谷甲州のレビュー一覧

  • エミリーの記憶

    Posted by ブクログ

    スペースファンタジーではなくサイエンス・フィクションな方のSF。様々な時代・設定からなる短編集。

    どの作品も印象的。共通しているテーマは喪失感?
    誰かの死であったり、あるいは何かをなくしたり。そういったものが物語の根底にあるせいか、本を読んでいるのに何かを失う物悲しさが付きまとう。
    特に一話目の「逝きし者」の結末には強いインパクトがある。これが最初にあることで、本全体に引き込まれる。
    オススメの話は「逝きし者」「ぼくの街」、そして表題でもある「エミリーの記憶」

    0
    2015年04月10日
  • エリコ(上)

    Posted by ブクログ

    主人公は女性に性転換した娼婦。23世紀の日本(大阪)等を舞台に、陰謀に巻き込まれつつ、己が存在に苦悩する。ハードコア・トランスポルノ・バイオSFかなぁ?

    0
    2009年10月04日
  • エリコ(下)

    Posted by ブクログ

    主人公は女性に性転換した娼婦。23世紀の日本(大阪)等を舞台に、陰謀に巻き込まれつつ、己が存在に苦悩する。ハードコア・トランスポルノ・バイオSFかなぁ?

    0
    2009年10月04日
  • 遠き雪嶺(下)

    Posted by ブクログ

    上巻の序章で隊長が言った「今日のところは、引き返す。そして再挙をはかる」の実際の場面に近づいたときには、いよいよか!って期待したけれど、そこは谷甲州。サラッといってくれたね。無謀とも思えたこの登攀計画だが、日本の冬山で培った技術は十分通用している。問題は、財力とヒマラヤでの経験だとわかる。非常に熱くなるものがこみ上げ、涙がじわり。あっさり派の谷先生で涙するとは、ピュアな山岳ストーリーまたは青春だからでしょうか。

    0
    2009年10月14日
  • 遠き雪嶺(上)

    Posted by ブクログ

    昭和11年立教大学山岳部の一隊が日本人初のヒマラヤ峰の登頂をめざす。日本での厳冬期登攀を経験したもののアルパインは未経験。資金集めから躓き、数々の困難を抱えつつ出発する。欧米から数十年遅れをとっている日本の登山隊にヒマラヤの夢は叶うのか?谷甲州さんの山岳小説は大好きですが、このようにリアリティあふれる遠征計画も興味深いものでした。

    0
    2009年10月14日
  • ジャンキー・ジャンクション

    Posted by ブクログ

    大好きな山岳ストーリーを楽しく読めました。簡単な山でいいから登りたいな。谷甲州らしさである「精神乗り移りの術」が含まれていてミステリアスでありました。

    0
    2009年10月14日
  • 星を創る者たち

    Posted by ブクログ

    いつもSFは澤野弘之を聴きながら読むけれどこちらはどっちかと言うと“風の中のすーばるー、草原のぺがーさすー”がふさわしい。

    Alが出てきたあたりから俄然面白くなってくるが、作品ごとに発表時期の隔たりがあるからか。

    いやーまじ「プロジェクトX〜星を創る者たち」だ。

    0
    2025年10月27日
  • ジャンキー・ジャンクション

    Posted by ブクログ

    単なる山岳小説と思って読むと、面食らうような内容だった。
    発端の導入部は単にマックスという男の特徴を印象付けるためのエピソードだと思っていたが、作者は初めから「これは単なる山岳小説ではありませんよ」と警告を促していた事がわかる。

    主人公たちの行動を左右するのは実にスピリチュアルな現象である。
    主人公である日本人2人、筧井宏と加藤由紀は、イギリス人の2人、ジョージとデニスの「口寄せ」をし、登攀で訪れる悲劇を回避しようとするのだ。この小説はまさにこの非現実的な設定にノレるかノレないかに懸かっているといえる。

    私はどうだったかと云えば、微妙だとしかいえない。

    それはこういう現象を絵空事として簡

    0
    2025年09月30日
  • エリコ(下)

