愛川晶のレビュー一覧
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「網にかかった悪夢」の一部(でもけっこう核心)ネタバレがあるので、これは順番どおりに読むことをお薦め。
吸血鬼ネタってことで、個人的にはオカルティックな雰囲気が最高に好み。「吸血鬼」に関するオカルト知識は根津愛並みにある私でしたが(!)、事件のトリックは見抜けなかったので名探偵にはなれないなあ。
墓場の死体消失シーンが圧巻。トリックの根幹もさながら、ホラー的雰囲気がもう最高に盛り上がっちゃって、そりゃあキリンさんも気絶するわ(笑)。しかしそこにもすべて爽快なまでの論理的解決が待ってるわけだ。中でも「ナハーツェラーの咀嚼音」にはやられたね。雰囲気盛り上げるだけの一要素じゃなかったんだ~とひたすら -
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『カレーライスは知っていた』
根津刑事の事件。殺害された女性。被害者宅にあったカレーを一口食べた根津刑事は事件の真相を見破る。生煮えのニンジンの謎。
『だって冷え性なんだモン!』
靴下、手袋などがすべて互い違いな被害者の謎。停電中に行われた犯罪。
『スケートおじさん』
通学路に現れたスケートおじさん。寒い中でもコートを着ないで憤怒の表情でスケートをする男の謎。根津愛の推理、後半に根津刑事の推理。
『コロッケの秘密』
友人の宝石を盗み、発覚を恐れ友人を殺害した女。コロッケの中身の秘密。
『死への密室』
壁をすり抜ける男。市街化調整区域に隠された謎。トレーラーハウスと「シェー」の秘密。
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心に隙ができてしまった人間を描く… ブラックユーモアあふれる落語ミステリー #モウ半分クダサイ
■きっと読みたくなるレビュー
落語の噺を背景に人間の欲や惨めさを描いた連作短編集。
ただ本作に導入されるネタは滑稽噺ではなく、こわーい怪談なんです。本演目になぞられる様に、物語の登場人物たちが不思議な世界に吸い込まれていっちゃう。
まるで「世にも奇妙な物語」や「笑ゥせぇるすまん」のようで、色情や苦しみからの足掻きの隙をつかれた人間を描いています。ブラックな気持ち悪い笑いに目がない人は、ぜひ読んでみて下さい。またどの短編も落語と同じようにサゲが効いているから、最後はニヤリとしちゃうこと請け合いで -
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Posted by ブクログ
老舗の寄席「神楽坂倶楽部」。
席亭の父が倒れ、ずっと別居してきた娘の希美子が急遽、代理を務めるシリーズの第三作だ。
落語、手妻、太神楽と続いて、今回は漫才の舞台に関わる謎解きが中心となっている。
漫才師が寄席の舞台に上がるには、形の上で落語家の一家に加わらないといけないなど、その道のトリビアはふんだん。
ミステリ好きでもない自分には、そういうところの方が面白かったりする。
落語家の団体の「政治力」なんかも、妙に生々しい話だなあ、と思いながら読む。
希美子の物語も、少し進展。
もはや在籍する出版社から寄席への出向期限も切れる。
(現実には育児休暇、介護休暇も取りにくい会社も多いのに、「実家の