岡潔のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
難しい…(笑)仰って居る事は何となく、唯識思想のような気もしますが、解説の魚川さんも書かれているように188頁「これで情緒とはどういうものかおわかりくださったと思います」の後には「いや解んねえっす」と突っ込んだクチです。ですので、この解説を読むと、なるほどなるほど!と思える事が非常に多く、それに何よりこの一冊が非常に色鮮やかな情緒に溢れている事にも気付かされるという仕組み。
初見でさらっと読んで解る方には、この感想もばかじゃねえの?ってレベルなんですけど…
書架に置いておいて、気の付いた時に読み返したいような。
あとは写真がどれも良いのでそれだけでも! -
Posted by ブクログ
人が知的に発達するモデルが独特で、びっくりした。
残念ながらそれほど知的な発達を遂げていない自分には、自分の体験に照らして、思い当たる節があるとか思えることがない。
直観(平等性力智、真善美を判断する智、妙観察智)が合わさって智力を構成している。
情緒は感情のうち、外界の影響を受ける上澄みの部分、下のほうの動かない部分を情操と呼び分けられている。
そしてこれが感覚、知性、情緒(こころ)の順に多く「差し込む」。
大筋、こんな体系のようだ。
つまり、まず人間教育が必要で、それは人を優先することを徹底する道義教育で培われる、とか。
岡先生を訪ねてきた戦後世代の中学生との間に、深い溝があったようだ -
Posted by ブクログ
日本が誇る大数学者岡潔氏のベストセラー随筆集。論理が最重要な数学者が「最も重要なものは情緒」と語っているのは興味深い。岡氏の主張として教育の重要性を謳っているが「質がどんどん劣化している」というトーンはいつの時代もご老体が語る言葉であり、柔軟な発想を持った岡氏の発言としてはやや違和感を感じながら読んだ。
本書内で特に好きな文は「よく人から数学をやって何になるのかと聞かれるが、私は春の野に咲くスミレはただスミレらしく咲いているだけでいいと思っている。咲くことがどんなによいことであろうとなかろうと、それはスミレのあずかり知らないことだ。」。物事の是非を図るのは人間の驕りであり、良し悪しは自然の摂 -
Posted by ブクログ
個人的に今注目のSTANDARD BOOKSシリーズ。
やっと手に取ることができた。
岡潔、この方はなかなかにくせ者だ。
癖に慣れるまではちょっと読みにくい。
思想的にもなかなかに人を選ぶ感じ。
独特な人だったのだろうなあ。
しかし、数学者でありながら仏教者でもあり、文学にも造詣が深い。その厚みは流石。
交友関係の広さも時代を感じる。
ここから寺田、中谷、朝永、湯川とシリーズにも広がる。
同じ要旨の随筆が収録されてしまっているのは、一度に読むことになると、ちょっとくどさを感じてしまった。
異なる趣旨のものを収録してもらった方が良いなあ。
最終ページに、プロフィールとブックリストがあるの -
Posted by ブクログ
批評家、文筆家として有名な小林秀雄と、
歴史に名を残す数学者・岡潔の対談本です。
昭和40年(1965年)のものだということです。
冒頭から、ピカソやアインシュタインを引き合いに出しながら
話は進んでいきます。
「無明」をちゃんと分かっている方が良いんだという流れになります。
無明って、僕は「救いのない」ことなのだろうと読んでいたのですが、
言葉の意味を間違えていたようで、パソコンの広辞苑を開くと、
「一切の迷妄・煩悩ぼんのうの根源。三惑の一つ。」などと書かれていたりする。
となると、話は全然違ってくる。
自分の愚かしさを知っておいた方が良いというような意味にとらえられますね、
彼らの、とく