あらすじ
渡辺展子はいつも「ついてない」。親友は学校一の美女〝渡辺〟久美。同じ苗字の展子は「じゃない方」の渡辺になる。絵が得意で美術部に入ったのに、奇抜な絵を描く同級生の方が評価される。就職活動では自分だけ内定が取れない。結婚したら夫の会社が倒産……。いつも満たされなかった展子の人生に、幸せな日々は訪れるのか? 傑作長編小説。
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Posted by ブクログ
2019年「オーディションから逃げられない」改題
全く、人生は幾つになってもオーディションから逃げられないのよ。生まれた時から、入試とか就職とか結婚とか。最後の方には、介護保険の認定面談まであるのよ。
たまたま、同じ苗字の美女と同じクラスになり、友人となり、長い間、“じゃない方”というポジションとなった女性。その美女はなかなか良い子で、一生の友人になるんだけど。
笑えるような哀しいような、“じゃない方”の話だけではなく、家庭を持ち家族を支える事になった主人公が、パン屋の主人となり、いうの間にかオーディションをする側にもなっていく。
自分の人生に満ち足りなかった気持ちを抱えて走り続ける。ついていない人生を自分で開拓していく。周りが見えなくなり、折れてしまいそうな時、手を差し伸べたのは、頼りにならなかった夫だった。
ついてないことで諦めない事は素敵。
今までの幸せに気づけのも素敵。
Posted by ブクログ
「人生はオーディションの連続だと思います。」
の書き出しに惹かれて読み始めました。
「じゃない方」感に苦しむ話かな?と思ったら割と前半だけで、殆どは主人公・展子が困難にぶつかり成長し、幸せに気づくまでのストーリー という感じでした。
プレッシャーから周りが見えなくなって、昔からツイてないせいだと思ってしまう展子の気持ちも、大雑把(よく言えばおおらか)で「なんくるなる!」精神の太一の気持ちも分かるな〜。
ただ、エスカレートする展子の詰め方は、普段言われる側にいる私としては文字で読んでてもキツかったです。
そして合間合間の語り口調に違和感があって「なんだこれ?」と思っていたのですが、最後の展開に涙、、、
いつからでも遣り直せるし、夢も叶えられるんだと勇気づけられました!
今私は展子と久美が結婚した年齢と同じ歳なので、これからのライフイベントについて考えるきっかけにもなりました。
読んでたらめちゃくちゃパンが食べたくなります。久しぶりに焼いてみようかな。
Posted by ブクログ
ずっと自分はついてないと思ってた。
親友は同じ苗字でなおかつキレイで自分は選ばれない方の渡辺
でも理解して応援してくれる優しい父親がいる時点で展子はとってもついているんだと。
学生時代って何かと人と比べて
なんで?どうして?が付きまとう
それくらい毎日誰かと行動していたから。
でも社会にでたら
いかに自分が挑戦できる場所にいるか
優しい家族がいるか
厳しくいってくれる兄弟がいるか
優しい友達がいるか
それだけで全然違う。恵まれてる。
病気になって亡くなる前に友だちが
展子はいつでもやりなおせる時間がある
子どもの成長をみることができる
それだけでどれだけ恵まれているか分かる。
劣等感の話かと思ってたけどそうじゃない
いかに展子が成長していて周りに恵まれてるからわかる本だった。
最後泣いてる自分がいた。
私は共感できて心から展子の幸せを祈った小説だったと思う。
Posted by ブクログ
平凡な器量に生まれ、性格も地味だったために、子どもの頃から注目を浴びることも好意を寄せられることもなかった渡辺展子の半生を描く。全11章。
* * * * *
人目をひく容姿を持っているわけでもないし、言動に才気のきらめきを感じさせるところもない。どちらかというと平凡でおもしろみに欠けるというタイプだった展子。
いわゆる「持ってない」ことを痛感して育った展子にとって、努力を拠り所として生きるしかなかったということは想像に難くありません。
だからこそオーディションの連続であると看破した人生で選ばれるためには、真面目にコツコツ積み上げることで実力をつける道を行こうとしたのでしょう。
もちろん、堅実な性格でパン職人の腕にも優れた父親のもとで育ったことや、早くに病死した母にかわり長女としての責任感で2人の妹の面倒をみてきたことも、展子の性格形成に影響しているに違いありません。
中学・高校・専門学校とその思いを強くしていった展子だけあって、就職後は商業デザイナーとしてそこそこ活躍できたし、パン職人としても父親の跡を継げる腕を身につけることができました。足下を固めてから積み上げていく姿勢の賜物でしょう。
