杉本苑子のレビュー一覧

  • 孤愁の岸(下)

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    不可能と思った大事業が完成形にいたりつつあるとき、その事業の担い手に、達成感とは別の感情が浮かぶ不思議さが伝わってきます。

    困難な事業は、完成を迎えたときには携わった全員が「大事業を成功させ、苦労が報われた」と感じられることを望みます。しかし、それほど単純な状況ではない重々しさが現場にはあります。

     まるで自分がその場にいるかのように、決断と逡巡を読み手に強いる一冊です。

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    2017年04月08日
  • 孤愁の岸(上)

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    自分の人生を超える困難な状況を、自らの立場にとどまりながらひとりですべて受け止める重さが、丁寧に、そして冷静な筆致で描かれています。

    勝ち目がない勝負に、一筋の光を見いだしながら挑み、闘い続ける覚悟を持ちたいときによい本です。

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    2017年04月08日
  • 孤愁の岸(上)

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    薩摩藩がなぜ美濃の地で治水工事を引き受けなければならなかったのか。
    引き受けたはいいが,費用はどうするのか。
    薩摩藩の苦悩を描きだした傑作。

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    2016年01月05日
  • 孤愁の岸(下)

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    薩摩藩がなぜ美濃の地で治水工事を引き受けなければならなかったのか。
    引き受けたはいいが,費用はどうするのか。
    薩摩藩の苦悩を描きだした傑作。

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    2016年01月05日
  • ごめんあそばせ 独断日本史

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      めちゃくちゃ面白いです、永井路子、杉本苑子といういずれも1920年生まれの大熟女がかしましくも語る「ごめんあそばせ 独断日本史」。まるでその時代に生きて、まるでその人たちとしょっちゅう会っていたかのように語る、歴史上の人物の悪口三昧、こき下ろし。女たらしだの愚図だの、自己チューだの、デリカシーがないだの、世の中を見る目がないだの、好きだの嫌いだの・・・まあ次々と血祭りにしてしまうありさま。まな板に載せられたのは、紫式部、清少納言から始まって、平重盛、建礼門院、源義経、上西門院、後白河法皇、後醍醐天皇、楠正成・・・とまあ、きりがないほど。
      まあ女同士、とりわけ気に入らない女の話になるとそ

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    2014年05月13日
  • 悲劇の風雲児

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    記紀に題材を取ったものは二篇収録。

    「瑪瑙の鳩」

    司馬康は、かつて大陸は晋の王族だった。しかし、王家の崩壊後、倭の国に渡り、大和朝廷に食客とも王子たちの遊び相手ともつかない地位で身をよせていた。
    熊襲の叛乱鎮圧のため橿日に軍を進めていた足仲津彦天皇の宮へ、籠坂・忍熊の二皇子に従って来ていた康は、天皇と皇后の不和を耳にする。皇后の父・丹波主君は半島の財宝を得たいがため、娘と示し合わせて自分に有利な神託を捏造しようとしていた。
    神おろしの場で、その神託をぶち壊そうとした天皇は闇の中で謎の死をとげる。
    「下手人は神ではない」天皇の死を、そう確信した康は、二人の皇子をつれて大和へ脱出した。
    半島で

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    2011年11月06日
  • 悲華水滸伝 一

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    水滸伝を全5巻でやるだけあって展開は早いけど、面白い。
    でも史進・・・どこ・・・?
    あと異常に美男が多いww
    個人的には北方水滸よりおすすめ。

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    2011年03月11日
  • 新とはずがたり

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    二条ではなく、西園寺実兼視点で描かれているので、外交、政治に関するところもあって面白かった。

    ただ二条を主人公として描くよりも、世界が広い気がします。
    元のとはずがたりは読んでいないので、そのうち読んでみようかな…と思いました。

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    2010年07月15日
  • 胸に棲む鬼

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    歴史もの。ただ、教科書とかに出てくる人たちではなく、民衆を書いたもの。

    時代の成す部分もあるけれど、人間の本質を描いていると思います。欲望とか。
    読むとスカッとする話なんかは皆無ですが、考えさせられるものばかり。

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    2010年07月09日
  • 悲華水滸伝 一

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    ちょっと急ぎ足なイメージもあるけど、
    面白いです!
    男同士の熱い友情が……友情……?みたいなwwww

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    2010年07月05日
  • 悲華水滸伝 五

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    108人の星の転生。水泊に集う好漢たちの物語。

    星の加護を失い、方臘と戦い続ける好漢達。
    戦いにはなんとか勝利するものの、損失は目を覆うばかり。。。

    星の加護を失ったという事実をひたすら己のうちに隠しきる呉用がかっこよす。
    この物語、後半戦は呉用の物語です。
    そして、幼少の頃から認めていた花栄とだけ秘密を共有し、すっかり廃墟と化した水泊で迎えるラストに涙。

