感じさせてくれる文体で、学ぶことに対して純粋な姿勢がよく伝わる本でした。

    私自身、今まで会ってきた優秀な人は共通して「がむしゃらさ」といった雰囲気ではなく、自然でしなやかな雰囲気があると思いつつも、日常では把握しきれない何かがあると感じていました。そ

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    2025年10月18日
  • 人間の建設

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    読みやすかった。
    小林さんの聞き上手っぷりに脱帽。
    トルストイやベルクソンなど共通認識の次元が高いなと感じた。
    しかもそれをひけらかさず、2人とも行間に埋め込む。
    こんな会話がしたいと思った。
    雑談の最高峰を見た気がした。

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    2025年10月16日
  • 人間の建設

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    今の自分の知識量では拾いきれないと感じさせられてしまう本でした。言葉上は分かったような気がしているが全然理解できていないような感覚にとらわれてしまいました。ただその中でも今の自分にとって必要な言葉がピックアップできたのかと思います。定期的に読み直したい本です。前回は10年くらい前でした。

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    2025年09月14日
  • 春宵十話

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    日本古来の美しいものは情緒から成り立っているという考え方をとき、古き良き日本人の心や生き方を重んじていることを強いメッセージ性として感じる一冊であった。
    そしてその日本古来のの美しさ根底を揺るがしている近年の日本教育について世の中に警鐘を鳴らし続けていたのも特徴的であった。今まで日本から生まれていた素晴らしい技術やアイデアが徐々に世界で頭角を現さなくなってきたのも日本の教育が戦後西洋的型に無理やりはめ込まれたからだという考えも一理あると考えさせられた。

    今の自分に特に刺さったのは以下の2文である。
    「ある時期は茎が、ある時期は葉が主に伸びるということぐらいは戦時中皆かぼちゃを作ったから知って

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    2025年06月14日
  • 春宵十話

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    情操の大切さを説いた文章であった。
    数学を専攻し、これから教育実習に行く身としては参考になった。
    かねてから感じていた、日本人の情緒の素晴らしさと廃れていく危機感をつかれて、痛快だった。それとともに、自省の機会になった。

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    2025年05月22日
  • 人間の建設

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    ネタバレ

    知をいくら重ねても情緒からは逃れられないっていう話。

    一つの事象を説明するのに、どの層まで掘り下げてその言葉が出てきているのかわからない為、二人の発言のどこまで理解出来て、出来ていないのか自分でもわからないけど、とりあえず最後まで面白く読めたし、良い言葉たちが沢山あった。




    p. 146
    小林 愛情には理性が持てるが、理性には愛情は行使できない。

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    2025年05月13日
  • 人間の建設

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    人は自然によって育てられる。人が人を育てることなどできない。人間の根本は、知性などではなく感情である。いくら知的に理解できても感情が納得しなければ人は納得しない。何が言いたいかというと、人が自分たちにとって必要なものは、知性でなく感情で納得できるかどうかで決まる。
    これからの時代は、人間を理解しなければならない時代に来ている。いくら知的を重ねても意味がないことがわかってきた。なぜなら、人間にとって大切なのは感情だから。

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    2025年05月03日
  • 人間の建設

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    とにかく2人の会話から頭の良さ、品性の高さが窺えて畏敬の念です。本当に文章として残してくれて、読ませてくれてありがとうございますという気持ちでいっぱいです。
    まだまだ内容的に理解が追いつかないところがあるので何度も読み返したいです。そうしている間に2人の知性や品の高さが憑ればいいなと思います笑。

    またこちらの話は小林秀雄全集から読んでいるのですが、全集では井伏鱒二の評論があり、これには本当に同意です。氏の魅力を忍耐強さという言葉で言語化、簡潔に表してくれてありがとうございます。

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    2025年03月24日
  • 数学する人生(新潮文庫)

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    通読できたわけではないから、いずれまた読み返して 今度は通読できたらと思う。
    社会→自然界→法界、より大きな外側へ意識を向けていくことで得られる境地がある。自分はまだ法界というものを実体験として感じたことがないが、いつかそこに辿り着けるよう人生を刻んでいきたい。

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    2024年10月14日
  • 人間の建設

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    批評家の小林秀雄と、数学者の岡潔による、
    まさに知の巨人といった2人の対談。

    正直難しくてわからない数学の話しもありましたが、理系とか文系とかのベクトルを超越した地点での、高度な知性での対話は、圧倒的で、伝わってくるものがありました。

    小林秀雄がベルクソンを評価している理由など、情緒的かつ逸脱を許さない人生観の情が伝わってきて、そういう感覚が岡潔との共通点だと思いました。

    キリスト教の不信や資本主義の蔓延、または敗戦からの個人主義の導入によって、民衆の知力の低下を憂う、有意義な対話であると思います。



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    2024年09月10日
  • 人間の建設

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    数学者と文章家の歴史的対談。
    何かを究めた人たちは畑は違えど、物事に対する考え方、表現の方法が似通うものなのか。
    喧嘩のようなやり取りになるかと思いきや、お互いをリスペクトする両者の考えの調和は小気味良い。
    理解ができない事柄も多々あるが、再読を繰り返し、歳を重ねながら、理解を深めたいと感じる。
    茂木健一郎氏の「情緒」を美しく耕すために
    の締めが秀逸でこの本に相応しい。

