高星麻子のレビュー一覧
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糖分を摂取したい気分の時、ぴったりな黒崎センセの作品。
これ、スピンオフだったんですね…高星麻子センセのきれいな表紙に魅かれて、つい買ってしまったのですが。でも多分、本編未読でも大丈夫です。
遊び人でゲイの十和田×天然記念物クラスな世間知らずで箱入り息子の佑樹。
亡くなった母親が趣味でやっていたような店を独りできりもりしている佑樹は、五百川が連れて来た十和田のことを意識するようになります。
しかし、初心で世間知らずな佑樹はどうやって彼に自分の想いを伝えたらいいかわかりません。
恥ずかしくて照れている態度を十和田には嫌って無視していると誤解されたり、やることすべてがすべりまくり。過保護な五百川から「遊び人だから近づかないように」と注意されて、逆にそれなら一度でいいから十和田に遊んで欲しいと思いつめるようになってしまします。
突っ込みどころはありますが、とにかく佑樹が天然でかわいい!
どうすればいいかわからなくて、一人で考えて出した答えが「遊んでほしい」です。無垢だからこそちょっぴり切なくて、いじらしいな~と思わせます。まぁ、成人男子としてそこまでウブなのもどうかなと思うんですが…
十和田は遊び相手として佑樹を見ることはできなくて、距離を置こうとしますが、あることがきっかけで同居することに。
自分の生き方を変える気などさらさらなかった遊び人の十和田が、佑樹の拙い気のひき方に絆されて、庇護欲から独占欲まで芽生えてしまうのがとても快感でした。
確かにほっとけません。心配です。
でも、家事はちゃんとできるので、嫁にはもってこいなんですよね~
まっさらだから、十和田好みに抱けるというのもポイントだったのかも…
遊び人を夢中にさせてしまった佑樹の純粋さ、というのが面白かったです。
佑樹のちょっとずれてる思考にきゅんとさせられました。
SS「懐かしい庭」は、十和田のお祖父ちゃん登場のとてもいいエピソードでした。 -
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リディアの父の列車事故はテランの仕業だった。リディアの危機を察して、お腹の子の魂が人の形をとって現れる。だが子どもの目的は『プリンスを倒すこと』。エドガーとの父子対決は避けられないのか!?リディアはエドガーに平穏な日々を送ってほしいと願うが、危機が訪れた瞬間に、子どもが矢を抜いたことでエドガーの封印された記憶がよみがえる。テランとたまごの中のフェアリドクターの行動が食い違う中、リディアとエドガーはイギリスと妖精国を救おうと仲間とともに必死で立ち上がる。
最終巻の1冊手前だそうです。新年一冊目はなんかもう胸がじんじんしつつ迎えることになりました(笑)次で終わるの!?というくらいめまぐるしい上に肝心の解決策が見つからないままなだれ込んでますが、きっと大団円で終わると思って待つ。エドガーがパパになるとしたら、コウノトリの短編みたいになるんだろうと思ってたんですが、思ったより深刻な状況だったせいでわりとシリアスな感じ。でも記憶を取り戻して確かに父になったのだという自覚が出て、強くなったなと思います。精神的に成長してリディアとともに子も守るという意識が出てカッコよくなった。アーミンやケリーに対するレイヴンの心境の変化も、地味に胸を打つ。愛にあふれた伯爵家であれと、切に願っています。 -
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萩尾望都に傾倒した私にはベタながら好きな作品でした。全寮制で、裕福な家庭のご子息しかいなくてーーそんな中に編入生がやってくる。最早ケータイ小説でもありふれた設定なのに、カトリック系の学校であることと、ご子息たちの集まりであることを生かしてまとめられていらっしゃるのですごい綺麗な作品になっています。
