あらすじ
その噺を聞いてはいけない――
男達を地獄へ堕とす闇の落語会とは?
本当は怖い落語×驚愕のどんでん返し!
デビュー三十周年記念作品。
第1話 モウ半分、クダサイ
第2話 後生ハ安楽
第3話 キミガ悪イ
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
なかなか辛辣に因果応報の怨みを晴らす面白い小説だった。
「もう半分」は先代馬生師匠の噺を実際に見ているので、物語に親近感をもって読むことができた。
3遍からなる本作は落語の題材から、とある事件が3遍に通底したテーマとなり、結末として花山亭喜龍が恨みを遺憾なく発揮し、勧善懲悪ではない復讐に読み応えがあった。
暗い噺とダークな結末に、ジワっと面白さが滲み出てくる。
Posted by ブクログ
観客が1人だけの落語会。語られるのは、いずれも怖い話。飲み屋で隣り合った男に言葉巧みにチケットを売りつけられた客は、落語の内容が自身の後ろ暗い過去と妙に一致することに戸惑いを覚え、それはやがて恐怖へと変わっていき‥。
本のタイトルからして怖いけど、3話ある話のタイトルはすべて落語で、かつ怪談。ずっと不穏な空気が漂っていて、ザワザワもやもやドキドキしながら読み進める。
1話完結の短編集かと思ったら実は全部繋がっていた。この人、ここに出てくるのか!とちょいちょい、ちょっと驚く。周到に練られた計画を経て、ある人物による驚きの復讐劇へと収束していく終盤は、展開に一喜一憂しながら読んだ。1人だけ
、あの人はちょっとかわいそうなんじゃないかと思うけど、登場人物だいたい一癖も二癖もあるヤカラなので、感情移入はし辛いかな。
でも面白かった。落語を聞きに行きたくなる!
Posted by ブクログ
お客さんが自分だけの寄席で自分のこととしか思えない落語を聴くという、まさに現代の怪談。花山亭喜龍師匠もきょう龍もちょっと気味悪い落語家なのが良い。
Posted by ブクログ
慣れない落語噺で少し読み進まない貢もあったが、中々の小説。
落語の演目と現実が交錯し徐々に怖さが増してきてラストは怪談噺の様なサゲで終わる構成もお見事。
Posted by ブクログ
主人公に肩入れして読んでしまうタイプなので、ロクデナシばかりが出てきて酷い目にあって、情緒がぐちゃぐちゃになった。
最初「笑うせーるすまん」的なお話かと思ったら、謎の落語家がガッツリ関わっていて、真相がわかった時はよかった。
Posted by ブクログ
はじめての作家さん。
落語+ホラーミステリーといった感じで斬新。
興味はあるけど、何となく手を出せずにいた落語。
寄席に行ってみたいと思った。
Posted by ブクログ
ホラーテイストな落語ミステリだった。
思った以上に不気味で、さらに性的描写がけっこうあって閉口した。
そして、あの男の正体って、もうちょっと何かあるのかと思ったけど、、、
身勝手さから、自滅していく者たちの話がゆっくちつながっていって、ぞっとする展開に。
ラストも、なんとも救いがなくて陰鬱な読後感。
落語との絡め方、主要なところに落語家さんを登場させているところは好き。落語家さんの名前と本名との使い分けもうまいと思う。
Posted by ブクログ
濡れ場も有り大人向け。落語とショートショートの構成を巧みに操って、読み手を引き込むサスペンスだった。登場人物の抱える容姿や病気が怪談ムード(異様な世界観)を引き立てている。品のない話ではあるから、好き嫌い別れそう。サスペンスとしては面白かった。
Posted by ブクログ
心に隙ができてしまった人間を描く… ブラックユーモアあふれる落語ミステリー #モウ半分クダサイ
■きっと読みたくなるレビュー
落語の噺を背景に人間の欲や惨めさを描いた連作短編集。
ただ本作に導入されるネタは滑稽噺ではなく、こわーい怪談なんです。本演目になぞられる様に、物語の登場人物たちが不思議な世界に吸い込まれていっちゃう。
まるで「世にも奇妙な物語」や「笑ゥせぇるすまん」のようで、色情や苦しみからの足掻きの隙をつかれた人間を描いています。ブラックな気持ち悪い笑いに目がない人は、ぜひ読んでみて下さい。またどの短編も落語と同じようにサゲが効いているから、最後はニヤリとしちゃうこと請け合いですよ。
さて本作の一番の魅力はキャラクターの人間臭さですね、誰でも刺激のない日常の中、欲が芽生えてしまう瞬間ってありますよね。わかるわー。自分自身を振り返ってみても、人間の弱さが骨身に染みる作品でした。
●モウ半分、クダサイ
バーテンダーの朝原洋介は、呑み屋で知り合った男に怖い思いをしてみないかと誘われる。それは落語の高座による怪談。落語家が語る内容は、洋介の誰も知らない過去の犯罪を匂わせるもので…
まず演目「もう半分」が怖いっ! そしてストーリーも怖いっ!特に終盤、追い詰められていく様子にガクブルです。身から出た錆っていう言葉が見事にハマります。
●後生ハ安楽
学校事務員である福田信也は、仕事が思い通りいかず、夫婦仲が悪かった。ある日、呑み屋で知り合った男から落語の高座を勧められる。そこであった女性の落語家、きょう龍に出会ってしまい…
めんどくさいことを後回しにすると、ドツボに陥るという良い例。でも、きょう龍の艶めかしさなら仕方ないよな…と思ってしまう、私も危ういですね。
●キミガ悪イ
落語家の亀松はかつて事故にあってしまい事故直後の記憶がない。それでも花山亭喜龍師匠に拾われ、二ツ目として修業を続けていた。彼は長年連れ添った恋人がいるのだが、女性の弟弟子、きょう龍の魅力に惹かれており…
亡くした記憶に囚われ続け、不安に苛まれる亀松の苦しみがツライよ。少しずつ記憶を戻していき、行きついたところがあまりに衝撃でした。人間の醜さを、罪深さ、その結果の恐ろしさを肌で感じました。
■ぜっさん推しポイント
本作では「もう半分」「鮫講釈」など演目も随時紹介されされていきます。そのほか落語についての情報もたくさん書かれているので、日本芸能の勉強になりますね。東京に住んでた頃は、浅草で何度か落語を拝見したものです。久しぶりに観に行きたくなりました。