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    2024年08月22日
  • 春宵十話

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    人の中心は情緒である という書き出しで始まる
    日本文化の特性がこの情緒を土台に組み立てられていることや、それがいかに美しい心情を生み出してきたかを様々な側面から論じている。
    そして昨今の教育制度がいかにこの情緒的中心が失われ、それによって子供たちの創造性が阻害されてきたか警鐘を鳴らす

    特に前半はあるべき日本人観のようなものが書かれていて名著。日本有数の数学者が書いている点も大変興味深い

    情緒とは自然が人間に差し出してくれるもの を指していると解説にあった

    人の人たる道をどんどん踏み込んでいけば宗教に到達せざるを得ない。
    人の悲しみがわかること、そして自分もまた悲しいと感じることが宗教の本

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    2024年01月30日
  • 人間の建設

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    ただのメモ

    無明≒小我≒西洋的な自我
    人は自己中心に知情意し, 感覚し, 行為するものであるが, 自己中心的な行為しようとする本能のことを無明という.
    岡潔は無明をおさえれば, やっていることが面白くなってくるというが, これは無明を超えた真の自分の心, ユングでいう自己から俯瞰してみるということなのだろうか.

    一番面白かったのは, 数学が抽象的になってしまったという話だった.
    感情的に矛盾するとしか思えない二つの命題を共に仮定してもそれが矛盾しないという証明が出てしまったことにより, 知情意の知のみの領域へ入り込んでしまった. 矛盾するというのは情であり感情の満足であるが, これが納得

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    2023年12月30日
  • 人間の建設

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    読んでいて、心が落ち着いた。

    情緒、詩人。
    落ち着いて読めたのは、岡潔さんの言う詩的なところが、この対談にもあったからでしょうか。

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    2023年09月03日
  • 春宵十話

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    人の中心は情緒である。日本人とは何か?人間とは?この世界とは?を考えるためのヒントを沢山頂ける逸出した随筆。

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    2023年06月05日
  • 春宵十話

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    いつだって私のバイブル、指南書である。日本語をここまで美しく書ける数学者はこの人くらいだろう。日本の未来を憂いて様々なことを書いているが、本人が今の日本を見たらどう感じるのか。私は常にそう考えている。

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    2023年01月19日
  • 数学する人生(新潮文庫)

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    ネタバレ

    情緒、人の在り方、自然とは。
    数学者が言語化して残そうとした、日本的世界観を著者の岡潔さんにできるだけ寄り添う解釈が伝わる。何かを極めた時に、人は同じ境地に至るという。自然が好きな私に、刺激的であり、そんな見方考え方があったのか、もっともっと歴史や文学を知りたいと思わせる本と出会うことができた。著者の努力と岡潔の存在に感謝します。

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    2022年10月27日
  • 春宵十話

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    情緒を磨きなさい。今の教育は急かしすぎている。人の中心は情緒であるからゆっくりと健全に育てなければならないのだ。そうでないと数学も人も社会の心もわからないのだ。損得感情抜きに、自分がこれだと思う直観を大切に理路整然とした行いをしなさいー現在の教育問題にも通ずる大数学者の人間論。

    自明のことを自明としてみて(=純粋直観)、少しも打算を伴わない理路整然とした行い(=善行)を人生の中で大切にしていたい。

    10年後、子育ての際にも参考にしたい。

    「数学の本体は調和の精神である」とポアンカレーはいう。数学者である岡潔がこんなに素晴らしい人間論をかくものだから、数学にも興味が湧いてしまった。

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    2022年03月14日
  • 春宵十話

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    〈本から〉
    自然の感銘と発見とはよく結びつくものらしい。

    自然の風景に恍惚としたときなどに意識に切れ目ができ、その間から成熟を待っていたものが顔を出すらしい。そのときに見えたものを後になってから書くだけで、描写を重ねていけば自然に論文ができあがる。

    情操が深まれば境地が進む

    何事にもよらず、力の強いのがよいといった考え方は文化とは何のかかわりもない。むしろ野蛮だと呼ぶべきだろう。

    「楽しむ」というのが学問の中心に住むことにほかならない。

    理想とか、その内容である真善美は、私には理性の世界のものではなく、ただ実在感としてこの世界と交渉を持つもののように思われる。

    理想とはおそろしく

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    2022年02月23日
  • 紫の火花

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    日本の数学者である、、岡潔さんのエッセー集。
    情緒、独創、教育について、独自の視点で語りかけてくれる。
    今時の言葉で言えば、センスを磨く哲学のように感じる。
    技術だけではなく、センスを磨くことで秀でた知性に昇華するのだろう。
    何度も読み返したい一冊。

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    2022年01月05日