三作品あるうちのゴシックが一番好きなのですが、こういうシンデレラストーリーはやはり王子が王子らしくあることと、シンデレラボーイ側がいかに虐げられたかによって面白さが決まると思います。この作品の爪痕がその後の作品へと引き継がれるのは読んでいて本当に面白かったです -
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ネタバレ杉原さんの超絶ファンタジー『薔薇と接吻』の続編。ヴァンパイア氏族の長となった櫂と櫂と共に永遠を生きる決意を固め伴侶となった律也の“新婚篇”
どんなラブラブ甘々が繰り出されるのかと思いきや、意外とシリアスなトーンだった。
でも前作よりもエロの頻度と濃さは五割増しな気も! 新婚さんなだけにww
ファンタジーは物語の世界観を説明する必要があるから冗長になるのはやむを得ないけど、結構ページ数くったなぁと思う。
正直、ファンタジーは得意じゃないので、夜の種族、浄化者、狩人、狼男とか、ふぅーん…(・、・)?って感じで、長の代替わり、氏族同士の争いとか言われてもどっぷり入り込めないんだけど、ヴァンパイアの櫂がビジュアルも性格も超好みなので、それだけでご飯三杯くらいいけそう。
ストーリー自体はただ好きな人と結ばれてずっと一緒に…みたいな夢物語じゃなく、この先果てしなく長い時間がふたりの前にあるけれど、決して永遠を約束するものじゃなくて、いつか終わりはやって来る。何がふたりを分かつのかはわからないけれど、いつか自分が死ぬなら櫂のそばで、櫂が死ぬなら自分のそばで…と律也が共に生きる覚悟を決める、そんなお話だった。
私個人的には、本来サブキャラのレイとフランが、メインカプを喰うくらい印象的だった。ふたりの結末は、それが最善の方法だと頭ではわかっている。なのにこの切なさはなんだろう。
フランにとって、どんな形にしろ、やっとひとつになれたことは幸せかもしれない。二度と離れることはないのだから。
でもやっぱりどうしようもなく悲しい。フランの灰を抱きしめるように、そっと静かに口づけたレイの姿が鮮烈に胸に残った。 -
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ネタバレ大貫幸哉は、資産家の家に生まれた。
大貫家は代々、資産のある家の娘と結婚して家を維持してきた家系で、幸哉の母親もまた、資産のある家の娘だった。
ところが、実家が保証人になったことで資産を失ってしまうと、あっさりと放り出されてしまう。
跡継ぎであった幸哉は、家に残ったけれど、その父もまもなく、資産家の令嬢と再婚する前に亡くなってしまう。
そこで、幸哉の伯父が出張ってきた。
幸哉の母親は幸哉を取り戻そうと必死に頑張ったけれど、伯父による誹謗中傷の嵐を前に、幸哉は一度は離れ離れになることを選択する。
いつか、自分が立派に社会人になったら、一緒に暮らそうと母に伝えて。
それから数年、自分が持つ父の遺産を狙う伯父にさしたる抵抗もせずにおとなしくしていた。
けれど、そんな中、新たな変化が訪れる。
資産家の愛人の息子である、という秀人が幸哉の家に一緒に生活することになったのだ。
取り澄ましたような顔をして、一言もしゃべらずにいる秀人に興味が沸いた幸哉は、秀人に声をかけたことがきっかけで、二人の距離は急速に近づいた。
秀人は、幸哉に懐き、数年後、あろうことか「幸哉のことが好きだ」と言ってしまう。
ちょうどその頃、幸哉の母親が病に倒れた。
幸哉はその母親を助けるために、伯父から出された条件を飲み、誰にも告げることなく屋敷を後にした。
それから九年後、母を亡くし、一人で細々と花屋を経営している幸哉の下に、秀人が現れた。
彼は、幸哉が自分を裏切って家を出たのだと伯父に信じ込まされていて――
という話でした。
幸哉を訪ねてきた秀人は、持ち前の頑固さで幸哉の言うことを一切信じようとしなくて、無理やり幸哉のことを抱いてしまう。
幸哉も幸哉で、秀人のことを憎からず思っているために、抱かれることに抗いながらも、部屋を替わったり、ホテルに逃げ込んだり――ということができずにいてというちょっとしたすれ違い話。
でも、基本的には幸哉があっけらかんとしてあけっぴろげなので、そんなに暗くなりすぎずに、とてもいい感じでふんわりとした話になっています。
