岡潔のレビュー一覧
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最近生まれた初孫と同じ誕生日の著名人を調べていたら岡潔の名前が出てきた。十数年前に「春宵十話」を読んだがあまりピンとこなくて古本屋に手放してしまったが、今回改めて本書と春宵十話を購入した。
岡潔は大数学者として有名だが、数学に没頭している状態と禅の世界の本質は同じという。自我を抑止して大自然の無差別知の働くに任せること。小我(無明)を離れて大我に生きること。無差別知の情的内容は心の悦び、知的内容は純数直観、真我の心は慈悲心だという。
本書における氏の言葉は、直観に導かれ体験に裏付けられているので、自由で確信に満ちながら教条的でなく詩的である。 -
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教育について書かれた本でした 筆者自身は、「情緒」の定義をしないまま文章を書いているので、ぼんやりとわかりにくい部分もあった。
巻末の解説で、岡潔のいう「情緒」とは、「自然が人間にさしだしてくれるもの」を、上手に受け取るための心の構えだと書いている。
終始、上から目線で物事を断じているところ、特に、女性に関して書かれているところは失笑。旧態然としたオジさんの論調でしかない。
ただし、現代でも通じることも多く書かれており、
「年長者を大事にしろというしつけをしていると、将来困ることが起きるかもしれない。」
「数学に近いのは百姓。理論物理学者は指物師。原爆を作るなど、指物師にしかできまい。」
「何 -
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難しい…(笑)仰って居る事は何となく、唯識思想のような気もしますが、解説の魚川さんも書かれているように188頁「これで情緒とはどういうものかおわかりくださったと思います」の後には「いや解んねえっす」と突っ込んだクチです。ですので、この解説を読むと、なるほどなるほど!と思える事が非常に多く、それに何よりこの一冊が非常に色鮮やかな情緒に溢れている事にも気付かされるという仕組み。
初見でさらっと読んで解る方には、この感想もばかじゃねえの?ってレベルなんですけど…
書架に置いておいて、気の付いた時に読み返したいような。
あとは写真がどれも良いのでそれだけでも! -
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人が知的に発達するモデルが独特で、びっくりした。
残念ながらそれほど知的な発達を遂げていない自分には、自分の体験に照らして、思い当たる節があるとか思えることがない。
直観(平等性力智、真善美を判断する智、妙観察智)が合わさって智力を構成している。
情緒は感情のうち、外界の影響を受ける上澄みの部分、下のほうの動かない部分を情操と呼び分けられている。
そしてこれが感覚、知性、情緒(こころ)の順に多く「差し込む」。
大筋、こんな体系のようだ。
つまり、まず人間教育が必要で、それは人を優先することを徹底する道義教育で培われる、とか。
岡先生を訪ねてきた戦後世代の中学生との間に、深い溝があったようだ -
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編者の森田真生氏は、『数学する身体』で最年少での小林秀雄賞を受賞したということで、私の周りでは小さな盛り上がりを見せた(笑)
で、ふと文庫新刊コーナーを見ると、ばーんと岡潔が載っているじゃないか!ということで購入。
「毎日新聞の連載をまとめた最初の著書『春宵十話』のはしがきは『人の中心は情緒である』という宣言に始まる。ところが、肝心の『情緒』が何かというと、いまひとつはっきりしない。岡はこの言葉を繰り返し用いながらも、それを明瞭に『定義』することを避けるのだ。」
また、「情緒」という言葉に内容を与えていこうとする挑戦、とも言っていて、上手いなあと思う。
では、そんな「情緒」を追っていくと -
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日本が誇る大数学者岡潔氏のベストセラー随筆集。論理が最重要な数学者が「最も重要なものは情緒」と語っているのは興味深い。岡氏の主張として教育の重要性を謳っているが「質がどんどん劣化している」というトーンはいつの時代もご老体が語る言葉であり、柔軟な発想を持った岡氏の発言としてはやや違和感を感じながら読んだ。
本書内で特に好きな文は「よく人から数学をやって何になるのかと聞かれるが、私は春の野に咲くスミレはただスミレらしく咲いているだけでいいと思っている。咲くことがどんなによいことであろうとなかろうと、それはスミレのあずかり知らないことだ。」。物事の是非を図るのは人間の驕りであり、良し悪しは自然の摂 -
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個人的に今注目のSTANDARD BOOKSシリーズ。
やっと手に取ることができた。
岡潔、この方はなかなかにくせ者だ。
癖に慣れるまではちょっと読みにくい。
思想的にもなかなかに人を選ぶ感じ。
独特な人だったのだろうなあ。
しかし、数学者でありながら仏教者でもあり、文学にも造詣が深い。その厚みは流石。
交友関係の広さも時代を感じる。
ここから寺田、中谷、朝永、湯川とシリーズにも広がる。
同じ要旨の随筆が収録されてしまっているのは、一度に読むことになると、ちょっとくどさを感じてしまった。
異なる趣旨のものを収録してもらった方が良いなあ。
最終ページに、プロフィールとブックリストがあるの -
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角川ソフィア文庫から岡潔のエッセイが出るのは四冊目。『春宵十話』『春風夏雨』『夜雨の声』、そしてこの『風蘭』。
どの作品にも、情緒という感覚が深く絡んできて、その説明は分かるようで分からない、どこかに響いているようで、それがどことは言えない感じがする。
並々ならぬ数学者でありながら、教育するということもよく見つめてきた偉人である。
自分の世界だけに入り込みそうに思うのに、そうではなく、よく見ていると感心させられる。
「よく批判的精神などといって、小学校の一年生あたりから「批判」をさせているようですが、批判力というのは高等学校三年ぐらいにならなければ顕現しないと思われますから、批判できるは