甲野善紀のレビュー一覧
-
- カート
-
試し読み
Posted by ブクログ
今日の古武術ブームの発端を築いた甲野善紀が、自身が古武術に興味を持ったきっかけや、近代武道と古武術との違い、桑田真澄選手や桐朋学園のコーチなどとの交流、人生観や文明観などを、平易な文章で書き起こしたエッセイ。
甲野善紀の本は、武道研究などの専門書、多分野の知識人との対談本、生活などに応用可能な古武術技法を解説したノウハウ本が多いが、この本は専門外の人じゃなくても誰でもが読みやすく、甲野善紀の思想がよくわかる本なのでとてもとっつきやすく面白い。
この世代の人が、古武術を発見するある種のジェネレーションの問題があることに気付かされることもある。1949年生まれとのことなので団塊の世代になる -
Posted by ブクログ
「自分の頭と身体で考える」4
著者 養老孟司、甲野善紀
出版 PHP文庫
p212より引用
“変わるっていう現象はそれが良いか悪いかというのは、
その人個人の主観でしょう。”
解剖学者と武術家である二人の対談集をまとめた一冊。
1999年に同社から刊行された物の文庫版。
独自の視点を持って世の中を観察し、
分析・解説しながらの対談。
時に辛辣に時に穏やかなふりをして、
世の中の自称に対して意見しておられます。
上記の引用は、
何かを体験した事によって起こる変化に対する、
甲野氏の考えの一文。
今まで面白かった物が面白く無くなってしまうというのは、
私にも思い当たる節があります。
今面白 -
Posted by ブクログ
格闘家の甲田氏と精神科医の名越氏の対談形式で日本に起きている社会的現象を「身体」との関係において語るものです。
おカネとは、場の空気を読むとは、などいろいろなテーマが出てきますが対談なので内容はほかのテーマにどんどん飛んでいきます。お互いを知り尽くしているお二人ですのでお二人の間でしっかり理解されていて共有されているものを必死で行間から読み取る感じになります。
しかし、いろいろ示唆に富む内容ですので読みあきたり流れを見失って読む根気がなくなったりすることはありません。読み進めながら自分自身のこれまでの人生の密度や深さを問われているような感覚に襲われます。
-
- カート
-
試し読み
Posted by ブクログ
【要旨】
古武術と言っても、字際には創作武術。古伝を参考にして模索している。特定の古伝・流派を受け継いでいるわけではない。指導をするというよりも、共同研究をしている気持ち。
一流のプロ選手でも、古武術的に見れば、重心の処理の仕方一つとっても、手続きが掛かり過ぎる。武術はとにかく動きを省略したい。
西欧的な身体の動かし方はうねり・捻りの動きが特徴的である。うねりの欠点として、急ブレーキ・急発進とロスが多い。また、威力があるが、時空間に準備が必要ですぐに使えない。一方古武術では、例えばふっと膝を抜けばためになるし、自分の体重をそのまま使うことができる。「なんば歩き」は身体を捻らない動き -
Posted by ブクログ
筋肉よりも骨を使えとは?
体の動きの最初は筋肉ではなく骨からだという事を書いてある本だと思った
筋肉を強くして点で力を使うより、人間の骨組みと各部位の繋がりを意識して線や面で力を発揮する
その為には筋肉を【硬めて】力の流れを遮るより、【緩めて】エネルギー効率を良くすべきでそれは理屈ではなく身体感覚を研ぎ澄ましてこそ使える技術であるということかなあ、と思った。
著者の甲野善紀さんは数年前に古武術を介護に使うという切り口の雑誌(NHKだったかな?)で古武術の第一人者という認識しかなかったが、最近YouTubeでだれつよ道場やイス軸、システマ、躰道、武術系の動画を見るようになって【身体操作】に -
Posted by ブクログ
読み終わった。
余計なことは考えず、流れに身を任せ、起きた事実に対して行動すると言う考え方はとても共感できたが、時折相反することを言い出すので、ここの出版社はもっと良い校閲者を雇えば良いのにと思った。
例えば『たとえ』『たとえ負け』『脳の飛距離』の章で「行間を読む能力」について書かれているが、この内容だと言葉が持つイメージは皆共通であることが前提になる。それって作者が伝えたい、起こっていることをありのまま捉える「アナログ情報」とは真逆なんじゃないの?
