桂望実のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ主人公の展子は人生を「オーディションの連続」と捉えていて必死に合格をもらおうと頑張りすぎる性格。少し周りにも厳しすぎるが、思春期に強い劣等感を感じて生きていると、人生を勝つか負けるかで考えてしまう思考はとてもわかる。
ただ、彼女はとても周りの人に恵まれていて、父、妹、夫、友人が彼女の性格を理解してあたたかく見守っている。それに気づけたからこそ最後の最後、崩壊するぎりぎりのところで立ち止まって遣り直せたのだと思った。
途中途中で本人の語り口が入っているところに
違和感を感じていたが、最後のシーンで伏線回収されたかのようで鳥肌が立った。 -
Posted by ブクログ
突然の失踪
動機は不明
音信不通
警察に届けてはみるが、大人の場合事件性がないと捜索はしてもらえない。
探偵事務所に頼む他にもいろいろな方法があるらしい事を作品で知りました。
行方不明者捜索協会(作中では)に訪れる依頼人を
サポートする女性・静香さんが冷静にサポートして
発見に尽力してくれます。
短編5話はどれも辛い話でした(*_*)
けれど見つからないままでは先に進む事ができない
失踪理由はさまざま、亡くなった理由も…
失踪してから亡くなるまでの物語
悲しい話だけど一歩前に進む希望のある結末です。
最終話はサポート静香さんのお話
静香さんがまた笑える日も近いといいな(^ ^)
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Posted by ブクログ
三流時計メーカーで働く、ふくよかな女性のお仕事小説。
自ら「ごっつぁんと呼んでください」と言い、いじってもよいデブキャラとして地位を確立?していくのに面食らった。
ごっつぁんは取締役に突然女性グループでのプロジェクトリーダーに任命され、温度差あり個性ありのメンバーをまとめ、製品アイデアを出し、他部署や上司との折衝していく。
部長や取締役への根回しが大事というところは、現実味があってちょっとうんざりしたけど、自分の仕事の参考になり、役員会でのプレゼンは頑張れー!と思いながらどきどきした。
バリバリ働く先輩でもなく、ぶりぶりの後輩でもなく、ごっつぁんみたいな敵にならないタイプの人だからギスギス -
Posted by ブクログ
あの人どうしているかなと思って探したら既に亡くなっていた。どうして亡くなったのか。生前何を考えていたのか。故人を知るために動き出す人たちの話。
亡くなった人は確かに美化される部分もある。綺麗な思い出だけ覚えておきたい気持ちは分かる。逆に真実を知ることがそんなに重要なのかと疑問に思えてくる。
短編のひとつに、失踪した夫が実は腹の中では妻を見下していたり後輩の手柄を横取りしたりしていたことが分かる話がある。
まさに知らない方が幸せだったと言えよう。
自分に都合の良い解釈をしたって良いのだ。死者はもう何も語らない。
死者の物語が時として生者の励みにもなり得るのであれば、事実をねじ曲げて解釈するこ -
Posted by ブクログ
幸せを目標にしたら大変だよって、チヨコさんが言ったの。
キリがないからねって。
それより、今日三度の食事ができたら、なんていい一日だったんだって思えた方がよっぽど楽だよって、そう言ったわ。
人間も料理と一緒で、複雑であればあるほど旨みが出るんだろう。
生まれてきただけで意味がある。
親にとっては、生まれてきてくれたというだけで、幸せを運んでくれるんだからな。
そこにいてくれるだけで充分なんだ。
思っていたような子どもにならなくても、問題を起こしたとしても、自分の子どもとして生まれてきてくれただけでーそれだけで充分なんだ。
諦めんなよ。
夢を自然消滅させるなんて寂しいじゃないか。
夢がある -
Posted by ブクログ
桂 望実さんの長編小説です。
スーパーで買い忘れに気付き戻った母を待っていた小学一年の娘、沙恵(さえ)が、入り口のベンチから忽然と姿を消してしまいます。
そして数年が経ち、離婚した京子は今日もひとりで、わが子の帰りを待ちながら情報を集めてビラを撒きます。
第一章は淡々と物語が進行して行きあまり変化がありませんが第二章でいきなりの展開。
そこからは空白の数年間に何があったのか徐々に明らかになって行きます。
親子、夫婦の絆、母親の子供に対する愛情、執着、誘拐事件の裏に潜む問題、サスペンス要素やホラー的要素もあり中盤から一気に引き込まれて行きました。
インタビュー形式になっていて登場人物 -
Posted by ブクログ
ケータリングの仕事をしている男性が主人公。
読み始める前、タイトルから、「僕」と「おじさん」が何度も朝ごはんを食べる話なのかなと私は思った。
それくらい、私の意識の中に、「朝ごはん」というものは日常当たり前のことであって、繰り返されていくものだと刷り込まれているのだ。
でも、世の中には食べたいものを食べられない人、何の変哲もない「朝ごはん」すら食べられない人も存在する。この本の「僕」は、まさにそうだ。
「僕」が「おじさん」の「朝ごはん」を食べられたのは、結局、一度だけ。
最近、身近な人の死について考える契機がありました。
「とにかく生きていてほしい」という周囲の思いは、本人には届かないのだ