杉本苑子のレビュー一覧

  • 散華 紫式部の生涯(下)

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    上巻を読み始めた先月からずっと、日常生活を送りながらも頭と心の一部は平安時代に行っちゃってたので、読み終えてからしばらくの間放心状態だった。すぐ現実に戻れなくて、戻りたくない気持ちもあって。ラストがあまりにも寂しくて涙が出た。

    本作は紫式部の物語ではあるが、紫式部一家の、家族の物語でもある。そして天皇家や中ノ関白家はもちろん、複雑な藤原家一族どうしの関係の中で、それぞれが恋をしたり出仕したり、自分や家族の出世に喜び喜ばれ、妬み妬まれ、持ち上げられ蹴落とされ、多くの人が死に、生まれ、さまざまな人生が交錯してゆく。

    〈本質的には現代人と変らぬ生き身の人間として、登場人物を描くことにつとめた〉と

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    2024年04月10日
  • 散華 紫式部の生涯 (合本)

    購入済み

    電子化すごい

    単行本も持ってますが、新しく電子版が出たので、買いました。平安の時代がイキイキと描かれていて、大好きな本です。

    #感動する #深い #憧れる

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    2023年12月02日
  • 散華 紫式部の生涯(上)

    祝 復刻、電子化

    友人に勧められた当時は、苦労して探した覚えがあります。とても面白いです。当時の貴族の生活がリアルに伝わってきます。源氏物語の世界を知るにも良いです。また再読できることが嬉しいです。

    #深い #タメになる #感動する

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    2023年11月26日
  • 傾く滝

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    ネタバレ

    読んで30年以上経つのに、未だに折に触れて思い出す。(本筋とは全く絡みません…)

    主人公である宮永直樹の隣人・弥平次には、居候がいる。妹を騙して死なせた男の瞼に、弥平次は「くろす」を刺青したのだ。キリシタン禁制のご時世、外へ出られなくなった男。閉じ込められている訳でもないのに、自害する心意気もなく、1日2つ与えられる握り飯で命尽きる日を待つだけ。
    お屋敷暮らしで端の一室に置いてる…とかってんじゃない。職人暮らしの狭い空間で、四六時中憎悪の対象の気配、どうかするとその体温を感じるように接している生活。
    妹が喜ぶ訳でもましてや帰って来る訳でもないのに。そこまでエネルギーを、自分の人生を注力するか

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    2021年07月07日
  • 孤愁の岸(下)

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    平田が幕府からの短文による命に打ちのめされたのに始まり、また「もう自分はこれで自分は人生を終えるのだ」と悟る情景が続くように、
    「武士としての心意気や絶望」や「幕府(あるいは村役)との折衝・勝負」が生々しくつづられている。一方で、美濃の地域の人々を想う様子も随所に描かれ、しかし他方で故郷である薩摩を想う(寂しく思う)様子も十分に記述されている。平時の戦との表現も印象的。感情に満ち、時代背景にも満ちた、とても充実した一冊を終えての読後感に浸っている。

    今にして思えば、平田の「もう人生は終わり」との最初の思い(あきらめ)は、ある種の伏線だったのだなぁ。

    (上巻にもほぼ共通したレビュー)

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    2015年07月17日
  • 孤愁の岸(上)

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    平田が幕府からの短文による命に打ちのめされたのに始まり、また「もう自分はこれで自分は人生を終えるのだ」と悟る情景が続くように、
    「武士としての心意気や絶望」や「幕府(あるいは村役)との折衝・勝負」が生々しくつづられている。一方で、美濃の地域の人々を想う様子も随所に描かれ、しかし他方で故郷である薩摩を想う(寂しく思う)様子も十分に記述されている。平時の戦との表現も印象的。感情に満ち、時代背景にも満ちた、とても充実した一冊を終えての読後感に浸っている。

    (下巻にも共通したレビュー。ただし下巻のレビューには一言付言)

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    2015年07月17日
  • 今昔物語ふぁんたじあ

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    名古屋大須の古本屋で購入。
    帰りの新幹線ですぐ読み終わった。
    善は救われるよりも、善い人が死んで、クズが悔い改める話が多くて、慈悲の無さが今昔物語なのかと。
    尼さんが望まれない子が出来てしまったのを、間抜けと思われた侍が機転で助けてあげる話好き。その機転も決っしてカッコイイものではないあたりが。

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    2014年01月28日
  • 傾く滝

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    若くして自殺した美貌の八世市川団十郎の破滅的な恋の苦悩と悦楽。恋人は仇持ちの浪人。・・・辛いけど最高に面白いよ。
    杉本苑子の本がほとんど絶版なのは本当に悲しい。

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    2013年02月27日
  • 長勝院の萩(上)

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    歴史小説の面白いところはスポットの当て方によって,歴史上の人物の様々な姿を垣間見ることができる点です。
    切ない小説です。
    私はこの小説で徳川家康が益々嫌いになりました(笑)。

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    2011年03月21日
  • 傾く滝

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    (昔書いた感想を引っ張ってこようシリーズ)
    これはついこないだもちょろっと書いたような気がするけど・・・。
    BL、つかジュネ!!って感じの少年愛小説なんですけど(・・・)、歌舞伎役者の九代目市川団十郎が主人公。この団十郎がものすごい美少年っぷり。
    イメージとしてはすごい山岸凉子っぽい。「神隠し」て読み切りの美少年くんみたいな感じ。水も滴る美少年。線が細くて骨ばってて性格もどこか思いつめたとこがあって、何をしでかすか分からない危うさを秘めている、ってな感じ?
    まあ、そんな美少年くんが仇持ちの浪人への破滅的な愛にのめり込んでまっしぐらってな話です。
    しかしこの団十郎がけなげでけなげで泣けてくるわ!

