稲泉連のレビュー一覧

  • 僕らが働く理由、働かない理由、働けない理由

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    社会に出て就職することに対して多かれ少なかれ疑問をいだく8人の若者たちを取材し、彼らの内面にくすぶっている思いを明らかにした本です。

    共感をおぼえることもけっしてすくなくはなかったのですが、このような「働くこと」を取り巻く問題について、それではどのように考えればよいのか、という問いに対して、本書はなにも答えてくれません。「働くこと」について著者自身がいだいている一定の主張を示すことが目的ではなく、むしろ「働くこと」についてのさまざまな人びとの意見を紹介するルポというべき内容なので、こうした不満は筋違いではあるのですが、こうした状況を個々人の内面へと還元してしまうことに対する違和感を拭うことが

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    2018年10月02日
  • 戦前の大金持ち(小学館新書)

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    お金には、稼ぐ時より使う時にこそ、その人らしい個性が強く出る傾向がある。それを教えてくれる本である。人は教育や世間の影響を受けながらお金を使うが、この本は、自らの内なる声に従った使い方の達人を紹介している。

    本書は、現代の富裕層だけでなく、実際の財産の大小に限らず、「お金の使い方に生き方が現れる」という考えに共感できる人であれば、誰にとってもおすすめだ。まわりに惑わされない生き方に興味ある人に向けた本である。

    戦前の6名、梅屋庄吉、薩摩治郎八、大倉喜八郎、土倉庄三郎、山崎種二、御木本幸吉と戦後派の足立全康を足した7名のミニ評伝と出口氏の解説で各章にまとめてある。新書のページ数なので、簡易な

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    2018年06月22日
  • ぼくもいくさに征くのだけれど 竹内浩三の詩と死

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    先日、水木しげる氏の戦時記を読んだばかり。こちらの竹内浩三氏は23歳で戦死した。不自由ない環境でのびのび育ち、映画監督になることを夢見た青年は、数々の詩を残しこの世を去った。行きて帰られたら、どんな人物になっていただろうか。戦争は未来ある人々の命をいとも簡単に奪ってしまう。

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    2017年07月08日
  • ドキュメント 豪雨災害 そのとき人は何を見るか

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    第1、2章はH23年和歌山での土砂災害のルポタージュが中心。「まえがき」こそ命からがら助かった住民の方の話だったが、そのあとの本編は住民目線の話はあまりなく、むしろ行政側(首長、防衛省、国交省)や建設業者による対応こそ、中心的に描かれている。行政の対応等に光をあてられていること自体は有意義。

    惜しむらくは、そのように目線ごと(プレーヤーごと)にわけて描かれていればそれぞれの活躍ぶりがよく伝わっただろうということ。
    様々な話を一緒くたにして書いたり、途中に学識者(静岡大・牛山教授)の話をまぜこぜにして書いたりしているため、情報が頭に入ってこない。
    その点、『ドキュメント 御嶽山大噴火』や『前へ

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    2016年05月25日
  • 復興の書店

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    本に関わる人たちによる、被災地で書店が、本がどのような役割を担っていたかや、書店経営再開や被災地で書店を始めた人たちにスポットをあてたドキュメンタリー。

    正直、美談のような話が多く感じられてバイアスかかってるように思われましたが、私も本が好きなのでそこは目を瞑りながら(汗)…

    被災地で本が求められたエピソードについては、人間はどのような境遇にあっても、あるいは被災地のような極限的な状況だからこそ(本のような)心の安らぎを感じられる存在を求めるのかなぁ、と思いました。また「本」という存在が我々にどのように関わっているのか、今後どのように関わっていくのかについて考えさせられました。

    個人的に

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    2015年12月15日
  • 僕らが働く理由、働かない理由、働けない理由

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    学校に馴染めず、高校中退した人々を取材し、内面を描く。

    アトピーの話や、「勉強は楽しくなかったが、友達も少く休み時間に話をすることもないので、むしろ休み時間の方が手持ちぶさた」等、私の高校時代もそうだったよなあと思いながら読む。

    引きこもりの項は興味深く読む。まあ想像していた通りがだ、色々な心の葛藤を読むと、私の回りの彼等もそういう気持ちで過ごしていたのかなぁと思う。

    色々な価値観を知れることは楽しいが、一様に根底には「ゆとり」なのか、甘え、若いがゆえの軽率さが見てとれる。豊な日本で働かなくても何とかなる現状への甘え。
    彼等の現状がどこに続くのか?と憤る。やりたくないことはやらず、嫌だと