「しょうがねえなあ」と言いながら何でも許してしまう幸哉のこだわらなさが、物語的にも大分救いです。
そして何よりも、幸哉のいたずら好きなところがかわいくて、くらくらします。 -
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ネタバレ未希は、幼い頃から女の子として育てられてきた。
それというのも、未希の母親借金のカタにはあるお金持ちの愛人として無理やりさせられて、その男が亡くなった後、その男との間の子供である未希をつれ、その男の正妻から逃げるために、金で戸籍を買い、たまたま買った戸籍が母娘のものだったため、未希を女装させて育てたのだった。
ところが、その母親が亡くなった直後、未希は正妻に見つかり、以来、取り引き相手への『賄賂』とするために、未希を育ててきたのだった。
未希は「育ててやってるんだから自分の言うとおりにしろ」という正妻の言葉に、少しも逆らうことなく、大きくなり、ある日突然、ある人間への『愛人』となるように言われ、家を追い出された。
だが、送り込まされた先は、未希が別荘で過ごす間に一目ぼれしてしまっていた相手・門倉秀治の家だった。
その日、野良猫の親子に餌をあげようとしていた未希を手伝ってくれたのが、秀治だった。
そしてその猫を「飼い主を探してあげる」と言ってくれた秀治の優しさに、未希は胸をトキメかせたのだった。
ところが、たまたま玄関まで迎えに出てきてくれたのは秀治で、秀治の顔を見た瞬間、舞い上がった未希はついうっかり「お嫁さんにしてくださいっ!」と言ってしまう。
けれど、正妻から渡された手紙を見た途端、秀治は厳しい顔になり、未希に家に帰るように告げる。
未希はせっかく秀治と一緒に暮らせるようになるかと思い、喜んでいた気持ちを打ち砕かれ、ショックで涙をこぼしてしまう。
それを見た秀治に事情を尋ねられ、正直に話すと、今度は再び難しい顔になってしまう。
そして、そのまま秀治の家にいるように、と言われ、未希の立場を何とかしてくれるという。
その晩、「ずっと秀治と一緒にいたい」という想いから秀治の部屋に忍び込んだ未希が、男だとわかった秀治は難しい顔になってしまう。
実は秀治には「ゲイ」だという噂があって、それを信じた未希は「それなら自分でも」という思いを抱いていたのだが、それも間違った情報だということがわかり――
という話でした。
虐げられて育った未希が、男としての自分を取り戻し、徐々に「自分らしく」なりながらも秀治を一途に慕う話でした。
何よりも未希が随分かわいく描かれています。
今まで虐げられて育ったせいで「普通」という感覚がわからない。
でも、その中でできることをしっかりやりながら、自分の運命には文句も言わない。
そして実は頭の回転も悪くない――そんな子で。
世間に「男の子」として出たばかりの未希を気遣って、あれやこれやと理由をつけて、なかなか手出しをしようとしない秀治に最後は諦めたふりして一気に押し切るところとか、すっごいかわいい。
一途な男の子ってかわいいですよねー。
よかったです。 -
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ネタバレ篠原智哉は、清潔感のある美貌で近隣の女子高生にも人気。
今はある事情から、誰かと親しく付き合うことを止めているが、智哉に対する手紙や贈り物は後を絶たず。
智哉自身が直接受け取らないためか、友人である滝沢征司の手を介して持ってこられる。
その中の一つ。
滝沢が「男からのものだ」と言っていた手紙の差出人の名前が「神代有紀」であるとわかった瞬間、珍しく智哉が「返事を書く」と言いだした。
今までそんなことを言い出したことのない、智哉の思いもしない行動に、滝沢も驚くが、智哉自身が一番驚いていた。
早速、手紙に書いてあった連絡先にメールを送り、会う段取りをつけた智哉が待ち合わせ場所に赴くと、そこには背の高いエリート然とした男がいた。
彼の名前は、神代雅。
有紀の過保護な兄であった。
