無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
劇場とか、寄席という場所が好きだ。
現在のものとは違う、と分かっていても、歌舞伎座に行けば、升席でちろりで燗をつけながら、一日ゆるゆると芝居を楽しんだ、江戸の人々の雰囲気を想像する。
寄席ならば…仕事が終わって、銭湯でひと風呂浴びた帰りにふらりと寄席に立ち寄った明治、大正の時代か。
今は田舎に住み、そういうところへめったにいけないから、余計に妄想が強まっているような。
さて、この作品は、寄席の舞台裏、それを支える人々がクローズアップされる。
寄席の席亭の仕事などはその筆頭だ。
出演予定の芸人が急病で代演を手配する。
マスコミからの取材の窓口になる。
芸人間のトラブルの仲裁をする。
従業員たちの暮らしぶりにも配慮する。
太神楽の「ひとろく」(真打にあたるもの)に値するかを見極める。
…どれも生半可な仕事ではない。
これを、父親の回復までとはいえ、今まで全く寄席とは関わりがなかった主人公の希美子が引き受けることになったというのが本シリーズの設定。
第二作では、手妻と太神楽の芸人が中心となる。
それぞれの芸についてのあれこれが、さりげなくちりばめられているのもうれしい。
客席のお客さんを見てその日披露する芸の演目を変える。
よい芸人にはそんな細やかな配慮もある。
そんなことを知ることができるのも楽しい。
そういえば、昔、田舎から出てきた両親を連れて池袋の演芸場に行った。
亡き小三治師匠がトリを務める日で、大賑わいだった。
チケットは当日販売。
両親は足が弱っていたので、早く歩けない。
そこで一足私が先に行って、チケットを買って席をとっておこうと思ったのだが、本来はそれができないルールのようだった。
「テケツ」のお姉さんに事情を話してみたら、通路に臨時に作った席だったら、今席をとってしまっていい、と特別に対応してくれた。
両親はおかげで最初で最後の小三治師匠の高座を見ることができた。
こんな実体験があると、この小説にあるような世界も、きっと本当にあるんだろうな、と思えてくる。
Posted by ブクログ
出版社の編集員から寄席《神楽坂倶楽部》の席亭(社長)代理として『出向』という形で働いている希美子。
前作では寄席の習慣、業界用語に付いていくのに精いっぱい…というより振り回されていただけの希美子でしたが、今回は少しずつ慣れてきて『席亭代理』、略して『席代』と呼ばれることにも戸惑わなくなってきてます。
姉妹編(私が勝手にそう受け止めている)の神田紅梅亭シリーズは落語の話ばかりですが、こちらは落語だけではない、『色物』と呼ばれる手妻(手品)や太神楽(傘の上で様々なものを回す芸)という、落語以外の芸にもスポットを当てています。
そして前作のあとがきで作家さんが予告された通り、今回は事件も起きてます。
一つはタイトルの通り、高座の上で起きた事件。
紐で封をされた葛籠の中から脱出するという芸の最中、葛籠と客の眼という二重の密室から消えた少女。
母親でもある手妻師は、別れた元夫が少女を誘拐したのだと騒ぎ出します。
蓋を開ければ、そう複雑でもない話なのですが、芸の世界に生きる人たちの苦労が分かる話です。
もう一つは独り立ちの試験として芸を見せている最中、やるはずのことをやらず、予定にならないことをやりだした太神楽師。
こちらは所謂日常系という感じ。
ただテレビ収録ではない、生の『寄席』という舞台ならではのことで、とても興味深かったです。
神田紅梅亭シリーズでも出てきますが、突然出てくれるはずの芸人さんが来れなくなってしまったり、寄席が始まっている最中に慌ててほかの芸人を探したり。その間前の芸人さんが話を長引かせたり。
こういうトラブルが日常茶飯事の『寄席』という世界が印象深く感じた話でした。
愛川さんの作品をいくつか読んでいる身としては、ところどころに他のシリーズのキャラの名前が出てくるのも楽しかったです。
今回は『ヘルたん』からあの人の名前が登場。元気で頑張っているようで良かったです。
あとがきによると、これからもそういう遊びをやってくれるようで、楽しみです。
父親の体調が良くなるまでという約束で勤めている『席亭代理』ですが、希美子の気持ちは少しずつ変化している様子。
元彼の出現もあって、これからの展開がますます気になります。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