稲泉連のレビュー一覧
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日本人で宇宙飛行を経験した人はこれまで12人。その全員へのインタビューをまとめた一冊。彼らも著者も、そして私も立花隆著「宇宙からの帰還」を意識した。文化や宗教の違いを超えて、米国人宇宙飛行士たちと同じように創造主の存在や地球への愛おしさを語る人がいる一方、新世代の宇宙飛行士の中には仕事で出張に行ったのと同じと言う人がいて面白い。独特なのは日本人の宇宙飛行第一号となり、いまは農業に従事する元TBSの秋山豊寛で、印象深いのは「宇宙へ行っても自分は何一つ変わらない」と言う金井宣茂。全体的には、地球を大切にすべきという感想と、人類はもっと宇宙に出ていくべきというポジティブな意見が多かったように思う。
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200101.新年一発目。
宇宙に行きたくなる本。
ミクロとマクロじゃないが、宇宙で言う地球、人間も一つの地球。修学旅行で宇宙に行ける時代がくれば争い事やら環境問題やらも前向きに進むのだろうか。
長期滞在者は感覚が宇宙に適用なるというのが面白い。
いわゆるガンダムのニュータイプかと思いきや、逆に地上への順応ができなくなってしまう。
宇宙と地球の行き来を頻繁にすることでまた違う感覚が出てくるんだろうか。
空気のない中での景色を見てみたい。
宇宙だと視力が戻るのも面白い。
地球なりISSが視界から消えるだけで絶対的な孤独感が来るというのも面白い。
どんな環境でも適用できてしまうというのはとても心強 -
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八人の若者にインタビューを行い、その人生経験を元に作成された本書。ルポルタージュ。
本書が出版されたのは、10年近く前、単行本で言えば15年も以前のものなのだが、読んでみると、とても現代的と言えるだろう。一流の大学を出ても就職出来ない人や、高校へ行くことに疑問や違和感を抱き中退しニートやフリーターになったり、就職できたとしても苦痛な環境(所謂ブラック企業)であったり、当時よりも今の環境そのものに苦しむ人が多いように思う。
人生という大きな縮図からすれば、生まれてから取材を受けるまでのそれぞれのインタビュアーの日々は人生の総合的に見ればほんの短い一時でしかないため、このインタビューはその過程を示 -
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1990年代中頃~2000年代前半の就職氷河期に大卒・総合職で就職活動を行い,その後転職という道を選んだ8人の若者についてのノンフィクション.いわゆるロストジェネレーションの人たち.新卒としての採用から転職に至るまでの経緯,および転職してからの現状について赤裸々に語られている.
就活を始める前の大学生から入社後数年の経験を経た若手社会人におすすめ.転職したいかどうかは置いといて,自分の仕事観・キャリアプランを形成する一助となるだろう.転職を推奨するものではない.
自分も就職氷河期に入社した者として共感する部分が大いにあった.
・右肩下がりの時代では,現状維持では時代と一緒に落ちて行ってしまう
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[未知にたじろいで]23歳の若さで戦死した竹内浩三。彼が生前に遺した詩や手記の数々に共感を覚えた著者は、それらを手がかりに、自らが経験したことのない戦争の実像、そして竹内にとっての戦争とは何であったのかに迫ろうとする。いわゆる「戦争を知らない」世代に属する人間が試みた、切ないまでの模索を描いたノンフィクション。著者は、本作によって、26歳の若さにして大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した稲泉連。
不勉強にして竹内浩三の名前と彼の作品を知らなかったのですが、厳しい世相の中での素朴な心情の吐露と柔和な言葉遣いに、著者や本書で登場する人物同様、自分も衝撃を覚えました。大きな物語としての戦争ではなく -
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この著者の『命をつなげ 東日本大震災、大動脈復旧への戦い』を読み、本書も手に取った。東日本大震災で被災した東北の街の書店のその後を描いたルポルタージュである。地盤沈下や原発事故の影響など被災状況も様々であるが、懸命の努力により復活した書店もあれば、やむなく廃業した書店もあり、中には全くの未経験にも関わらず、新たに開店した書店もある。こうした様々な街の書店の苦しみや努力が行間から伝わって来る。多くの人びとの心の支えとなった街の書店に心から感謝したい。
本書に描かれている書店の中では、宮脇書店気仙沼店、金港堂石巻店、ヤマト屋書店、ジュンク堂書店仙台ロフト店に行った事がある。中でも、宮脇書店気仙沼 -
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ネタバレ転職にまつわる氷河期世代8人のルポルタージュ。これには強いリアリティがある。ルポだからリアルなのは当然だが、その書き手の表現の仕方だろうか、描かれている気持ちがよく伝わってくるし、状況も非常に同時代を生きた者としては「あるある」と言った感じだろう。
起業に失敗する者、なんとなくで入社したが仕事を好きになれない者、あこがれの業界に入ったもののイメージとは異なり悩む者、どのシチュエーションも実に身近にあるものだ。
氷河期世代以降の学生は大企業の倒産を見ているので、大企業が安泰とは限らないことを肌感覚で知っている。だからこそ、手にスキルをつけたいとか、資格が欲しいとか、起業をして自分でコントロール -
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こんなに「うんうん」と頷きながら読んだドキュメンタリーはない。睡眠時間削って読んだ本。弟が就活前だったら絶対に贈っていたと思う。金融、食品、石炭、広告、研究開発と様々な職種で社会に飛び込んだ当時の学生とその後について書かれているけど、どのエピソードにも思い当たる部分があって、恥ずかしくなったり励みになったり。仕事でどどーんと煮詰まったら読んでみて下さい。どの業界、どの職種、どの会社にも形を変えて遣る瀬なさは存在する、ことを思い出させてくれます。同じ風景も年月が経てば違って見える、それは必ずしも「流された」「染まった」「諦めた」で形容できるだけのものではない。