    Posted by ブクログ

    (上巻の感想からの続き)
    この物語において一番意表を突かれたのは主人公エリコ、その人だ。男から性転換した娼婦という設定ならば、通常は美人でありながら腕っぷしも立つ、そう田中芳樹氏のシリーズキャラクター、薬師寺涼子のようなイメージを抱いていたが、谷氏はあえて逆を行った。
    北沢慧人という男でありながら女性として生きる道を選んだエリコは、虐げられていたひ弱な過去と、どこか自分が普通とは違う違和感に対して正直に向き合った結果であり、女性となり、類い稀なる美貌と絶妙なプロポーションを持ちながらも、逆に元男ということで美女に対して引け目を感じるようになっているのだった。

    なるほど、そういえばそうなのかも

    0
    2025年04月22日
  • エリコ(上)

    Posted by ブクログ

    いやあ、いいね、この世界観。大友克洋氏の『アキラ』に通ずるものがある。
    谷氏のSF小説は初めて読んだが、実に躍動感があり、物語世界の構築がしっかりしている。山岳冒険小説よりもこちらの方が好みだ。
    映像化するなら押尾学氏、マンガ化するなら、士郎政宗氏か先に挙げた大友克洋氏あたりだろう。

    何よりも登場人物が非常に魅力的だ。
    男から性転換したエリコを筆頭に、類い稀なる怪力を誇るエリコの幼馴染みでルームメイトの女、胡蝶蘭(カチョーラス)。20世紀から生きているという噂のある情報屋、源爺。姑との軋轢であえて老婆に変る手術を受けた30歳の“老婆”、咲夜姫。長髪で中性的な容貌を持ちながらも、強引な捜査で危

    0
    2025年04月22日
  • 天を越える旅人

    Posted by ブクログ

    登山家でもある作者が、登山の時にどうしても感じてしまう神々の存在について著したかったと思われるのが本書。
    人の生死を左右する極限状態の中、昨日まで、いやつい10分前まで冗談を云い合っていた仲間がクレパスに落ち、ザイルが切れて落下し、物云わぬ屍と化す。
    かと思えば、絶対助からないだろうと思われる強烈な雪崩の中に巻き込まれながらも、九死に一生を得て生還するようなこの世界、明らかに神の配剤なるものを感じずにいられないのだろう。ミグマというラマの修行僧を通してまずは曼荼羅に記されたこの世の真理を説き、生死の境で相見える山に住まう神々の存在を知った者たちを通して登山と神との関わりを幻想文学の形で描く。

    0
    2024年12月11日
  • 遙かなり神々の座

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「山男には惚れるなよ」という唄があるが、それを地で行く主人公滝沢育夫。定職に就かず、故郷の帰省に費やす交通費を惜しんでまで登山にのめり込む男。挙句の果てに6年待たせた恋人、君子にも愛想を尽かされ、その夜寝る場所にも困るような男だ。
    もはや身体も心も快適な日本よりも過酷なネパールやインド、チベットに馴染むようになっている。登山家(クライマー)として一流の登山技術と抜群の高所順応能力を持ちながら、7回の遠征において一度も登頂者(サミッター)になれず、遠征のたびに仲間が死んでいく事から山仲間の間では「死神」という仇名を付けられる。
    この人物造形は本書の扉裏に付けられた著者近影にそのままイメージが重な

    0
    2024年12月07日
  • 日本沈没 第二部(上)

    Posted by ブクログ

    日本沈没から25年後、国土を失った日本人は世界各地に入植したが、現地住民とのトラブルも絶えず発生していた…そんな中、中田首相は旧日本海上に人工島の建造を計画する…。感想としては、前作から33年後の本作、前作の方が手に汗握る展開なのにくらべ、今作は内容としては重い内容だけれど落ち着いているのような…そんな印象を持ちました!下巻もこれから読んでみます。