    タイトルの「悲華」の文字が切ないほど目に映る。

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    2010年01月17日
  • 悲華水滸伝 四

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    108人の星の転生。水泊に集う好漢たちの物語。

    宋江決死の上京でついに招安を受ける水泊の面々。
    ちなみに、このときの時遷かっこよす。
    水泊を焼き払い朝廷に帰順することで、星の加護を失う好漢達。
    そして、青面獣の孤高の自害。

    徐々に散り崩壊するこの巻がこの物語のターニングポイント。
    水滸伝の持つ、不整合をなんとか普通に読めるように修正している筆者の努力が垣間見える構成になっています。

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    2010年01月17日
  • 傾く滝

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    八代目団十郎の死とその周辺の梨園のどろどろを描いた長編。今も引き継がれてる名が沢山出てきて今見るとどきどきします…
    八代目の自殺は謎らしいんですが創作としても十分読み応えあります。女性向けですね。少年時代の八代目(当時海老蔵)の女王様っぷりにときめく…!

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    2009年10月04日
  • 私家版 かげろふ日記

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    現代でものすごく共感できる内容でした。夫の兼家のデリカシーのなさや不実っぷりはこんな奴いるよね〜と一緒になって腹を立ててみたり。正式な契約のない愛人のつらさがよく分かる現代訳でした。恨み辛みっていうより、「なんでこんな駄目男に振り回されてるんだろ・・・自分」という声が聞こえてきた。最後、自分からアンタとはもう会いたくないのと引越しして実質三行半を突きつけるあたり、駄目男にもう疲れたんだろうなぁ・・・。

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    2009年10月07日
  • 私家版 かげろふ日記

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    割合に原文に忠実に現代語訳されています。それに著者の感性が上手くミックスされて読みやすさ&とっつきやすさでは秀逸。

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    2009年10月04日
  • 利休 破調の悲劇

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    利休の死、海北友松とは誰か、茶屋四郎次郎、遠州の綺麗さびについての講演をまとめた短編集。再現風の会話はあるが小説ではなく歴史読み物。堺と博多、中央集権化へ向かう過程での賜死という。

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    2025年08月17日
  • 散華 紫式部の生涯(上)

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    紫式部の生涯を描いた物語です。
    上巻では幼少期から父為時の越前守赴任に同行することになったところで終わっています。この時点で27歳ですって。

    小説なので、和泉式部や清少納言が思わぬ形で登場したり、蜻蛉日記がベストセラーだったり、読者へのサービス精神が旺盛な内容でした(笑)
    和泉式部についてはちょっとやり過ぎかなーと思うけど。

    また、風俗や作法が私の知る平安時代とかけ離れていてはじめそれに違和感があったけど、だんだんそれは上流階級のほんの一部の風俗で、大部分の下級藤原一族の暮らしは本書のような感じなのかもなあと思えてきました。今放映している大河もね、そんな感じですものね。

    正直ダラダラして

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    2024年05月18日
  • 散華 紫式部の生涯(下)

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    うーん長かった‥

    現在放映されている「光る君へ」での紫式部の人物造形が驚くほど似ている。この作品も参考にしているのではないだろうか。少し内気で社交下手、自己肯定感がやや低いところがあるが、芯が強く賢い女性。今の人にも理解されやすい様に、作品の中では考え方や思考回路が現代的な面があるが、人の本質は変わらないなので、おそらく紫式部はこの様な女性だったのでしょう。作者の杉本苑子が投影されているのかもしれません。

    この作品では紫式部のに一生を描くとともに、平安後期の中流以上の層の人々の生活もよく描かれていますが、医療が発達してない時代の人の生き死にの儚さは現代人には想像できないものがある。この作品

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    2024年04月11日
  • 散華 紫式部の生涯(上)

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    大河ドラマの副読本として読み始める。上巻では紫式部の少女時代から二十代後半までの人生が描かれる。

    「源氏物語」をそもそも読んでないし紫式部についてはなんの予備知識もなく、勝手に煌びやかで華やかな王朝での公家の一員としての生活をイメージしていたので、思ったより地味な生き方(実際は分からないが)に少々驚いた。

    そもそも藤原一族の名前や関係性を頭に入れるのが大変な上、小市(紫式部)の様々なエピソードが散りばめられているので、作品としてはなんとなく散漫な印象も残る。

    下巻では小市の人生もいよいよ大きく動いてきそうなので楽しみにしたい。

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    2024年03月12日
  • 散華 紫式部の生涯(上)

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    紫式部に加えて、清少納言、和泉式部、藤原道綱母、時代を同じくする女流作家の繋がりが描いかれていて、ぐっと身近に感じられるようになった気がしています。

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    2023年12月28日