あらすじ
下ッ引きの惣吉が考えた新商売は、正月飾りや供物を集めて焼却する“お送り屋”だったが……「くくり猿」。ゴミ取り人足、佐吾平に儲け話が舞い込んだが、その瓜の摘み取りにはどうも妙なことが……「瓜長者の野望」。医者のぐうたら息子・小金吾は町の発明家、この度ひらめいたのは生ゴミを利用して高価な初物の促成栽培、当たれば大儲けのはずが……「ひらめき息子」。大量のゴミ処理は江戸でも万人共通の悩み。今も昔も変わらぬゴミの問題をユーモラスに描く歴史短篇七篇。
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Posted by ブクログ
江戸の町で、増えてあふれるゴミと、そのゴミに翻弄される人たちのアンソロジー。
ある日、12両という大金を道端で見つけ、それをぬか味噌桶に隠したは良いものの、父の危篤で呼び出され一ヶ月戻れない。心配なぬか味噌は、帰宅したら虫がわき、もうすでに桶ごとゴミ屋が運んでしまっていた…。
有名な作家だけど、歴史者や時代物が苦手なので敬遠していた。本作に関しては、注目される主人公と、その周辺という描き方の作品が多く、時代物を苦手とするワタシにも読みやすいものが多かった。
中盤以降、奉行所だの謎の会社だのが入り乱れての、タイトル通りの「大戦争」的なはなしがあるのだが、あれこれ説明が多い割に、話は単調単純で盛り上がらず、普通に注目する人物だけ描いていればよかったのではないかというものがある。
また、井上ひさし流というか、わざとコミカルに描いている中で、それを際立たせる "てくにっく"として、"ぶーむ”だの"はっぴい・えんど"だの、挙げ句に登場人物にまで"独占禁止法違反"だの語らせているのは、時代物を苦手とする我々には嬉しいところ。しかし、一部は、1ページに4つ5つもだされ、ちょっと調子に乗り過ぎではないかと感じた。
電子書籍も出ているようなので、短編を軽く読めるという意味で、練習に良いのではないか。