早坂隆のレビュー一覧
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戦前の陸軍のキーマン達との交流、オトポール事件(ユダヤ人救出)、アッツ島玉砕、撤退戦を潜り抜けた陸軍将軍樋口季一郎の評伝。
「栄光」も「苦しみ」も墓場まで持っていくタイプの人物であるが故に、評価されるべき人である事は絶対に間違いない。
捕虜虐待・虐殺であったり、部下を見殺して自分の保身を中心に考えた悪役達が、帝国陸軍の固定概念としてしまいがちである。本人は、烈しく苦労しているのだが、周りの人達を不快にさせない生き方には、当たり前であるが感動的である。
戦争という異常事態の中にある軍隊の中にでも、(軍隊も当然社会であるのだから一定の確率でいるはずであるが)、粛々と正々堂々と生き残った人がいる事を知る良書。 -
Posted by ブクログ
中には素直には笑えないジョークもありますが、全体的には面白かったです。
夫婦間ジョークなんて、宗教の違いがあるにも関わらず、何処の国も殆ど変わらない感じですね。
イランでのトルコ人に対するジョークが結構な辛口なのですが、その理由が分かりませんでした。
読後にちょっとネット検索しただけでも、その理由がザクザク出て来て、またも自分の不勉強を痛感しました。
ジョークばかりが羅列してあるのではなく、イスラム社会の基礎知識なども説明されています。
いきなり専門書等は敷居が高いですが、こういう入りやすいところから、少しずつでも学んでいければと思います。 -
Posted by ブクログ
おもしろい本です。
まず,ジョーク集とあるように,ジョークもおもしろい。
ただ,この本はジョーク集というだけではない。それだけを目当てに読むと,おもしろくないかもしれない。
この本の大部分は,ジョークというより,現在のアメリカについて書かれている。いろんな側面から書かれていて,よくまとまっていると思う。現代アメリカ入門にもなる,アメリカの矛盾がとてもよく分かる。そのような解説があるかろこそ,ジョークが生きてくる。
ブッシュ大統領は頭が悪いとして描かれているジョークが少なくない。
その中のひとつ
● アメリカ合衆国の現大統領は神童だった。なにしろ10歳にして現在と同じだけの知性と理解力を有していたのだから。
攻撃の可能性が差し迫っているかもしれないという予測の段階で,「今のうちに攻撃して叩いておこう」ということになるとこれは「予防戦争」であり,国際法にも反することになる」
といった解説の後に,次のジョークが来る。
●200X年,ブッシュ大統領は,結局戦争犯罪人として国際法廷で死刑を宣告された。ブッシュは怒りで顔を紅潮させながら,叫ぶようにして言った。
「確かにイラクではうまくいかなかったかもしれない。しかし,たった一つの国に対して間違いを犯しただけで,死刑だなんてあまりにひどすぎる!」
すると裁判官は顔色一つ変えずにこう言った。
「あなたを死刑にするのはイラクが原因じゃない。これから幾つもイラクのような国ができるのを予防するためです。あなたは差し迫った脅威ですからね。つまり予防的先制攻撃ですよ」
アメリカは戦争大国である。それに関して
●あるアメリカ人の人類学者が,食人種の村を訪れて調査していた。ある日,彼はイラクで起きている戦争について村人たちに話をした。すると村人達は眉をひそめ,口を揃えて彼に聞いた。
「そんなに大量の人肉をどうやって食べるのですか?」
人類学者は苦笑いしながら答えた。
「アメリカ人はそんな野蛮なことをしません。殺した敵の肉など食べません。」
村人たちはさらに驚いて囁き合った。
「食べもしない敵を殺すなんて,アメリカ人というのはなんて野蛮な人種だろう」
● 中東を旅していたアメリカ人の若者が,窃盗の容疑で地元の警察に捕まった。法廷に立たされた彼は裁判官に向かって言った。
「僕はとても不安です。こんな遠い異国で裁かれるなんて。僕は自分の生まれた国であるアメリカ合衆国での裁判を望みます」
それを聞いた裁判官は苦笑いをしながら答えた。
「安心しなさい。いくらここがあなたにとって異郷の地であろうと,法は常に公正に執行されますから」
若者はため息をつきながら呟いた。
「だから困るんじゃないか・・・・・」
これは,なかなか単純に笑えない。沖縄にとっては現実の問題だからだ。レイプしたり,殺人を犯しても,アメリカに連れていかれてその後どうなったのか分からない米兵が多いからだ。
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Posted by ブクログ
2026年、14冊目です。
2025年5月5日初版発行と巻末に記されている。