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    2009年10月04日
  • 滝沢馬琴(上)

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    こちらは八犬伝を執筆中の馬琴の物語。八犬伝完結までの経緯を滝沢老人と個性的な家族の物語としてまとめてあります。偏屈老人の細かい日記は、今では立派な江戸風俗研究資料になってます。

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    2009年10月07日
  • 滝沢馬琴 上

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    山田風太郎の八犬伝と全く同じ人物像で、ほんとにこんな頑固じいさんからなんで奇想天外なストーリーが生まれるのか不思議です。家族、親戚一同みなさんお気の毒。去年、「大河ドラマべらぼうを楽しむために」みたいな帯が付いてたので読みましたが、今のところべらぼうにはまだ馬琴先生は登場してなくて、あんまりタイムリーじゃなかったよ。

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    2025年10月22日
  • 散華 紫式部の生涯(下)

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    大河ドラマ「光る君へ」の主人公である紫式部の生涯を題材にしていたので読みました。
    また、作者の杉本苑子さんは若い頃から読んでいたので。
    源氏物語のストーリーが紫式部の生涯に散りばめられており、源氏物語も同時に楽しめました。
    紫式部が亡くなり、年老いた父と叔母の二人が物語を結ぶシーンが儚く美しく源氏物語に通じるものがあると感じました。
    この本が大河ドラマの原作であれば良かったのにと思う一作でした。

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    2025年01月02日
  • 散華 紫式部の生涯(上)

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    サブタイトルにあるとおり、紫式部の物語。上巻568ページ、下巻498ページという長編。

    紫式部の名前は、この作品では小市。姉は大市、弟は薬師麿(元服後は惟規)。

    7歳の小市が、5歳の弟とともに、乳母と17歳の叔母の周防に連れられて、墓参りに行くところから始まる。

    そして、27歳になった小市が、越前守に任ぜられた父為時について越前へと旅立とうとしている、ここまでが上巻。

    はじめのうちは、父為時の世代を中心に、おじやおばを通してさまざまな人間関係が描かれており、小市の生活環境や立場などがよくわかる。もちろん、天皇やその周囲、兼家をはじめとする中ノ関白家なども描かれつつ、小市の成長につれて小

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    2024年03月25日
  • 散華 紫式部の生涯(下)

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    一月からの大河ドラマに
    備えて年内に読み切りたいと始めて2週間ほどでしたね。
    書店には紫式部に関連した本が山積みしてありますが、
    この方は、新しくリリースされた文庫本ではなく、
    古本として手に入れていた単行本でした。
    源氏物語は言うまでもなく、枕草子や伊勢物語は読んでましたので、楽しく読めました。
    蜻蛉日記や和泉式部日記も読んでみたいと思います。

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    2023年12月30日
  • 孤愁の岸(下)

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    宝暦治水。職務上の責任をとり切腹した者が50名、疫病で命を落とした者が202名、さらに仲間に斬られた者、事故死した者、薩摩藩士はどれだけ辛かっただろう。予想通り、最後は奉行も果てるのだが、身の回りの世話をしていた少年・佐田恒弥も命を断つとは悲しすぎる。

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    2022年12月08日
  • 大江戸ゴミ戦争

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    江戸の町で、増えてあふれるゴミと、そのゴミに翻弄される人たちのアンソロジー。

    ある日、12両という大金を道端で見つけ、それをぬか味噌桶に隠したは良いものの、父の危篤で呼び出され一ヶ月戻れない。心配なぬか味噌は、帰宅したら虫がわき、もうすでに桶ごとゴミ屋が運んでしまっていた…。

    有名な作家だけど、歴史者や時代物が苦手なので敬遠していた。本作に関しては、注目される主人公と、その周辺という描き方の作品が多く、時代物を苦手とするワタシにも読みやすいものが多かった。

    中盤以降、奉行所だの謎の会社だのが入り乱れての、タイトル通りの「大戦争」的なはなしがあるのだが、あれこれ説明が多い割に、話は単調単純

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    2021年01月28日
  • 風の群像(下) 小説・足利尊氏

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    ネタバレ

    子ゆえの闇
    (愚息のせいで愚父が地獄をもたらす)
    合理的な理解は望めないが、
    足利義詮がねだるから直義を追い落とす
    その過程で
    師直の犠牲
    直義南朝へ
    親房の暗躍
    暗愚の義詮
    直冬の復讐
    野蛮なクセに大義名分を気にする場面もある
    北条氏なら
    「朝敵上等、後で取り返す」とでも言いそう

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    2020年03月08日
  • 今昔物語集

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    ◎古文が苦手だったけれども古典が読みたくて手にした本。現代文で書かれ、挿し絵、解説付き、ほとんどの漢字には振り仮名があるので読み易い。
    ◎平安時代、「今は昔」で始まる物語。
    51話の中で、一番好きなのが「さるの恩返し」。海で大きな貝に手を挟まれていたさるが赤ちゃんを連れたお母さんに助けられる。そして赤ちゃんを使って恩返しをする。お母さんにもさるにも温かい気持ちを感じ、好き。
    ◎一話ごとに「訳者からのひとこと」があり〜感想や時代背景などが書かれている。これが素の感想でおもしろい。

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    2020年01月11日
  • 私家版 かげろふ日記

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    さすが小説家の手によるもの。
    原文や、それを忠実に訳したものとは違う読みやすさがある。
    安和の変や、兼通、兼家の争いなど、ごちゃごちゃしたところも、すっと頭に入ってくる。
    杉本流の解釈も入っているが、道綱母の誇り高さも、それゆえの生きづらさも、よく伝わってくる。
    こんな風だったのかなあ、とかんじさせるリアリティがあるように思われる。

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    2019年11月04日