涌井学のレビュー一覧
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著・涌井学、原作・長岡弘樹、脚本・君塚良一『映画「教場 Requiem」ノベライズ』小学館文庫。
木村拓哉主演映画の『教場 Requiem』ノベライズ。『プロローグ』と『第一話 類似シナリオ法』、『第二話 周到な性格』、『第三話 目的』、『エピローグ』から構成される。
原作小説の映画脚本のノベライズだけに原作小説のエピソードが至る所に、散りばめられている。
風間公親が警察学校の生徒を篩に掛けるメインストーリーと並行し、風間の右目を奪った十崎波瑠を逮捕しようとする風間道場の門下生たちと風間教場の卒業生たちの奮闘が描かれる。
長岡弘樹の小説は時に読者を置き去りにする冷たくドライなところがあるのだが、映画のノベライズともなると懇切丁寧な描写が増え、ねっとりとした雰囲気に変わる。
『プロローグ』。前作の『エピローグ』からの続き。遠野刑事を殺害し、風間公親の右目を奪った凶悪犯の十崎波瑠の妹の澄田紗羅が何者かに拉致される。
『第一話 類似シナリオ法』。最近読んだ『新・教場 2』の『第三話 遺恨の経路』に描かれていたエピソードであった。同じ教場の真鍋辰貴と交際している木下百葉は、真鍋が1ヶ月前まで同期の洞口亜早紀と付き合っていたことを知る。そんな百葉は真鍋とクリスマスに会う約束をしていた。しかし、風間は百葉のミスを理由にクリスマスの日に全員の外出を禁止する。
『第二話 周到な性格』。余りにも用意周到であるがために墓穴を掘るというのは、ミステリーの謎解きにはたまに使われる。用意周到が仇となる有名なミステリー小説と言えば、江戸川乱歩の『心理試験』を思い付く。散りばめられた伏線の数々が風間公親の鋭い目により、1つにつながる。陸上競技が得意で妹思いの初沢紬は来たるべき長距離走記録会に向けて、食生活を含め、準備を重ねていた。そんな時、紬は妹の環から相談を持ち掛けられる。
『第三話 目的』。『新・教場』の『第六話 カリギュラの犠牲』に描かれたエピソードなのだが、配役がぐちゃぐちゃに変えられた上に、映画らしい派手な演出が追加される。警察学校の卒業式の日を狙って、十崎波瑠が動くことを予測した風間道場の門下生と風間教場の卒業生が十崎を逮捕するための包囲網を敷く。
『エピローグ』。警察学校の卒業式で起きた大事件の完結編と共に風間教場の卒業生たちの未来が描かれる。
本体価格620円
★★★★ -
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著・涌井学、原作・長岡弘樹、脚本・君塚良一『映画「教場 Reunion」ノベライズ』小学館文庫。
木村拓哉主演の映画『教場 Reunion』のノベライズ。
原作小説の映画脚本のノベライズだけに原作小説のエピソードが至る所に、散りばめられている。原作小説の場合、長岡弘樹の読者を冷たくあしらうような、まるで風間公親の如き表現が多々見受けられるが、映画脚本のノベライズとなると解りやすく、逆に物足りなさを感じてしまう。
『プロローグ』と『第一話 モデリング』、『第二話 製造特徴』、『第三話 デスマスク』、『第四話 欠損』、『エピローグ』から構成されるが、『エピローグ』に描かれる結末が尻切れトンボだ。もしかしたら、来月刊行予定の『映画「教場 Requiem」ノベライズ』で続きが描かれるのだろうか。そして、映画は2本作られるのだろうか。
『プロローグ』。父親が警察官であることから何となく警察官になる道を選択した矢代桔平は大学時代の飲み会の帰り道に交番で拳銃自殺を図ろうとする警察官の生命を救う。
『第一話 モデリング』。神奈川県警察学校の第205期に入校し、風間第三教場でカメラ係を任された門田陽光は自分にも他人にも興味が薄く、そのせいで良い警察官になれないのではと悩んでいた。そんな中、風間教官の目の前で、遠野刑事を刺殺し、風間教官の右目を奪った逃亡中の十崎波琉捕まえようと、かつての風間教場生が集まる。
『第二話 製造特徴』。風間第三教場の生徒が犯した犯罪を見破る風間教官。
『第三話 デスマスク』。格闘技に自信を持つ若槻の犯した失態から、重大な弱点を見抜いた風間教官。
『第四話 欠損』。珍しく風間教官は、隠し事をしていた笠原を退校とせず、逆に激励する。
『エピローグ』。逃亡中の十崎波琉捕まえるために、妹の十崎紗羅を囮にしようと企む、かつての風間教場生たち。
本体価格610円
★★★★ -
