岡潔のレビュー一覧

  • 紫の火花

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    日本の数学者である、、岡潔さんのエッセー集。
    情緒、独創、教育について、独自の視点で語りかけてくれる。
    今時の言葉で言えば、センスを磨く哲学のように感じる。
    技術だけではなく、センスを磨くことで秀でた知性に昇華するのだろう。
    何度も読み返したい一冊。

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    2022年01月05日
  • 数学する人生(新潮文庫)

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    芭蕉や夏目漱石をこよなく愛した世界的数学者が辿り着いた、喜び溢れる生を生きるための視座。科学と宗教と哲学が、美しく有機的に繋がっていき、人生とは何かに迫る。

    でも、数学者が哲学者になったんではない。日本という土地で、素直に数学を突き詰めていった先に、日本文学や仏教が自然と溶け込んできて、一体の学びとして開花したのだ。
    「情緒とは何か?」を語りつつも、定義を名言しない姿勢には、國分功一郎先生が『原子力時代の哲学』でとりあげたハイデガーが『放下』で展開した姿勢にも似たものを感じた。考え方、そのプロセス自体の再検討。

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    2021年10月18日
  • 岡潔 数学を志す人に

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    岡潔さんのことを知ることができたのは、つい最近のことです。

    人は壁の中に住んでいるのではなくて、すき間でこそ成長する。すき間を長くしなければ到底智力が働くことはできまいと思われます。

    人が数学をし、人が教育し、またされるのである。

    心の世界は数学の使えない世界、これに反して物質の世界は数学の使える世界。

    欧米に於いては自然科学はだいたい物質主義で、社会主義の人達に対しては、完全な物質主義である。

    自然科学で到底乗り越えられそうもない二つの難問題。一つは物質が常に諸法則を守って決して違背しないのはなぜだろうということと、もう一つは時間、空間、特に時間とはなんだろうという問題。

    この本

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    2021年06月01日
  • 数学する人生(新潮文庫)

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    日本の誇る数学者である岡潔さんの講義やエッセイ。
    好きになった数学を、探求し続けた岡さんの生きてきた軌跡を垣間見れる一冊。
    俳句、絵画、芸術、仏教、日本文化などにも造詣が深く、それが数学にもつながってきたりする「岡さんが見つめてきた世界」を一緒に見ている気分になってくる。

    どんな分野でも世界的な偉業を成し遂げるような人は、視野はとてつもなく広く、独特の視点から見つめる先を深く深く掘り下げ、自らの立場に立ち返って視座を高めている。そして、誰も追いつけない高みに到達している。
    そのほんの一旦でもいいから、近づきたいとの思いから、日々悶絶している凡人には眩しすぎる。でも、見つめずにはいられない憧れ

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    2020年09月27日
  • 春宵十話

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    ここで語られる教育論や、情緒とそこに根差す情操と言ったものは今もって説得力があると感じる。
    数学と芸術の類似性についての語りは、あぁこの人天才なんだな、と感じる次第であるが、実際に物事を深く探求するといことは、そうした境地に近づくといことなんだろう。その意味で、文学を含めた芸術に批評的であるというのは、何かを極める上でも必要な資質なんだと理解した。

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    2020年09月21日
  • 春宵十話

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    ネタバレ

    数学者岡潔のエッセイ。
    子どもを育てるものとして参考になることがたくさん書いてあった。

    1901年生まれなのでかなり昔の方なのだけど、教育にとって大事なのは情緒的な感情や心の成長だと終始書かれていて、今まさに非認知能力が注目されているのを見ると間違っていないなと思う。

    そしてこの方、数学者でありながら芸術的なもの、文学や絵画、音楽なども楽しむ心を持っており、目的に通じるわかりやすい何か一つを突き詰めるだけでは物事への理解を深めるには限界があって、いろんなことを楽しむ心を育てることでそれが深まっていくということがよくわかった。

    わたしも兼ねてから、人生のいわゆる成功(学歴や職種)に直接関係

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    2020年08月30日
  • 数学する人生(新潮文庫)

