岡潔のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
普段使ってない脳みそを使って読んだ感じ、まさに筋トレというか脳トレ…!教育分野に関しても言及されていて、とくに素読教育の是非はわたしも賛成。初等教育の時点では子供たちはスポンジのように知識をスイスイ吸収していくので、九九だけと言わず、国語分野でも素読を入れるのは良いかもしれない。ちなみに教育に携わる者の給料が薄給なのはこの時代からだったのか…
p.115
小林 言葉と言うものを、主人はそれくらい信用していると言う、そのことなのです。言葉の組み合わせとか、発明とか、そういうことで新しい言葉の世界をまた作り出している。それがある新しい意味を持つことが価値ですね。それと同じように、数学者は、数 -
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読書会でお借りした本、その2。
岡潔という数学者のお名前は、SNSか何かで見かけたことがあるようなないような…、程度の知識で読み始めた。
何やらその分野ではもの凄い偉人であるらしい。
数学者の大偉人…。
さて、どんなエッセイだろう…、とページをめくった1行目。
人の中心は情緒である。
おおっ。
…えっと…、この場合の情緒とは
わたしの思っている情緒と同じなのかしら。
読んでいくうちに自分の持っている概念が岡先生と同じものなのかわからなくなってくる。
少し古めかしさも残る美しい日本語、
突然引用される俳句、連歌。
1960年代には当たり前に持っていた、もしくは人によってはギリギリ弁え -
Posted by ブクログ
数学者、岡潔の随筆書。彼の生い立ちや、考え方が記されていた。
一貫して主張されているのは、「人間の中心は情緒である」ということ。
事物との接し方について、考え直すきっかけとなった。
何かに取り組むとき、何かの目的のもと目的達成のためのあくまで過程としか考えていなかった。
例えば勉強はあくまで試験に通過するためのもののように。
目的が主体となり、現実の事物を軽んじてきたことに、中身の無い物足りなさを感じていた自分の感覚が明確なものになった。
目的への執着、色々な欲を一旦置いて目の前の事物と純粋に向き合いたいなと思った。
向き合った上で自分が納得することが大切だと分かった。
また、以下の -
Posted by ブクログ
昭和の数学者、岡潔の講義録とエッセイを彼のファンで同じく数学者の著者がまとめたものである。本書を手に取るまで、岡氏のことを知らなかったが、数学を志す人には有名らしい。数学の研究で日本政府から勲章を受けている。
京都大学で学び、フランスに3年間政府から派遣されて留学し、帰国後は関西地方の大学で教鞭をとりながら数学の研究に没頭した著者。彼の研究や発見がどの程度すごいのかは私には理解できないが、破天荒な人物だということが彼のエッセイから分かる。
理系の人というと、どちらかというと言語にこだわらない印象があるが、彼のすごいところは、文章にも極めて長けているところだ。特に、「情緒」ということばで表される -
Posted by ブクログ
最近生まれた初孫と同じ誕生日の著名人を調べていたら岡潔の名前が出てきた。十数年前に「春宵十話」を読んだがあまりピンとこなくて古本屋に手放してしまったが、今回改めて本書と春宵十話を購入した。
岡潔は大数学者として有名だが、数学に没頭している状態と禅の世界の本質は同じという。自我を抑止して大自然の無差別知の働くに任せること。小我(無明)を離れて大我に生きること。無差別知の情的内容は心の悦び、知的内容は純数直観、真我の心は慈悲心だという。
本書における氏の言葉は、直観に導かれ体験に裏付けられているので、自由で確信に満ちながら教条的でなく詩的である。