例えとして挙げられている「春の陽射しを母親の子守歌にたとえる」比喩は、母親が子守歌を歌う文化や経験がなければ、著者が意図している暖かいも -
Posted by ブクログ
ネタバレ64歳でババナ→フロリダ横断を達成したダイアナ・ナイアド著の「対岸へ」を読んだので味わい深かった。
70歳になった甲野善紀さんが思うのは「最近の老人は」と思うらしい。彼が同年代以上で会いに行きたいのは野口裕之、養老先生、桜井章一、宮崎駿くらいらしい。
自分達には出来ない大きな問題を真剣に考え、いかに下の世代に託すか、人間が地球で自然に「生きる」とは何なのかと真剣に考えれば生きがいのない情けない老人にはなり得ないと言う。
彼が20代で悟った事「人間の運命は完璧に決まっていて同時に自由である」この言葉は4年間突然の癌罹患に苦しんだ筆者にとっては重い。
甲野善紀先生は70歳で「影観法」という -
Posted by ブクログ
武術家・武術指導者の方条さんという方が、師匠格である甲野さんの振る舞いにヒントを得て、物事の習得、上達とは何かについて検討し、解説されている本。物事を細かくスキルとして分解し、どう扱うかをマニュアル化して、理解させることで上達するという一般的なやり方を批判し、理解や解釈は後、まずは根本原理=体の原理を組み替えることから始めるべきと説く。レースをしながらマシンの改造はできないので。低負荷で低速で単純に行うこと、また思考の柔軟性を持ち続けること=許すこと、など。一理あると思いつつ、精神論に走りすぎのきらいも感じてしまうということは、私が未熟ということか。
-
Posted by ブクログ
体調が絶不調の時に読んだ
骨ストレッチはめちゃ効く
・・・以下メモ・・・
★は自分が思ったこと
物理学の「三体問題」についてですが、私たちの思考は3つのことを同時に扱えないんです
→体の精妙な動きを言語で説明するのは根本的に無理
結果を出していけば理論は後からついてくる
→★これはその通り
■論文より先に結果が出る社会
「もう50年もしたら論文っていう形態はないかもしれない」(ロボット工学の教授)
→ロボットにしても、すごく精巧にできているものは、コンピュータシミュレーションを繰り返すなかでできてくる。なぜかわからないけれどこの形がいいっていう、ある種の自然淘汰みたいな形
→★面白い
-
Posted by ブクログ
このタイトルを読んで、意味を正しく受け入れられる人はほとんどいないのでは。読後でさえ、「マジ?」と思っている自分がいるのですから。
著者の甲野先生は古武術の権威、松村先生は骨ストレッチの考案者という組み合わせ。実は松村先生の骨メソッドは、甲野先生の道場に通いつめて創案したので、いわゆる師弟関係となる。
本書で、甲野先生が何度も繰り返しているのは、とにかく具体的な成果を示すこと。理屈では理解しがたい事象も我が身で体験すれば納得せざるを得ない。
ってことで、本書は具体例が肝です。紹介されるのは、体幹強度アップの「虎拉ぎ」「施段の手」、5種類の「骨ストレッチエクササイズ」は是非試してみることをおすす -
-
-
Posted by ブクログ
一貫して「運命は完璧に決まっていて、同時に完璧に自由である」という考えが扱われている。
本来の理解とはずれるかもしれないが、
突然不幸や大きな課題に直面した時に、それを「運命」だと受け入れる。その上でどのように行動していくかというフェーズに移行する。それは、矛盾するようだが「運命」と「自由」を同時に受け入れた状態なのかもしれないと思った。
世の中、コントロールしようと思っても不可能なものも多い(時代の流れや、災害、他人の人格etc...)。それならば、それは「変えられないもの」だと割り切って、「それにどう対処/共生していくか?」を考える方が生産的だなと思った。 -
-
-