愛川晶のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
展開が気になりすぎて、推理そっちのけで読んでしまいました…
でも、なんだか読後感はすっきりしない。
面白かったことは面白かったのだけれど、坂崎先輩の正体(?)の蛇足感とか、真相に関わってくる女性の唐突感(所々ざっくり読みのせいかもしれないが)とか、度々突っ込まれる恋愛未満要素のテンプレ感とか、インド神話の無理やり感とか…
なんだか、本格的なミステリーとライトノベル的要素とその他もろもろがアンバランスに織り込まれている感じで、しっくりこない。
せっかくの謎解き編も、供述文書だし…
「そういう書き方もありかなー」とも思う一方、中盤までの描写がよかっただけに、なんだか簡単に済まされた感があって、拍子 -
Posted by ブクログ
新シリーズの導入となる本書は、主人公が寄席の席亭代理となるに至る出来事と、席亭代理として寄席の様々な出来事に遭遇して右往左往する様子が描かれている。
主人公は出版社勤務が10年ほどの一人前の社会人のはずだが、それにしては職業を持つ社会人としていささか未熟すぎるだろう。興業といった特殊な業界に無知という設定は分かるし、やや強めにカリカチュアライズされた人物なのも理解するが、それにしても非常識といってもいいほどの思慮の足り無さに鼻白む。
江戸言葉のルビというのは面白いし、林家正蔵の「死ぬなら今」という比較的レアなネタを中心とした人情話はとても良い。本シリーズの次回作が楽しみだ。続けて読みます。 -
Posted by ブクログ
“先生は眼を細め、白い歯を見せた。飛び切り素敵な笑顔だった。
(きっとあれが、本格的な恋の始まりだったんだろうな)
心の中でそうつぶやく。相手が三歳年上だけれど、そんな恋愛は世間にいくらでもある。好きで好きでたまらないのだから、仕方がなかった。
(ぼくはまだまだ子供だけど、でも……)[P.46]
最後の展開が楽しかった。
“「ところで、一つきいてもいいか」
「はい、どうぞ」
「いつ、おれの正体に気づいたんだ」
「そうねえ。最初はやっぱり、ウサちゃんの名前を聞いた時よ。ただ『ナオ』というだけなら、偶然の一致ということもあり得るけど……敦己君はウサギが『自分で名乗った』と言った。それを聞いて、