いわゆる"昭和100年"に合わせて発行された書籍だと思います。
多くの戦争経験者の方々の証言が記載されています。
証言のほとんどは、著者が取材をした内容であると思いますが、取材をされたのは、数年から十数年ほど前のモノだと考えられます。取材時の証言者の生年月日などからそのように推察できます。"昭和100年"に合わせて過去の証言を引用して加筆編集された書籍ですね。
証言の内容には、誇張された所は無いと感じました。
また著者は、平成27年4月の天皇皇后両陛下のペリリユー島への慰霊の旅に同行取材を許可されたジャーナリストであることから、書籍内容への信頼性も担保されていると思います。一つ一つの証言内容については、胸塞を感じます。
紹介されている証言は、数十人ほどの方からですが、戦争に軍人として赴かれた人やその関係者は、何百万人にもなるはずです。
その全ての人達ごとに"記憶”があるはずで、それらは表に出されることもなくその人とともに消滅していくんだと想像すると、とても大切で忘れてはいけないことが消えてしまうことへの哀惜の気持ちが改めて心に浮かんできました。
2026年、14冊目でした。
おわり -
Posted by ブクログ
南京大虐殺で殺害された人数は30万人とも言われるが、実際のところ当初よりその数字については根拠に乏しく、何を以ってか正確な数とするかは未だ分からない。ただ歴史の事実として、当時の日本と中国の外交関係と日本軍の進軍の跡を辿れば、南京に対して帝国陸軍が侵攻し兵士だけでなく民間人に死者が出たのは間違い無いだろう。それが誰の手によって行われたのかすら、未だもって謎は残っている。そこにも日本軍兵士の中にも軍規を破り殺害や強姦などを犯した者もいるだろうし、中国側にも撤退を許さず味方を殺害したり、攻め込んでくる日本軍に対して糧秣を渡さないよう民家を焼き払う行為もあったであろう。何も大小程度の差こそあれ両軍が民間人に対して犯した罪である。
これを戦時下において逐次厳密に処理するのは難しく、だからと言って仕方ない事だと無視する事は出来ない。広く捉えれば、全てはそこに至る戦争の過程に原因があり、さらには両当事者の関係性を正常に維持できなかった政府、そしてその政府を選んだ国民にまで責任は広がる。その結果の一部が南京という当時の首都機能の破壊に繋がり、そこに暮らす人民の殺害を引き起こした。
こうなるとその責任を誰に求め誰を処罰すべきかという話になるのだが、本書「松井石根と南京事件の真実」は責任を負って東京裁判で絞首刑となった松井石根の中国に対する考え方、戦争との向き合い方について新書にしてはページ数はやや多く、多くの逸話を以て我々に教えてくれる。
我々が認識する松井石根とは南京攻略の指揮官、事件の首謀者としてのものが大半であろうが、本書では親中派として中国との和を実現しようと、蒋介石との関係に苦悩する姿が見えてくる。表面的にはあれだけの(数字については未確定ではありながら)事を起こしておきながら、中国との未来建設的思考を持つのは俄かに信じ難いが、中国に対する強い思い入れと国民党政府の態度に起因する軍事行動と、その反動の大きさが松井に強く衝撃を与えていたことがよくわかる。
松井は死刑になる最後の瞬間まで中国との恒久的な和平、親交を願っていた事が容易に想像できるのだが、歴史とは残酷なもので、彼を刑場の露として葬り去る。前段に書いた様に、誰に責任があるかを考えた時、真に和平を願いながら歴史の大渦に抗いきれなかった人間と、遠い地に居ながら好き勝手言う人々。確かに兵士を統率統制不十分の罪は大きく許されるものでは無い。だが1人に責任を押し付けることも間違えている。国民全員が考えなければならない問題である。
戦犯問題は戦勝国の好き勝手に行われた印象が強く、インドのパール判事が言うように、事後法に基づく審判は裁判のあるべき姿である罪刑法定主義の原則を覆す惨事である。だが本質を見極めれば国民全員を裁くのは不可能であり、中には戦争に心底反対しながら不当な扱いを戦時中に受けた人々も居るから、それを正確に選別する事など時間的にも作業量的にも無理だ。わかりやすく間違いの無いところで1人に負わせ処断した事はある意味では正しい。それを靖国合祀問題に取り上げて議論する事も間違いでは無い。だがその1人の犠牲者に全てを負わせて自分たちは蚊帳の外と言うのは虫が良すぎる。現在もなおロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルによるガザ侵攻など多数の戦争が継続されている。国民は皆自分の意思を強く声に行動に出さなければならず、それを放棄する事は太平洋戦争に一喜一憂した時代の国民と変わらない。あなたはどう考えるか、そう問いかけてくる一冊である。