ここでメデタシメデタシにしておいてもよかったのですが、桂望実さんはそうしませんでした。
展子にさらなる試練を課したのです。
1つめは結婚相手選び。
もともと展子には、男を見る目がありませんでした。結局は自分を “ 選んでくれた ” 太一と結婚しましたが、これは失敗でないにしても成功とも言えないと思います。
太一は確かに、悪い人ではありません。けれど、結婚相手には向いていないのです。だらしないし大雑把すぎます。気が向かないことはやろうとしません。
自然、共同生活の分担業務が限定的になるため、負担は展子なり父親なりにかかってくることになります。家庭や家業の共同運営者としては不適格な人間なのです。
2つめは経営者としての姿勢。
東京の老舗デパートからの出店の誘いに対して、目の届かない東京であることを意に介さず喜々として乗ったことで、経営を傾かせてしまいました。これも自分を “ 選んでくれた ” デパートの依頼を軽々に引き受けたことが原因です。
堅実で努力を厭わない父親のようなタイプを結婚相手に選ばず、顧客の顔や声と接する商売のやり方を選ばなかった。
これは展子が「選ばれる」ことにのみ気を取られ、「選ぶ」ことを考えてこなかったことが原因です。
でも展子は、失敗は失敗として受け入れるしかないと悟りました。
太一とは浮気発覚後も離婚はせず、コミュニケーションをとるようにして夫婦仲の改善を図るという道を “ 選び ” 、商売は手を広げた2店舗を閉めて客の顔の見える商売に戻すことを “ 選んだ ” 。
生きている限りどんな人生を歩もうとも後悔することは必ずあります。でも、そこに幸せがあるかどうかは、自分で選びとったものかどうかにかかってくることを、展子はきちんと理解したのだと思います。
なかなか味のあるおもしろい作品でした。
Posted by ブクログ
人生はずっとオーディションだと思って生きていたらキツイことも多いだろう。そこに太一の緩さはどれだけ心強かったか。だからこそ一度の過ちも、私は許せないのだけど。
渡辺エピソード少なかったから改題前の方がぴったりな気はする。
Posted by ブクログ
限りなく5に近い4!
「じゃない方の渡辺」というタイトルに惹かれて迷わず買ったけど、大正解だった。ただ、結婚して渡辺じゃない期間が長いから、じゃない方の渡辺が適切かは微妙な気がする…?!
タイトルからして、
地味な渡辺さんが主人公、キラキラな渡辺さんが出てくる。主人公はちょっと卑屈。キラキラ渡辺さんと成長していって、最後は親友になる
的な話かと思っていたけど、全然違った。
主人公の渡辺展子と、超絶美少女渡辺久美はすぐに親友になる。展子の成長物語と言った方が適切かな。
実家のパン屋を継いだあと、お店を大きくすることに夢中になった展子の言動にはヒヤヒヤさせられた。
たくさんの成功や挫折を経験し、家族や友人、周囲の人との接し方や、大切なことに気づいていく展子。
やり直すのはいつだってできる。なんとかなる!
そういう明るい気持ちを持つことの大切さが伝わる作品。
パンが食べたくなりますよ笑
Posted by ブクログ
色んな事を、オーディションに例えるのはしっくりとこなかった。主人公の人柄があまり好きなタイプじゃなかったなあ。と言いつつ、サラッと読み終えた。
Posted by ブクログ
展子の言う、“人生はオーディションの連続”に例えるなら、自分が行きたいと望むところと、“オーディション”に合格するところとは違うことはままあって、それをどうポジティブに捉えられるかだよなぁ…と自分のネガティブなところは差し置いて考えながら読んだ。
展子はだたただネガティブじゃないのだけれど、羨んだり、蔑んだり、そんなことしてもなんの得にもならないと分かっていても、なかなか自分を変えられない。
あぁ人生って難しい!
Posted by ブクログ
主人公の展子は人生を「オーディションの連続」と捉えていて必死に合格をもらおうと頑張りすぎる性格。少し周りにも厳しすぎるが、思春期に強い劣等感を感じて生きていると、人生を勝つか負けるかで考えてしまう思考はとてもわかる。
ただ、彼女はとても周りの人に恵まれていて、父、妹、夫、友人が彼女の性格を理解してあたたかく見守っている。それに気づけたからこそ最後の最後、崩壊するぎりぎりのところで立ち止まって遣り直せたのだと思った。
途中途中で本人の語り口が入っているところに
違和感を感じていたが、最後のシーンで伏線回収されたかのようで鳥肌が立った。