あらすじ
ミスを無くすためだけではない校閲。本に似合った衣装を着せる装幀。紙を本にする製本。本の声ともいえる書体。もちろん紙がなければ本はできない。そういった「本づくり」の舞台裏を私たちはあまり知らない。本を支えるプロフェッショナルの仕事に対する熱い想いを届けるために、彼らの言葉を聞きにいく。読めばきっと、見方がぐっと変わり、本が愛おしくなる情熱のノンフィクション。形のある本を愛するすべての人へ。
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Posted by ブクログ
本を読むとき、ブックカバーをつけず読むのが、本を作ってくれた方々の努力を称えるのだろうと思う。そして、自分の仕事も色んな人が色んなことをしてる。これを上手くまとめてほしいな。
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どのインタビューもよかったのですが、新潮社の校閲の話がとてもおもしろかったです。「校閲は出版社の価値であり良心であるーー」という言葉にぐっときました。
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「わたしの名前は「本」」と同じくらい、大事な本になりそう。
「古くてあたらしい仕事」もそうだけど、自分の中の根底にある「モノ」や「カタチ」としての本を大切にしていきたい、という思いは一層強くなるばかり。
「美しくなければ本ではない」その言葉にどれだけ救われるか。
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本と一口にいってもそれができるまでに色んな人たちが関わり工夫を凝らしていることが分かった。当たり前のように読んでいる本を改めて深く読み、感じたいと思う。
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稲泉連『「本をつくる」という仕事』ちくま文庫。
本づくりのプロフェッショナルの舞台裏を描いたノンフィクション。稲泉連の作品を読むのは『命をつなげ 東日本大震災、大動脈復旧への戦い』『復興の書店』に次ぎ3作目。
まさか活字書体の開発から迫るとは全くの予想外だった。何で今の世に活字書体の開発なのだろう。読んでみると、紙の質の変化に対応し、インクのにじみ等を計算した上で書体に改良を加える必要があったという理由に驚いた。
1冊の本が出来るまでの長い道程。その道程に関わる多くの人びと。活字に加えて、製本や印刷、校閲、製紙、装丁。本をつくり出すプロセス全てを丹念に取材し、我々に本の持つ魅力を伝えてくれる面白いノンフィクションであった。
本体価格740円
★★★★★
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本を読むときに、いい文章に出会ったら付箋を貼るようにしているが、この本で貼った付箋は0枚だった。だが、この本はいい本だ。一文がいいのではなく、全体を通して迫ってくる力を感じる。戦地のドキュメンタリーでもない、本をつくる人たちのインタビューを基にしたノンフィクションなのに。
本を読むのが好きでも、ここに出てくる職業の仕事を意識して本を読むことはあまりないかもしれない。だからこそ、いろんな本好きに勧められる。どのジャンルが好きな人でも、〈本〉を避けては通れない。自分の好きな本の箸休めとして読んでみてはいかがでしょうか。
Posted by ブクログ
「本を作る」と聞いて、著者や編集者、出版社ぐらいはすぐに思い浮かびますが、実際に”紙の本”が一つの商品として完成するには、多くのプロセスと、その作業に長じた専門家の存在があります。本書はそういう本づくりの裏方さんにスポットを当てたノンフィクションです。
本書は各章1工程ずつ、活字、製本、活版印刷、校閲、製紙、装幀、翻訳、最後に絵本、という内容に分かれています。いくつか、印象的だった部分を抜粋します。
活版印刷
鉛の活字を組んで活版を作って印刷していた時代、活字を拾う作業ではベテラン職人は原稿を「読まずに拾う」→詳しくは本書を読んでみてください。
校閲
校正と校閲の違い(本書によると、校正=ゲラ刷りが原稿通りかどうかのチェック、校閲=内容の事実確認や正誤・全体の矛盾などの洗い出し)、そしてこの作業こそが本が伝える情報の正確さを支えている、という事を再認識。ネット記事と本との情報の”重さ”、”正確さ”の差はここに宿っているんだ!と思いました。