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    学問が細分化されていく現代で情緒ある研究をできている人がどれほどいるのだろう。
    岡潔は振り切っていたから、ほぼ無職状態の時に大業を成し遂げたが、
    研究に「競争」の概念がやたらと持ち込まれ始めた現代のアカデミアで同じことをするのには制度的、精神的、経済的にも大きな壁がたくさんあることだろう。
    現代の学問は岡潔の見ていた世界に立ち戻ることはできるのだろうか。

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    2020年08月29日
  • 春宵十話

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    ネタバレ

    娘が学芸大学に行っているので教育学を学んでいる学生たちのことを聞いてみたが、ひどいものだと思った。「何々教育学」というものがそこら中いちめんにあり、必ず出席をとるだけでなく試験をする。おもしろくもないのを覚えなければならない。ゼミナールだ、講義だといって自分の勉強はちっともしていない。こうして本来のものからはずれたものになり、理性が理性として働かず、鉛のさびをかぶせたようになってしまう。
     こういう人たちが先生になり、その調子で教える。義務教育の子に遊ぶひまもないくらいいろんなことを教え込む。その結果、子供たちは、わかってもわかっていなくてもぼうっとしていることになり、いろいろなセンスが欠けて

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    2020年03月08日
  • 春宵十話

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    著者、岡潔は、この本の中で「なつかしい」という言葉を多用している。そして、数学は情緒であるという。岡潔は、日本的情緒が失われることを今でなく、ずいぶん昔に危惧している。でも、私個人としては、この本の読後感としては、のどかで、温もりを感じ、こころが洗われた。そして、過去のこととは思えなかった。同時に生きている生々しさがあった。

    また、芥川龍之介や夏目漱石、ドストエフスキーといった文豪を好みにしているところが私と一致していたことに驚きを感じた。

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    2019年02月11日
  • 春宵十話

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    "こんな本に出合えることが、読書をやめられない理由の一つ。
    自分自身がこれまでの人生の中で、ありとあらゆる外界と接触して培ってきた感覚と、本書の著者である数学者の岡さんのものは、全然違うもの。
    新たな視点、気づき、驚きを与えてくれた。岡潔さんの目線と同じ場所に到達するには、まだまだ精進が足りない気がする。
    人間を見つめる視点、日本人をとらえる感覚は、深く洞察したうえで到達する高みにあるようだ。数学と芸術はとても似ているという感覚は、今の自分には持ちえない感覚だ。また、前頭葉の使い方で戦前と戦後では日本人の顔までも変化しているという観察など、思いもつかない。
    人の顔なんて、それぞれで、

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    2018年11月23日
  • 春宵十話

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    約50年前に書かれた書物であるが、内容は今でも全く色あせていない。
    「人の心には情緒がある」
    著者は、日本文化の特性がこの情緒を土台に組み立てられていることや、それがいかに美しい情緒を生み出してきたかを、様々な側面から論じている。
    また、戦後の新教育制度の中で、いかにこの情緒的中心が教育の現場から排除されてしまっているか、それによっていかいに子どもたちの創造性が阻害されたかを示して、警笛を鳴らした。
    P200

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    2018年10月12日
  • 春宵十話

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    冒頭、人の中心は情緒である。その言葉に衝撃を受ける。数学者の言葉であること、普段あまり考えていなかったことだからだ。岡潔は思想家でもあったことを知る。教育について多くを語る。自分自身が受けた戦後間もない頃の教育を考える機会となった。数学者は百姓、物理学者は指物師という。なるほどだ。便利だけど落ち着かない現代社会。今、現代にこそ読まれるべき本だ。

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    2018年01月17日
  • 春宵十話

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    世界大戦後の日本を憂慮して教育に関して自身の経験を交えつつ書いたエッセイ.
    読み始めたときは数学者とは思えないほど表現力に富んだ柔らかな文章だなと思ったが,数学者だからこそ,特に筆者の言う"情緒"に富んだ方だからことこのように興味深い文章が書けるのだと納得した.
    歴史や昆虫採集など,幼いころから多方面への興味を筆者がもっていたことが興味深かった.一方で集団行動,詰め込み教育に重きをおく現状では筆者の言う真の智が生まれることは難しいのではないかと感じた.
    何度も再読したいし,友人にもおすすめしたい一冊.

