杉本苑子のレビュー一覧
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海外に来てから、日本語の本が入手しにくくなったので、めっきり本を読まなくなった。こうなるとたまに本を手にれても読む速度も落ちるし、読むきっかけが作れない。この本も昔ならさくっと読めたのだが、今はけっこう大変だった。
しかしそんな私の事情はともかく、本としては読みやすいしいい本だった。ぐっとくる本だ。西園寺実兼の言動が現代人すぎる気がするが、それはこれぐらいでいいのだと思う。
若い頃の話(もとのとはずがたりでいう愛欲編)は、「こんなことしているから武家に放逐されるんだ」「働けよ」と思うが、後半、年を取ってきてからの話のほうがいいな。後深草院の臨終の「お上、二条です」のところや、彼の野辺送りに -
Posted by ブクログ
大名題の家に生まれ、類まれな美貌で“江戸の華”と謳われた八代目市川団十郎。
その華やかな外見とは裏腹に、団十郎は肉親との葛藤に悩み、芝居町を弾圧するご政道(遠山の金さん出てくる!)に不安をつのらせ、ついには仇持ちの浪人・宮永直樹への破滅的な愛にのめりこむ。
江戸歌舞伎の舞台を背景に、謎の死に至る団十郎の伝説的な悲劇を細やかに描いた長編作品。
葬儀へ向かう団十郎を見て、「八代目・・・、きれいね」とため息をもらす女たちに向って、(あれはわたしのものだ!)と声にならない叫びを全身にめぐらす宮永先生。
団十郎を裸にして、「うつくしい」「いつか必ず二人の仲は壊れる・・・そう予感しながらこの