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昔見た映画の場面を思い出しながら読みました。
なるほどなぁ~。
ある日、主人公の余命が宣告され悪魔が現れる。
世界から何かひとつを消せば、寿命を1日伸ばしてくれる。ただ、それに見合っただけの大事なものを消さなければならない。
1つ目…電話
2つ目…映画
3つ目…時計
4つ目…猫
それぞれ、物の存在がなくなることで、その物がキッカケで出会った人との記憶も失ってしまう。
物がなくなるより、記憶がなくなってしまうほうが辛かったな…。
人は肉体から魂がなくなった時、物理的に死ぬ。
そして、自分と関わった人の記憶からもなくなってしまった時に本当の意味で死ぬ。誰かが覚えているって生きた証として重要なことだと思う。 -
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虐待を受けていた子供たちが、自分の受けていた被害を他人に話す、つまり裁判に臨むのはとてつもなく精神的な負担が大きい。
そんなとき、子供たちにただ寄り添いそばにいてくれる"付添犬"の存在が、子供たちの支え、勇気になる。
日本ではまだまだ認知度が低いが、海外ではこうしたコートハウスドッグがかなり活躍しているそうだ。
経験したことはないけれど、大人だってきっと裁判で上手く話すのは難しいと思えるのに、ましてや心に傷を負った子供がすらすら話せるわけがない。
この本のなかに出てくる子供も、かえって「自分が悪い子だから」と自分を責めてしまって、両親を訴えることができないでいる。読んでいて、何度も涙が出そうになった。
一人でも多くの子供が救われることを願う…そもそも虐待のない世界になって欲しいと思う。
児童書だけど、大人こそ読むべき本ではないだろうか。 -
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「涌井学」が映画化作品をノベライズ化した作品『岳-ガク-』を読みました。
岳-ガク-
「瓜生卓造」の『大岩壁』、「アル・アルヴァレズ」の『山男にみる生き方の研究―あるクライマーの肖像』、「栗城史多」の『一歩を越える勇気』に続き、山岳関係の作品です。
-----story-------------
全国公開映画の完全ノベライズ
世界中の山を登り、山の楽しさ、厳しさ、美しさを知り尽くした男「島崎三歩」。
彼はいま日本アルプスを舞台に、山岳救助ボランティアを続けていた。
ひとたび要救助者ありの連絡が入ると、「三歩」はすぐに現場にかけつけ、事も無げに遭難者の命を救う。
そんな「三歩」が暮らす山に、北部警察署山岳救助隊に配属されたばかりの「久美」がやってくる。
「久美」は、山岳救助隊の隊長や「三歩」の指導の下、厳しい訓練を着実にこなしていく。
しかし、実際の救助となると、自らの未熟さや大自然の脅威が重なって、ままならない日々が続く。
そんな打ちひしがれ自信を失くしつつあった「久美」の前に、多重遭難が発生。
救助に向かった「久美」の前に立ちはだかるのは、想像を絶する冬山の脅威だった。
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山岳小説って、通常、登山者の立場で描かれているんですが、、、
本作品は、珍しく、遭難した登山者を救助する立場(山岳救助隊や山岳救助ボランティア)から描いた作品です。
■第0歩 山の男
■第1歩 ナオタと山
■第2歩 久美と山
■第3歩 三歩と山
■第4歩 みんなの山
原作の漫画は読んだことないし、映画化された作品も観たことがないのですが… 巧くまとまっているし、要所要所でドラマティックな場面や山の魅力を感じられる場面が織り込んであり、読みやすくて、感動できる作品に仕上がっていましたね。
山の楽しさや厳しさだけでなく、山岳事故や遭難の恐ろしさを改めて感じるとともに、救助を行う山岳救助隊や山岳救助ボランティアの苦労や苦悩、ジレンマ、献身的な活動内容等を知ることができた作品、、、
山って、なめちゃいけないし、キチンとした計画や季節や行程に合った服装や装備が必要なことを痛感しました… あまり難しく考えすぎちゃいけないと思いますが、最低限のスキルや準備は必要ですよね。
「三歩」の言葉の受け売りですが… 山にゴミと命は捨てちゃダメですから。
原作の漫画(全18巻)の方が充実した内容のようなので、一度、読んでみたいなぁ… と思います。 -
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希望と再生の物語、映画「前科者」小説版!
