谷甲州のレビュー一覧
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ネタバレ第二部はあまり評判が良くないようであったが、私は非常に楽しめた。
ただ、第一部では小野寺と阿部玲子との関係性や、「異変」を前に各個人がどのような思惑で動くかといった個人レベルでの感情の動きがよく見えて面白かったが、第二部では政治的な駆け引きや「異変」後の世界情勢等の描写が多く、それでいてページ量は第一部と同じ程度のため、個人の感情の動きや思惑があまり見えづらかったのが残念だった。特に小野寺が25年の間、どのように生活してきたかの描写が少ないため、阿部玲子と再開した際のp375「無にしてしまうには、この26年間は重すぎる」の重たさが伝わったこなかったのがもう一つ物足りなかったように思う。
ただし -
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谷甲州『白き嶺の男』ヤマケイ文庫。
1996年度新田次郎文学賞受賞作がヤマケイ文庫から待望の復刊。谷甲州の山岳小説は大変面白く、殆どの作品は読んでいるのだが、この作品だけは未読だった。
日本は空前の登山ブームらしい。山の怖さを知らぬままに見よう見まねで無謀な登山を敢行する人たちが増えたためか年間の遭難者は3,000人を超えたと言うが……
加藤武郎を主人公とした5つの連作短編と山岳ホラー短編1編を収録。いずれも主人公の加藤武郎の登山家としての魅力と山への畏怖、恐怖、リアリティを感じる面白い短編だった。
『白き嶺の男』。加藤武郎が山岳会の先輩である田嶋の指導のもと、新人訓練山行で八ヶ岳雪山 -
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22年ぶりのシリーズ再開ですと?!
人類は宇宙においてもなんら認識が変わることなく、やっぱり戦争という外交手段にいたってしまうのだろうか。
しかし、このシリーズには何故戦争にいたったか?とか、善と悪とか、イデオロギーとか一切描かれない。
否応なく任務を遂行しなければ死んでしまうという状況の人々の行動を淡々と描くだけだ。
渋いなぁ。リアルな宇宙空間での戦闘シーン。サラマンダー復帰するんだなぁ。シリーズ読み返すかな。
戦争はいやだけど、戦闘機を見ると独特の凄さを感じてしまう人ならば判るはず。こいうのをオタクというのだろうか?
第二次外惑星動乱勃発! -
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Posted by ブクログ
ネタバレ新田次郎の「孤高の人」に出てくる加藤文太郎よりかなり駄目人間として描かれる加藤文太郎が良い。
勿論登山家としてのスキル実績はすごいのだけど(岩場が苦手とかあるけど)、人付き合いは徹底的に苦手で相手に誤解ばかり与えている、その上でカッコつけでメンツを気にするタイプ、親が危篤でも山優先、有給は使い切って会社の上司に睨まれる…
読んでいてなんだか滑稽だし、自分に似ているなぁと思うところもあったりして(孤高の人でに描かれる文太郎は超人的すぎて似ているとか思うとこなかったな)、シンパシー感じながらグイグイ読まされた。
厳冬期のアルプスなんて俺には一生縁がないだろう山なんだけど、加藤文太郎の足