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    2016年07月16日
  • 岡潔 数学を志す人に

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    初めて岡氏の著作を読むにはとても入りやすい本だと思います。センテンス毎に著作時の年齢があるのも嬉しい。もちろん巻末には著者についての解説と著作紹介があります。

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    2016年02月14日
  • 春宵十話

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    世界的数学者・岡潔(1901~1978年)の代表的な随筆集で、1963年に発表され、その後何度も復刊を重ねているロングセラー。(本書は2006年光文社文庫で復刊)
    岡潔は、京大時代には後のノーベル賞学者の湯川秀樹や朝永振一郎に講義を行い、広中平祐のフィールズ賞受賞業績にも影響を与えたといい、また、自身の数学上の業績は、西欧の数学界ではそれがたった一人の数学者によるものとは当初信じられなかったほど、強烈な異彩を放つものであったという。
    また、岡氏は、日本人のもつ「情緒・情操」の大切さを繰り返し述べ、本書以外にもそうした思いを綴った多数の随筆を残しており、一般にはむしろそうした実績で有名かもしれな

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    2016年11月23日
  • 春宵十話

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    数学などやって何になるのだと言われるが春の野に咲くスミレはただスミレのように咲けばよい、咲こうが咲くまいがそれが春の野にどのような影響があろうとなかろうとスミレの預かり知らない事だと私は答える。に感銘を受けて手に取った。

    人間に最も大切なことは情緒を育むことであり、子供はたくさん宿題を出す先生よりも共感してくれる先生に敬意を持ちいつまでも覚えているということ、自分もそうだったこと、大人の不安を子供のスケジュールをパンパンに埋める事で解消しようとする教育方針に納得がいかない事などが印象に残った。

    随筆をまとめたものになるので一貫した主張があると言うよりはこの事についてはこう思った、他のことに

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    2026年03月15日
  • 春宵十話

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    情緒(情操)、調和というワードが何度も出てきたことが印象的。頭や論理的思考で理解するのではなく、「あっ、そういうことか」と心で直感的に理解することの方が大事だと述べているように私は感じた。論理を重要視する数学者がこのような事を述べるとは驚いた。
    また、天才ゆえの?変人エピソードを持つ著者が、文学や絵画、音楽にも精通しているほど、芸術も大事にしていたとは意外だった。ただ、読み終わった今となっては、芸術にも精通していたからこそ、思考ではなく情緒を大事にするという考えに至ったのだろうと思う。

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    2026年03月01日
  • 数学する人生(新潮文庫)

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    理解しようとしたけど難しかった。
    第三章の「いのち」と「宗教について」はちょっと分かったような気がした。
    「情緒」が難しい。森田氏や魚川氏が噛み砕いて段階的に分かりやすくなったような気がするけどやっぱり難しい。

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    2026年02月22日
  • 春宵十話

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    現代の視点からは、さすがに偏っているな(公に白黒ハッキリさせることが好まれない、という意味で)と感じさせる部分はあるものの
    日々の忙しさや効率一辺倒の思考回路で生活している人なら
    「あー…そうだよなぁ」
    と、自分の心を今一度振り返ってみたくなる一冊になり得そう。
    教育者は一読しておくべし!かも。
    先述の通り、極端さは否めないものの、
    その表面的な文面の奥底に、今もこれからも明らかに大事な「何か」が潜んでいるように思えてなりません。

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    2025年08月28日
  • 人間の建設

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    数学は理論的に筋が通っていたとしても感情に訴えられなければ数学とはいえない。なるほどなぁ。。たしかに、数学という枠組みの中で論理が一貫していなければいけないという伝統?があるのは知っていたが、いわれてみればそれと同等くらいに「美しさ」も追求するのが数学だなと思う。そういう意味で数学は完璧で、数学者も完璧主義的なところがあるのかなと思った。

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    2025年08月11日