桂望実のレビュー一覧
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桂 望実さんの長編小説です。
スーパーで買い忘れに気付き戻った母を待っていた小学一年の娘、沙恵(さえ)が、入り口のベンチから忽然と姿を消してしまいます。
そして数年が経ち、離婚した京子は今日もひとりで、わが子の帰りを待ちながら情報を集めてビラを撒きます。
第一章は淡々と物語が進行して行きあまり変化がありませんが第二章でいきなりの展開。
そこからは空白の数年間に何があったのか徐々に明らかになって行きます。
親子、夫婦の絆、母親の子供に対する愛情、執着、誘拐事件の裏に潜む問題、サスペンス要素やホラー的要素もあり中盤から一気に引き込まれて行きました。
インタビュー形式になっていて登場人物 -
Posted by ブクログ
ケータリングの仕事をしている男性が主人公。
読み始める前、タイトルから、「僕」と「おじさん」が何度も朝ごはんを食べる話なのかなと私は思った。
それくらい、私の意識の中に、「朝ごはん」というものは日常当たり前のことであって、繰り返されていくものだと刷り込まれているのだ。
でも、世の中には食べたいものを食べられない人、何の変哲もない「朝ごはん」すら食べられない人も存在する。この本の「僕」は、まさにそうだ。
「僕」が「おじさん」の「朝ごはん」を食べられたのは、結局、一度だけ。
最近、身近な人の死について考える契機がありました。
「とにかく生きていてほしい」という周囲の思いは、本人には届かないのだ -
Posted by ブクログ
「鎌倉うずまき案内所」の逆バージョン。
昭和54年(1979年)から平成29年(2017年)までを8章に分けて描く。「鎌倉うずまき案内所」と違うのは、一つの家族の物語をその家族の長男の目線で描かれているところ。
ギャンブル好きな父と、勤勉な看護婦の母。
噛み合わない夫婦は、長男守が小六の時に離婚した。
父に似て、型にはまった生活が苦手な姉は父と共に出て行き、普通で真面目な守は母と暮らすことに。
8章の物語は、守が父と姉が暮らす町に1人で訪ねていき、そこで感じることが中心に描かれている。
父と姉は姉が得意とする将棋(賭け将棋)で生計を立てているが、真面目な守にはそれが許せない。
中2で初めて -
Posted by ブクログ
売り上げが落ちている中堅ホテル。
立地も規模もブランド力もある、じゃあ足りないのは?
レストランメニュー、宿泊プラン、タイアップ、みんな改善したのに何が悪いのか?
そこで元山社長が大なたを振るう。
何をしたのか?
従業員同士による総選挙だ。
自薦他薦問わず、誰がどの部署にふさわしいかを従業員たちが決める。
始まるまでは裏で「私に一票を」合戦。
おかしいとの声も。
しかし選挙後は、意外な場所で従業員たちが力を振るう。
やりたい仕事と、個人の資質、向き不向きは違うこともある。
でも、やりたい仕事も、もちろんあるし、それを目指して努力をしてきたはずだ。
うーん、本作ではハッピーエンドだけど、実生活 -
Posted by ブクログ
「お前はぐうたらではあるが、嫌なやつじゃないからな。たまに思い遣りを見せることもあるし。[...] あれだな。人間も料理と一緒で、複雑であればあるほど旨味が出るだろう。」(149 ページ)
どうでもいいといった感じを常に醸し出している主人公。
私生活でも、仕事のケータリングでも、
面倒臭がりで、手を抜くことに一生懸命。
それでも、ある少年との出会いを境目に、
自分ができる、唯一で最高のことを見つけ出す。
嬉しさと、切なさで胸をいっぱいにしながら、
真剣に、そしてとても丁寧に。
『料理人になって良かった』と、
自分の人生と誠実に向き合えるようになるまでの物語り。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ適当に脱力して生きてきた調理師のおっさんが、一人の難病の男の子と出会う事によって人生をやり直す気力を得ていく物語です。いい話になるであろうことがあらかじめ分かっているので安心。最近惨い話が胸にぐさぐさ刺さって疲れるので、こういう初めから安心できる本って助かります。
でも内容としてはなかなか重めで、自分の生き方を決めるのは誰なのか、生きていて欲しいと望む人の気持ちだけで決めてしまってよいのか。病気には徹底的に戦っていかないと人として間違っているのかという事を読みながら考えていました。
ここからは感想ではないのですが、視点移動を多用すると小説としての趣きが削がれるため個人的