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    2014年10月21日
  • ドキュメント 豪雨災害 そのとき人は何を見るか

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    2011年9月に発生した奈良県十津川村、和歌山県那智勝浦町の豪雨災害の詳細なレポート、そして、その事例を踏まえ今の東京の水害に対する脆弱さを指摘している。

    被災地に共通していえることは、ここ何十年かは大丈夫だったという近視眼的な、根拠の無い安心感。
    土地の古老といっても、記憶があるのはせいぜい70年から80年ぐらいのもの。しかし、たとえば那智谷の地形は、専門家からみれば典型的な谷底平野であり、長い年月をかけて川が谷底を暴れ、谷を削ることに寄って平野が形成されてきた地域であるらしい。
    そこが危険な場所だという認識に、欠けていたのではないかという指摘。

    そして、やはり被害が発生した地域では、本

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    2014年08月14日
  • ドキュメント 豪雨災害 そのとき人は何を見るか

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    なるほど・・・。
    北海道の「新十津川市」というのは、122年ほど前、十津川を襲った災害で新開拓を決心した村民の移住先だったんですね。
    日本は災害が多い。しかし、場所によることも確か。
    100年に一度と言われても…なかなか実感を持って防災にあたれないのが人情かと。

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    2014年07月26日
  • 仕事漂流 就職氷河期世代の「働き方」

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    一度は就職したものの、会社に疑問を抱き、転職した人の体験談を語っている。登場する人物は優秀な大学を出て、良い企業に入った人が多いので、ニートに共感は得られない本だと思う。

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    2012年10月07日
  • 仕事漂流 就職氷河期世代の「働き方」

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    自分がタイトルの状況にあった時に読んだ本。


    取り上げられた人達の思考は理解しやすく、物語としても面白く読ませてもらえた。

    作者の思想や解釈を無理に押し出していないところも好感が持てた。


    正解がない中、同じ仕事人として悩み進む姿を身近に感じて勇気付けられた。

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    2011年08月13日
  • 仕事漂流 就職氷河期世代の「働き方」

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    一流大学を卒業し、一流企業に入ったけど、転職をした8人に焦点を当てたノンフィクション。

    キャリアアップという言葉に、アタフタさせられ、浮き足立たされる。その感覚は凄くわかる。

    ノンフィクションなので、転職で何もかも得られるわけじゃないが、それなりの満足感を得ているといった、リアルな内容なのは良いですね。むやみに煽るわけでもない。

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    2011年03月25日
  • 仕事漂流 就職氷河期世代の「働き方」

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    「選択肢が増えても成功の確率が低い時代、選択肢が少なくても成功の可能性が高かった時代」

    「仕事漂流」とはこれだと言う仕事が見つからないということで、決して仕事にあぶれているということではない。ここに登場する人たちは、1990年後半から2000年前半の就職氷河期に就職できた勝ち組と言われる人々。 人としても魅力的で頭だっていい勝ち組であっても自分の生き方や選択に悩んでいる。(生活への不安は語られないし書かれていない)悩んでいるとはいえ、そこはやっぱ優秀で勝ち組になったのも納得。そしてそういう人はやはり大企業に入る。

     30歳までの時期は大企業で働き、柔らかい頭に一流を詰め込み、それから中小

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    2011年05月18日
  • 仕事漂流 就職氷河期世代の「働き方」

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    大宅賞作家・稲泉連さんの最新刊(2010/4)、やっと読みました。ロスジェネ世代の、会社に依存しきらないチャレンジングな生き方・考え方に、アラフォーの私も「負けてらんないな」と刺激を受ける。就職氷河期に社会人になったことを「強み」に変えた8人の実例。

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    2010年09月17日
  • 僕らが働く理由、働かない理由、働けない理由

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    人間の活動っていうのはすべて文化そのもの。たとえば、性欲や食欲などの欲望を学問や芸術に昇華するのも人間だし、ただお腹を満たすだけではなくて、そこに文化を求めるのは人間だからでしょ?
    だからこそ一流の料理は文化になる。そして、食欲や性欲が満たされても、何かを知りたい、どうしても解き明かしたい、っていう欲は残る。人間は最終的に知識欲を満たしたくなる動物ってことね。
    だから、まずはあらゆる欲を満たして、それからさらにその上にある知識欲を本当に追求していったら、君は学問に関して成功するよ

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    2009年10月07日