高星麻子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
“ますますエドガーは頭に来た。
「悪いが、僕は僕の目的のために行動する。きみの言葉には従わない」
「なら、それでもかまわない。エドガー、きみの意思で守れ。リディアを逃がすことが難しいなら、彼女を連れて、妖精国へ行くんだ」
そこで、彼女を殺すことになるかもしれないのに?
どうにかその言葉は口にせずに飲み込む。いったい、何を信じ、何を求めて進めばいいというのか。
「で、妖精国でどうなる?プリンスには話せないか?」
少し考えて、フランシスは言った。
「ぼくが言えるのは、妖精国には可能性があるというだけだ。あの地は妖精界でありながら、人間界の一部でもある。そういう奇妙な場所だから、どちらの理にも従い、またどちらの理にも矛盾することが起こる。予言も、あらゆる意味を持ち、あらゆる可能性がある」
成功する可能性も、失敗する可能性も。
あまりにも曖昧だ。
いったい、何をもって成功とするのか。そこへ向かう者は、それぞれに相反する目的があるというのに。”
なんか危うい。
なんだかんだでハッピーエンドになってくれそうなんだけど。
“「ニコさんは、たまに頼りになるときもあります」
「ほんと、ニコさん贔屓ですわね」
ケリーはあきれたようにつぶやいた。
「ケリーさんも、ニコさんが大好きじゃないですか。寝ているニコさんにほおずりしていましたよね」
フランシスの身勝手さに苛立っているだろうレイヴンの矛先は、急にケリーに向けられた。
「えっ、そ、それは......、ふわふわしてたからつい......。ふんっ、うらやましいんですのね?」
ケリーは開き直る。
「......私は、常にニコさんを紳士として接しています。そんな恥知らずなことはできません」
「ニコさんの毛は、耳の後ろもふかふかなんですのよ!」
「うらやましくなんかありません」
子供のケンカみたいなやりとりを聞き流して、ロタは先へ進む。” -
Posted by ブクログ
リディアの乗った船が妖精国に出航するのを見届けたエドガーは、覚醒し始めたプリンスの意識を抱えて組織に君臨しようとしていた。一方、妖精国への道のりの中継地点であるという幻の国「リオネス」を探し始めたリディアの目の前には不思議な少女が現れて・・・。リディアの命を狙う組織からエドガーはリディアを救えるのか!?そして、妖精国の道しるべをリディアたちは突き止めることができるのだろうか。
いやー、覚悟はしてたけど予想以上にしんどい展開でした。エドリディの安らげるシーンはほぼ皆無と言ってもいいんじゃないだろうか。必死でリディアを締め出そうとしてるんだと気づくまで、アーミンのように本気でエドガーの愛が消えたのかと疑ってしまいました。ギリギリのラインで仲間を救おうとするエドガーが苦しすぎて、何とか救われて欲しいと祈るばかり。フランシスも謎だし、結局リディアは許嫁だったし、伏線ありすぎてもはや回収できるのかと思うくらい壮大で厚みのある物語になったなあと思います。初期の口説きまくるエドガーが懐かしいぜ・・・(笑)でもこんな風に大きな話になったからこそ期待も高まるので、素直に次巻を読もうかな。 -
Posted by ブクログ
“「あなた、リディアさんについていなくていいの?エドガーさまが姿を消して、きっとつらい思いをしているわよ」
「伯爵のことは、俺ではなぐさめられないんだ。いや、ほかの誰も、リディアにとっての伯爵の代わりにはなれない」
「……そうね」
エーミンにもそれは、痛いほどわかる。エドガーは、リディアに出会って救われた。彼女への想いは、復讐よりも幸せに生きるための希望を彼に与えた。
エドガーの身近にいて、彼をいちばん知っていたはずのアーミンではなく、彼がつきあってきた多数の女性でもなく、本当に彼が望んでいたものを与えることができたのはリディアだけだった。
「リディアはこれから妖精国<イブラゼル>へ向かうことになるんだろ。善き妖精<シーリーコート>の国へ行くのに俺がいるのは不都合だろうし、だからこっちへ来てみたわけだ」
「エドガーさまを見張るつもり?」
海のほうを見たまま、ケルピーは片方の眉を上げる。
「伯爵がプリンスなら、近づくのはごめんだな。俺は支配なんてされたくない。それに……」
言葉を切って、ふと隣にいるのが誰だか気づいたようにこちらを見る。
「リディアのまわりには仲間がいっぱいいるが、おまえはひとりだ」
本当に変わり者の水棲馬だ。アーミンはその黒真珠の瞳から目が離せなかった。”
フランシスの件はなんかあっさりと明かされたせいか驚きは小さかった。
エドガーがどうなってしまうのか気になる。
プリンスに、呑まれることはないだろうけど。
“「やあリディア、なかなかいい船じゃないか」
フランシスが帆の間から顔を出す。真っ白な帆はすでに広げられているが、今はまだ風だそこを避けていくのか、船は地面に根が生えたように動かなかった。
そもそも、船は地面の上を動くものではないが、妖精の船だからきっと動くときは動くのだろう。
「ええ、すてきだわ」
エドガーにも見てほしかった。そう思うけれど、今は仕方がない。いつかきっと、二人で妖精国へ行ける日が来るはずだから。
「ポールのやつ、さっそく創作意欲がわいたらしくて、ぼーっとあそこに立ったままだ」
そっとリディアは涙をぬぐい、フランシスが指さす船縁のほうを見た。
ポールがぼんやりと遠くを見つめている。その横顔がなんだか悲しそうに見えて、リディアが近づいていくと、彼は前を見つめたまま口を開いた。
「どうして、伯爵がここにいないんでしょう」
彼も、リディアと同じことを考えていたのだ。ポールの隣に並んで、リディアは口を開いた。
「ここにいなくても、気持ちはひとつよ」
プリンスにうち勝つ方法を見つけることが、ここにいるみんなの、そしてエドガーの願いだから。
頷きながらも、ポールは納得のいかない顔をしている。
「どうしていつも、伯爵だけがつらい思いをするんでしょうね」”