    0
    2022年08月15日
  • ヤマケイ文庫 白き嶺の男

    Posted by ブクログ

    強烈な個性を持つ登山家の、登山家としての成長を追って書かれた短編集。

    私は登山経験はなく、今後も本格的登山をすることはない。たまに山岳小説を読んで思うのは、こんなに苦しい思いをして、登山家は何を得ているのだろうか?ということ。
    きっとそこには、登山小説には書かれない、文字に書き起こすことはできない、何か素晴らしいものがあるんだろう。そうでなければ、人がこんなに辛いことをする意味がわからない。

    0
    2019年10月28日
  • 日本沈没 第二部(上)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    日本列島が沈没してから25年。
    各地に移植した日本人は普通にやっていても「ゆっくり・適当・のんびり」の他国人よりもできてしまい、アイデアもあることからかつてのユダヤ人のように現地人とトラブルに。

    他国に拠点を置く日本政府は、ある程度安定してきたかつての日本の領土が沈む海上にフロート式の人工島を計画。
    しかし、竹島には韓国に代わって中国が暗躍していた。
    韓国と中国は昔から国際法を無視するので、ある意味案の定ってことみたい。

    昔から中国と朝鮮は変わらないのね。
    旧ソ連であるロシアも同じ。

    しかし、日本には各地に原発があったわけで、日本が沈没した1970年代にはどれも稼働していただろうし、汚染

    0
    2019年08月25日
  • 覇者の戦塵1945 硫黄島航空戦線

    Posted by ブクログ

    硫黄島での黒衣の未亡人狩と大陸での和平工作が中心の話でした
    異形の零戦。とあるが微妙~
    クライマックス近し!とある割には盛り上がりもなく印象に残り難い感じでした

    0
    2019年03月19日
  • 工作艦間宮の戦争 新・航空宇宙軍史

    Posted by ブクログ

    外惑星連合と航空宇宙軍という2つの陣営が戦争をしている設定なのだが、偵察とか、諜報とか、人手不足で大型艦を二人で運用とか、めちゃくちゃ地味な部分をクローズアップしている不思議な小説。スペースオペラを期待すると肩透かしを食うが、ビジネス目線で見ると面白い。

    0
    2018年12月07日
  • ヤマケイ文庫 単独行者 新・加藤文太郎伝上

    Posted by ブクログ

    序で加藤遭難を書き起こしてくれて良かった。単独行者・加藤文太郎を最初は小説『孤高の人』で、次に自伝『単独行』で人となりを知り、最後に本書で締めくくろうと思った。他人と一緒に行動するより単独を好む彼を私は理解できる。そして、里歩きから無雪期の登山に移行し、夏山では満足できずに冬山へと突き進む様がよくトレースできた。「一月の思い出」の中において、加藤が後に遭難する一行の幻影を見た記述は何を基にしたものだろう? 単なる文章の高揚のためだとするならばいただけない……

    0
    2018年01月08日
  • コロンビア・ゼロ──新・航空宇宙軍史

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    劈頭から、懐かしのタイタン航空隊を即思い出させてくれるザナドゥ高地。
    その後も、ヴァルキリーだったりサラマンダー、サルベージ業者、仮想人格などと
    旧作の読者に向けた航空宇宙軍史世界巡りが続く
    続編を待ち望んでいた読者たちへ、作者からの祝儀のようなものだろうか
    しかしどこか不自然な気もする
    偽物の世界を見せられているような胸騒ぎがする
    叙述トリックを仕掛けられているような気がする
    罠に嵌められ、実は死地に置かれてしまっていることに気がついた登場人物たちの焦りに似たもの不気味さを感じる

    特に後半、慌ただしく旧作キャラの縁者だと明かしながらも
    だからといって何が起こるでもなく気がつくと死んでいる

    0
    2017年06月05日
  • ヴァレリア・ファイル 下

    Posted by ブクログ

    凄腕ハッカーの面目躍如というより,計画性があるのかないのかわからないようなプロの仕事人ジョーズのハチャメチャぶりが際立つ.個性の強すぎる面々が勝手に暴走しつつもうまく落ち着くところに着地する職人芸の谷さん.面白かったです.

    0
    2017年02月08日