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Posted by ブクログ
世界的超天才数学者・岡潔先生。
さすが数学者!と思う理知的な文章の中に、詩人のようにやわらかい表現で人間の本質をさらりと語る。
戦前・戦後を生き抜いた世界的な数学者は、
戦後の日本の在り方や教育に未来への不安を感じ本書は書かれた。
切なる思いで書かれた未来へのメッセージ。
かといって、
本書は悲観的でも危機感を煽るでもない。
よくそんな細かく覚えているなと驚くくらい、
人との出逢いや文学から学んだこと、
数学の研究を通して感じたこと、
自身の体験や思想が丁寧に描かれていている。
心で学び、掴んでこられた岡先生の悟り。
中でも、
創造の原点にある「発見の鋭い喜び」と、
真善美に対する「なつかしい」情操の話は、
私の心に強く響いた。
日本を憂いつつも希望を与えるメッセージ。
その功績のすごさを知れば知るほど
超インスピレーショナブルな数学者・岡潔先生。
情緒とは何ぞや?
人間とは何ぞや?
教育とは何ぞや?
数学とは何ぞや?
美とは何ぞや?
日本とは何ぞや?
そんなことを考えたことがある人に、
ぜひ出会っていただきたい一冊
Posted by ブクログ
奇人と言われることもある岡潔という数学者ってどんな人なのだろうと興味があったので読んでみた。さすがに数学書はちょっと・・・・ということで(笑)。
天才は優しいと言った若者をある動画で見たが、岡潔こそまさにそんな人だと感じる。孫に対する感情や教育において情緒を重んじることを重視する岡潔先生の表現に情緒とともにとてもやさしさを感じずにはいられない。岡潔という数学研究グループがあると外国の研究者に思わせる彼の偉業の背景には、この情緒や感性を重んじていることを背景に歳を重ねた方が数学の良い論文が書けるとのべていることが印象的だ。
欧米の研究者は歳をとると良い研究ができないというらしい。確かに数学などは若い頃に発達する流動性知性との関連が強く、老年期になると結晶性知能といわれる関係性や情緒、機微についての知能が発達するといわれている。このことから考えると岡潔先生が歳を取ってからの方がいい論文が書けるとおっしゃるのは情緒を重んじる彼ならではの論文創出のコツなのかもしれない。 まあ凡人だけれどそれでも情緒を大事にして生きれば独創性が磨けるのかもしれないと都合よく捉えてとそをとっているが諦めずに研究活動に勤しんでみようと思う。
教育者にとってもとても意義ある内容だと思う。今の高校教師に一言言いたいと大学教員の立場で述べていることは一考の余地がある。先取り教育と受験システム、中学受験の過熱化はまさに予言された感じ。 自分が一人の子供をもつ親として共感できる部分も多々ある。情緒を軽んじた影響が顔つきや生物的な現代人の特徴に現れているという。早く成熟させようと躍起になった結果、幼稚さでかわいいことを美的と捉えてしまいかねない現代にこの頃から警鐘を鳴らすのはさすがは天才だなぁと感じてしまった。
Posted by ブクログ
本書は、岡潔さんが近頃の日本人の情緒のあり方について問題意識を持ち、そのあるべき姿を様々な側面から語られています。
その教養の幅の広さから専門的で分からない内容の話に入ることも多かったのですが、一つ一つの事柄に対し、岡さん本人が感じていることを率直で丁寧に綴られていることが印象的でした。「情緒」が働くというのはこういうことなのかな、ということを感じさせてくれる文体で、学ぶことに対して純粋な姿勢がよく伝わる本でした。
私自身、今まで会ってきた優秀な人は共通して「がむしゃらさ」といった雰囲気ではなく、自然でしなやかな雰囲気があると思いつつも、日常では把握しきれない何かがあると感じていました。その掴めない感覚が、この本で少し捉えることができた気がします。
ここ近年、個人的に論理や数値、世間の評価からではない「自然な動機」というのを大事にしていたため、今の時期に最適な本でした。自然な動機に任せることは世間のペースとズレることもあり、焦りや不安を覚えることもあるのですが、一方で自分で考えて生きているなと実感することがあります。この本を読み、その考えが間違っていなかったと確信させられ、強く勇気づけられました。
Posted by ブクログ
日本古来の美しいものは情緒から成り立っているという考え方をとき、古き良き日本人の心や生き方を重んじていることを強いメッセージ性として感じる一冊であった。
そしてその日本古来のの美しさ根底を揺るがしている近年の日本教育について世の中に警鐘を鳴らし続けていたのも特徴的であった。今まで日本から生まれていた素晴らしい技術やアイデアが徐々に世界で頭角を現さなくなってきたのも日本の教育が戦後西洋的型に無理やりはめ込まれたからだという考えも一理あると考えさせられた。
今の自分に特に刺さったのは以下の2文である。
「ある時期は茎が、ある時期は葉が主に伸びるということぐらいは戦時中皆かぼちゃを作ったから知っているはずだが、人間というかぼちゃも同じとは気づかず、時間を細かく切って除いていいとか悪いとか、この子は能力があるとかないとかいっている」
「すべて成熟は早すぎるよりも遅すぎる方が良い。これが教育というものの基本原則である」
上記は結果を急がす日本の教育方針に警鐘を鳴らした一文であると言える。
早く成長することは悩んだり、苦しんだりする過程を省略してしまうことになる。同時に人生の早い段階で成功すると自分はすごいんじゃないかという錯覚に苛まれ傲慢になるリスクが高い。だからこそわたしたちは時間をかけて課題に向き合うべきであり直ぐに結果を追い求めるべきではないのだという主張だと考察する。
時代の移り変わりが早い業界にいるせいもあってかなんでも早ければ早いほどいいとされる風潮に嫌気が差してる自分には納得できる点が多かった。著者はなくなっているが資本主義の加速と不景気が後押しをし社会全体が長期投資に我慢できなくなっている現代を直視して書いたのでは?と思える内容だった
Posted by ブクログ
人の中心は情緒である という書き出しで始まる
日本文化の特性がこの情緒を土台に組み立てられていることや、それがいかに美しい心情を生み出してきたかを様々な側面から論じている。
そして昨今の教育制度がいかにこの情緒的中心が失われ、それによって子供たちの創造性が阻害されてきたか警鐘を鳴らす
特に前半はあるべき日本人観のようなものが書かれていて名著。日本有数の数学者が書いている点も大変興味深い
情緒とは自然が人間に差し出してくれるもの を指していると解説にあった
人の人たる道をどんどん踏み込んでいけば宗教に到達せざるを得ない。
人の悲しみがわかること、そして自分もまた悲しいと感じることが宗教の本質ではなかろうか。キリストのいう愛も同じことを言ってると思う。
宗教の世界には自他の対立はなく、安息が得られる。しかしまた自他対立のない世界には向上もなく理想もない。だから自分は、純理性の世界だけでも、宗教的世界だけでもやっていけず、両方を兼ね備えた世界で生存し続けるであろう。
秩序を保っているのは法律ではない。それは道義心に他ならない。義務教育は、この道義的センスをつけることに尽きる。
1、2、3歳は母が愛と信とを教え、4、5、6は父が信と欲とを教えると良い。
漱石 自分の小説は少なくとも諸君の家庭に悪趣味を持ち込むことだけはしない
宇宙があるから地球があるのではなく、たった一つ奇跡の地球のために宇宙があるのかもしれない
真実美は、求めれば求めるほどわからなくなるものだと思う。わからないものだということを一般の人がわかれば、それだけでも文化水準は上がるに違いない。
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