岡潔のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人の中心は情緒である という書き出しで始まる
日本文化の特性がこの情緒を土台に組み立てられていることや、それがいかに美しい心情を生み出してきたかを様々な側面から論じている。
そして昨今の教育制度がいかにこの情緒的中心が失われ、それによって子供たちの創造性が阻害されてきたか警鐘を鳴らす
特に前半はあるべき日本人観のようなものが書かれていて名著。日本有数の数学者が書いている点も大変興味深い
情緒とは自然が人間に差し出してくれるもの を指していると解説にあった
人の人たる道をどんどん踏み込んでいけば宗教に到達せざるを得ない。
人の悲しみがわかること、そして自分もまた悲しいと感じることが宗教の本質ではなかろうか。キリストのいう愛も同じことを言ってると思う。
宗教の世界には自他の対立はなく、安息が得られる。しかしまた自他対立のない世界には向上もなく理想もない。だから自分は、純理性の世界だけでも、宗教的世界だけでもやっていけず、両方を兼ね備えた世界で生存し続けるであろう。
秩序を保っているのは法律ではない。それは道義心に他ならない。義務教育は、この道義的センスをつけることに尽きる。
1、2、3歳は母が愛と信とを教え、4、5、6は父が信と欲とを教えると良い。
漱石 自分の小説は少なくとも諸君の家庭に悪趣味を持ち込むことだけはしない
宇宙があるから地球があるのではなく、たった一つ奇跡の地球のために宇宙があるのかもしれない
真実美は、求めれば求めるほどわからなくなるものだと思う。わからないものだということを一般の人がわかれば、それだけでも文化水準は上がるに違いない。 -
Posted by ブクログ
岡潔さんのことを知ることができたのは、つい最近のことです。
人は壁の中に住んでいるのではなくて、すき間でこそ成長する。すき間を長くしなければ到底智力が働くことはできまいと思われます。
人が数学をし、人が教育し、またされるのである。
心の世界は数学の使えない世界、これに反して物質の世界は数学の使える世界。
欧米に於いては自然科学はだいたい物質主義で、社会主義の人達に対しては、完全な物質主義である。
自然科学で到底乗り越えられそうもない二つの難問題。一つは物質が常に諸法則を守って決して違背しないのはなぜだろうということと、もう一つは時間、空間、特に時間とはなんだろうという問題。
この本で気になった部分のいくつかを引用しました。
もっと岡潔さんの本を読ませていただきたいです。 -
Posted by ブクログ
日本の誇る数学者である岡潔さんの講義やエッセイ。
好きになった数学を、探求し続けた岡さんの生きてきた軌跡を垣間見れる一冊。
俳句、絵画、芸術、仏教、日本文化などにも造詣が深く、それが数学にもつながってきたりする「岡さんが見つめてきた世界」を一緒に見ている気分になってくる。
どんな分野でも世界的な偉業を成し遂げるような人は、視野はとてつもなく広く、独特の視点から見つめる先を深く深く掘り下げ、自らの立場に立ち返って視座を高めている。そして、誰も追いつけない高みに到達している。
そのほんの一旦でもいいから、近づきたいとの思いから、日々悶絶している凡人には眩しすぎる。でも、見つめずにはいられない憧れとなる。尊敬する偉人の一人。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ娘が学芸大学に行っているので教育学を学んでいる学生たちのことを聞いてみたが、ひどいものだと思った。「何々教育学」というものがそこら中いちめんにあり、必ず出席をとるだけでなく試験をする。おもしろくもないのを覚えなければならない。ゼミナールだ、講義だといって自分の勉強はちっともしていない。こうして本来のものからはずれたものになり、理性が理性として働かず、鉛のさびをかぶせたようになってしまう。
こういう人たちが先生になり、その調子で教える。義務教育の子に遊ぶひまもないくらいいろんなことを教え込む。その結果、子供たちは、わかってもわかっていなくてもぼうっとしていることになり、いろいろなセンスが欠けて正義心、廉恥心も働かなくなるのだ。
近ごろは集団として考え、また行動するようしつけているらしいが、これこそ頭をだめにしてしまう近道だと思う。人の基本的なアビリティーである他人の感情がわかるということ、物を判断するということ、これは個人が持っているアビリティーであって、決して集団に与えられたアビリティーではない。学生たちに最初から集団について教え、集団的に行動する習慣をつけさせれば、数人寄ってディスカッションをしないと物を考えられなくなる。しかしそれでは少なくとも深いことは何一つわからないのだ。 -
Posted by ブクログ
数学などやって何になるのだと言われるが春の野に咲くスミレはただスミレのように咲けばよい、咲こうが咲くまいがそれが春の野にどのような影響があろうとなかろうとスミレの預かり知らない事だと私は答える。に感銘を受けて手に取った。
人間に最も大切なことは情緒を育むことであり、子供はたくさん宿題を出す先生よりも共感してくれる先生に敬意を持ちいつまでも覚えているということ、自分もそうだったこと、大人の不安を子供のスケジュールをパンパンに埋める事で解消しようとする教育方針に納得がいかない事などが印象に残った。
随筆をまとめたものになるので一貫した主張があると言うよりはこの事についてはこう思った、他のことについてはこう思う、と時と内容に応じて書きっぷりも変化しているが、だからこそ著者の人となりを色んな角度から拝むことができる良著だった。
最後の『師について友について』のところでこれまでの人生を振り返って出会った人、お世話になった人を評する所で旧友2人に対しこの人は意思が強くていい、闊達な振る舞いや語りが自分にはなかったためいい影響を受けた。この人は意思がないのがいい、仏教的精神からすると自我は無ければないほどいいから。とそれぞれを同じ物差しで比較せずに別種の動植物を見るようにそれぞれ違ってそれぞれいいねと言う語りが情緒の真髄の一端を垣間見せていると感じた。
何かに感銘を受けたり、感動したり、尊敬したりする感性をこの人は情緒と呼んでおり、カーソンのセンスオブワンダーと同じ様な雰囲気を感じた。