結局、その日のデートはいつまでもついてくる雅に怒った有紀の提案により、途中で解散となり、智哉はそれきり有紀にメールの返事をせずにいた。
数日後、突然、智哉の学校を訪ねてきたのは雅。
有紀が、智哉からの返事が返ってこないことにひどく落ち込んでいる、というのだ。
その雅の頼みに負けて、再び智哉は有紀にメールを送るけれど、どういう訳だか、有紀のことよりも、雅のことが気になってしょうがなくなってくる。
口を開ければ憎まれ口しか出てこない二人だったけれど――
という話でした。
なんだか、あらすじを読んだ時には三角関係のドロドロ話を思わず想像してしまっていたんですが、全然そんなことなくて、とても健全な話でした。
有紀と智哉はあくまでも友人関係で、途中、智哉も雅も有紀が智哉に抱いている気持ちは「恋愛感情なんだ」と思い込んでいるんですが、そんなことはありませんでした。
紛らわしい手段をとったから勘違いされてしまいましたが、有紀は智也と友達になりたかっただけでした。
なので、有紀の気持ちがちょっとしたスパイスになりはするもののちょっと回り道をした二人の話でした。
で、それとは別に、智哉の友人の征司と有紀の話も入っているので、そちらも興味がある方はぜひどうぞ。こちらは初々しい感じがして、非常にかわいいです。 -
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ネタバレ幼なじみに不毛な片想いをしている一基は犬猿の仲の年下の同僚ハルカに気持ちを見破られ、その事を脅しのネタに恋人のふりをする羽目になる。
大嫌い同士スタートって妙に萌えるww
大嫌いと言いつつも、ハルカが実は一基を気に入ってるのは序盤から透けて見えてて、腹黒そうなきれい系の生意気な年下くんが、常に敬語の華麗な言葉攻めを駆使して、兄貴肌でいわゆる男前受の一基をどうやって丸め込んで籠絡するのか楽しみにしながら読んでました。
でもハルカが予想してたタイプと全然違ったww 一基に怒られてしゅんっとなったり、拗ねたり、超子供。ちょっとダメわんこ。めんどくさくて、わかりづらくて、一基も鈍いから、思いこみや勘違いでなかなか伝わりあえない焦れった愛です。
これまで私が読んだ椎崎さんの作品は年の差モノが多くて、圧倒的に精神的優位に立つ大人な攻と繊細なかわいい健気受パターンが多かったので、こういう兄貴な受ってなんか新鮮。
思ったのとはちょっと違ったけど、普通に楽しめた。ラストもっとガッツリ甘くてもよかった気がするな。
一基の片想いの相手、幼なじみの神野が飄々としててマイペースで、超腹黒くて、こっちの方こそ腹黒ドSキングだったよww
神野のスピンオフ出ないかな~。 -
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ネタバレあぁ、判定するのが難しい。万人受けする話じゃないと思う。でも私はこの作家さんが好きなので、どうしてもひいき目…。
“この人”って誰?“彼”って誰?“眼鏡の男”って…?すべてはラストで明かされる。
相変わらず時間軸と相関図がわかりづらくて、橘さんらしい“あえての言葉足らず”。橘紅緒スキーじゃないと、この世界に入り込むのは難しいのかもしれない。
夢なのか現実なのか境界線が曖昧で、
まるで眠りに落ちた誰かが見ている夢を横から傍観しているような不思議な感覚。どこか観念的な描写に、土屋政雄さん訳の『イングリッシュペイシェント』を思い出した。
誰もが欲しがるきれいな結は、人知れず学校の先輩で義兄でもある穂積を熱愛している。それに気付けない穂積は静かに胸を焦がす。きれい系の攻とナイーブな受はもう橘的鉄板の組合せ。
相変わらず、受の見事なまでの盛大な勘違いで話がこじれる。結末はいたってシンプルにすぐ目の前にあるというのに。
文中に散りばめられた不思議が、最後の最後で一本の糸でつながる。
どうして穂積は雨が苦手なのか、どうして記憶が途切れたり、突然眠りに落ちてしまったりするのか。大事な人を失くしてしまうことが怖くて、全部忘れてしまう穂積の過去も未来も結が照らしてくれたらいいな。
ぜひとも二度読みしてみてください。すべてが腑に落ちます。