製紙
ごく最近まで、印刷に適した書籍用の紙は酸性紙だったため、数十年で紙がボロボロになり、本の寿命を短くしていました。紙の寿命を延ばす中性紙の開発に携わった技術者の証言が描かれています。
こういう拘りの積み重ねの結果として、”紙の本”が出来るのだと分かると、読み終わった本も改めて眺めてみたくなります。
ちなみに活字については
「奇跡のフォント 教科書が読めない子どもを知って―UDデジタル教科書体 開発物語」
製紙に関しては
「紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場」
という本が、それぞれの分野について、より詳しく扱っています。興味がある方は、これらの本も是非読んでみてください。
Posted by ブクログ
製紙、印刷、装丁、活字…一冊の本を作るのに、こんなにも多くの人がかかわり、そしてそのひとりひとりの情熱やこだわりが交差しているのだと実感させられ、目の前にある本が今まで以上に尊いものだと感じられた。すべての章が興味深く、今すぐにでも本屋に行って一冊一冊本を手に取って眺めてみたいと思った。紙の本が永遠にこの世界にあり続けることを願う。
Posted by ブクログ
生涯80年だとして、年間100冊読んでも8,000冊しか読めない。厳選された8,000冊、全てに書体・装丁・製本などの工程がある。
この本を読むと1冊1冊の重みを感じる。読み心地、ページを捲る感覚、ジャケット。どれも拘り抜いたプロフェッショナルの塊。それを無意識的に感じ取り、本屋で手に取っているんだなと改めて思った。そう思うと、過去に読んだ本も全部見返したくなる。どんな気持ちで、どんな思いを込めて、この本が仕上がったんだろう。
活字が好きだから電子書籍も読むけれど、やっぱり本が好き。そんな人にぜひ読んでほしい。
Posted by ブクログ
何気に手に取っていた「本」
その「本」が出来上がるまでに、さまざまなプロの手が加わっていることを実感しました
製本、文字、活版印刷、紙、校閲、装幀、出版エージェント、作家
取り上げられたプロフェッショナルな方々、本が出来上がるまで、皆さん緻密に、納得いくまで、とことん追求するその姿勢に感動です
著書もおっしゃってましたが、まさに「本」はひとつの工業製品です
Posted by ブクログ
こういう、地味かつ地道な仕事をきちんとこなしていく人生はいいな。
でもそれらが、職業として成り立たなくなっていく現実。
電子書籍だけの問題じゃなく、紙の本は残っても、消えていくものがあるんだな。
Posted by ブクログ
本好き、特に「もの」としての「本」好きにとっては、本書各章に取り上げられている本に関わる仕事に、またそれに携わる人たちに、感謝や崇敬の念を覚えるのではないだろうか。
本書では、一冊の本ができるまでに、その舞台裏を支えている活字書体、製本、活版印刷、校閲、紙製造、装幀、エージェントといった仕事を各章で紹介し、その仕事に従事している人たちの思いを丁寧に紹介していく。
私たちが当たり前のように本を読んでいるのには、これらの仕事と、それに従事する人々のプロフェショナルの矜持があってこそと、思いを新たにした。
Posted by ブクログ
本書は「もの」としての本を作るための技術と、本の内容に関するソフト面の作業が半々くらいの割合で書かれている。
本を読むとき「書体」によって読みやすさの違いを感じることがある。
「紙」自体は、色・厚さ・手触り・光の反射など本の善し悪しを決める重要な要素だ。
活版印刷が前提の時代は、紙による印刷時のインクの滲みを考慮してフォントの太さを決めていたりしたそうだ。
紙作りも増版時に初版と同じ紙質と色を再現するのが当たり前のように行われている。
背の丸み具合にこだわったり、本は職人の匠の技で作られていたんだなぁ、ということがわかる。
三菱製紙中川工場のことが書かれていて、場所を調べてみたら跡地が東京理科大学葛飾キャンパスになっていた。
ソフト面では、校正・校閲の仕事の重要さが良く伝わって来た。
あと印象に残ったのは、日本でも売れそうな翻訳本の選び方、子供が夢中になる絵本の作り方。
絵本では子供が描くような絵の描き方を練習していたり、子供の本を大人が作ることの難しさが少し分かった。
1冊の本が自分の手元あるということは、実に多くの人達が仕事をしてくれたおかげだ。
「本」に限ったことじゃないけど、それぞれの仕事に携わった人々に感謝だな。