【感想・ネタバレ】ヤマケイ文庫 白き嶺の男のレビュー

あらすじ

山岳会の新人山行として冬の八ヶ岳縦走に参加した加藤武郎。山岳会の常識にとらわれない彼の行動に、リーダーは戸惑い、怒りを覚えるが、その夜、猛吹雪がふたりを襲う――(白き嶺の男)。
『新編 単独行』から『単独行者(ルビ・アラインゲンガー)』に連なる不世出の登山家・加藤文太郎(1905年~1936年)の魂を継いで、南アルプスの渓谷や冬の北アルプス・滝谷、そしてヒマラヤの高峰を舞台に谷甲州が描く「もう一人の加藤の物語」。
1996年度新田次郎文学賞受賞作。

●白き嶺の男
●沢の音
●ラッセル
●アタック
●頂稜(スカイライン)
●七ッ針―山岳ホラー
●ヤマケイ文庫版あとがき(13頁)

※八ヶ岳、滝谷が舞台の「白き嶺の男」「ラッセル」については地図を追加。

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Posted by ブクログ

谷甲州『白き嶺の男』ヤマケイ文庫。

1996年度新田次郎文学賞受賞作がヤマケイ文庫から待望の復刊。谷甲州の山岳小説は大変面白く、殆どの作品は読んでいるのだが、この作品だけは未読だった。

日本は空前の登山ブームらしい。山の怖さを知らぬままに見よう見まねで無謀な登山を敢行する人たちが増えたためか年間の遭難者は3,000人を超えたと言うが……

加藤武郎を主人公とした5つの連作短編と山岳ホラー短編1編を収録。いずれも主人公の加藤武郎の登山家としての魅力と山への畏怖、恐怖、リアリティを感じる面白い短編だった。

『白き嶺の男』。加藤武郎が山岳会の先輩である田嶋の指導のもと、新人訓練山行で八ヶ岳雪山縦走に挑む。山行を通じて描かれる加藤と田嶋の交流が面白い。

『沢の音』。この後、加藤武郎とパートナーを組むことになる久住浩志との出会いを描く短編。

『ラッセル』。山岳会の合宿で行われた厳冬期滝谷完全遡行での加藤と久住の挑戦。

『アタック』。東部ネパール7,300m峰への遠征登山で加藤は何故か登頂へのこだわりを失う。

『頂稜』。7,800m級の無名峰で一度アタックに失敗した加藤と久住のもとにアメリカの登山隊が訪れる……

『七ツ針』。厳冬期の山を舞台にしたホラー短編。寒さすら感じる素晴らしい筆致で描かれる恐怖。

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2018年06月23日

Posted by ブクログ

京都旅行中に恵文社の山岳文庫コーナーで発見。
新田次郎好きなので即購入。
もうひとりの加藤、加藤武郎を軸にストーリーが展開。
白き嶺の男、沢の音、ラッセル、アタック、頂稜。
舞台も、八ヶ岳から、北アルプス、そしてヒマラヤへ。

これ、長編で読みたいな…。再編希望。

七ツ針 山岳ホラー は個人的には別で読みたかったですが、全編を通して楽しかったです。

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2020年03月04日

Posted by ブクログ

谷甲州さんの山小説はホントにピンとくる。加藤文太郎への共感度が似てるからなのか。解説も熱意が伝わる良い文章だった。

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2018年09月24日

Posted by ブクログ

強烈な個性を持つ登山家の、登山家としての成長を追って書かれた短編集。

私は登山経験はなく、今後も本格的登山をすることはない。たまに山岳小説を読んで思うのは、こんなに苦しい思いをして、登山家は何を得ているのだろうか?ということ。
きっとそこには、登山小説には書かれない、文字に書き起こすことはできない、何か素晴らしいものがあるんだろう。そうでなければ、人がこんなに辛いことをする意味がわからない。

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2019年10月28日

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