杉本苑子のレビュー一覧
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めちゃくちゃ面白いです、永井路子、杉本苑子といういずれも1920年生まれの大熟女がかしましくも語る「ごめんあそばせ 独断日本史」。まるでその時代に生きて、まるでその人たちとしょっちゅう会っていたかのように語る、歴史上の人物の悪口三昧、こき下ろし。女たらしだの愚図だの、自己チューだの、デリカシーがないだの、世の中を見る目がないだの、好きだの嫌いだの・・・まあ次々と血祭りにしてしまうありさま。まな板に載せられたのは、紫式部、清少納言から始まって、平重盛、建礼門院、源義経、上西門院、後白河法皇、後醍醐天皇、楠正成・・・とまあ、きりがないほど。
まあ女同士、とりわけ気に入らない女の話になるとそ -
Posted by ブクログ
記紀に題材を取ったものは二篇収録。
「瑪瑙の鳩」
司馬康は、かつて大陸は晋の王族だった。しかし、王家の崩壊後、倭の国に渡り、大和朝廷に食客とも王子たちの遊び相手ともつかない地位で身をよせていた。
熊襲の叛乱鎮圧のため橿日に軍を進めていた足仲津彦天皇の宮へ、籠坂・忍熊の二皇子に従って来ていた康は、天皇と皇后の不和を耳にする。皇后の父・丹波主君は半島の財宝を得たいがため、娘と示し合わせて自分に有利な神託を捏造しようとしていた。
神おろしの場で、その神託をぶち壊そうとした天皇は闇の中で謎の死をとげる。
「下手人は神ではない」天皇の死を、そう確信した康は、二人の皇子をつれて大和へ脱出した。
半島で -
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紫式部の生涯を描いた物語です。
上巻では幼少期から父為時の越前守赴任に同行することになったところで終わっています。この時点で27歳ですって。
小説なので、和泉式部や清少納言が思わぬ形で登場したり、蜻蛉日記がベストセラーだったり、読者へのサービス精神が旺盛な内容でした(笑)
和泉式部についてはちょっとやり過ぎかなーと思うけど。
また、風俗や作法が私の知る平安時代とかけ離れていてはじめそれに違和感があったけど、だんだんそれは上流階級のほんの一部の風俗で、大部分の下級藤原一族の暮らしは本書のような感じなのかもなあと思えてきました。今放映している大河もね、そんな感じですものね。
正直ダラダラして -
Posted by ブクログ
うーん長かった‥
現在放映されている「光る君へ」での紫式部の人物造形が驚くほど似ている。この作品も参考にしているのではないだろうか。少し内気で社交下手、自己肯定感がやや低いところがあるが、芯が強く賢い女性。今の人にも理解されやすい様に、作品の中では考え方や思考回路が現代的な面があるが、人の本質は変わらないなので、おそらく紫式部はこの様な女性だったのでしょう。作者の杉本苑子が投影されているのかもしれません。
この作品では紫式部のに一生を描くとともに、平安後期の中流以上の層の人々の生活もよく描かれていますが、医療が発達してない時代の人の生き死にの儚さは現代人には想像できないものがある。この作品