罪を犯した者、非行歴のある者の更生に寄り添う国家公務員、保護司。阿川佳代は保護司になり早3年。仕事にやりがいを感じ、道を外れてしまった「前科者」のために奔走していた。担当する前科者の中の一人・工藤誠は、真面目な仕事ぶりを雇い主から評価され順調に更生していた。このままいけば自立の日も近いと心を躍らせる佳代だったが、最後の面会日を前に、誠は忽然と姿を消してしまう。その頃、謎の連続殺人事件が発生し──。
阿川佳代をあの有村架純が、工藤誠を森田剛が演じる話題の映画「前科者」が2022年1月全国公開。消えない罪を背負った者は、過去を乗り越えることができるのか。感動のオリジナルノベライズ! -
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ネタバレ【オッドタクシーノベライズ版感想&ネタバレ】
手短に感想を言うと、
・小戸川の心理描写の肉付けが圧倒的で、群像劇要素は多少薄まり、代わりにこの作品の主人公は小戸川!!!!!感がとてもある。小戸川がずっとずっと好きになる作品。
・ノベライズ版のオリジナル要素があったり、肉付けされている部分があったりして、このノベライズならではの物語の見方と味わいができ、アニメとはまた違った作品体験をすることができるので、読んでいて非常に楽しめる。
【詳しい感想、ネタバレ】
・アニメとの一番大きな違いは、小戸川の心理描写の肉付けがこれでもかとされているところ。
白川さんを始めとする他人に対して小戸川がどういう感情や想いを抱き、行動したのかという、彼の思考と感情、心をこのノベライズで詳しく描きたいのだ、という著者の熱い意思が読んでいて非常に伝わってきた。アニメではそこまで深彫されていなかった小戸川が抱いている、他人を信用することへの葛藤、そんな自分の殻を破ろうと心揺れながらも少しずつ変わっていく精神的成長が濃密に描かれており、小戸川というキャラクターにより感情移入し、愛着が湧くような作品になっていた。
ドブや柿花を筆頭に、他のキャラクター達もより詳しくその内面が垣間見える様にフィーチャーされており、良くも悪くも生々しい人間味が感じられるようになっていたのでキャラクターとしての魅力が増していた。しかし、主要キャラの内、ヤノ、関口、大門兄弟の人物描写の肉付けなどは余りされておらず、アニメと同等かそれよりさらっと流されている登場シーンもあったので、そこは少し残念にも思える。力を入れて描写したいキャラクターと、その必要を感じていないキャラクターとの差がかなり明確のように思われた。著者の好みが反映されているのかな。そういう意味では、場面毎の密度に多少のムラがある読み心地になってしまっている。
・せっかくのノベライズなのだから、アニメと全く一緒の作品体験を提供するのではなく、このノベライズならではの物語の見方と味わいを提供しようという意図が感じられる。
上述したように小戸川やその他のキャラの心理描写に特化しているなど、肉付けがされていてボリュームが増している場面が多い。
一方、アニメよりさらっと流している、或いはカットされている場面もある。これは、アニメと全く同じように場面を描いて小説という媒体での演出の関係上面白くならないなら、さらっと流すか、物語の進行上なくても成立するならいっそカットしようと判断されたからなのかもしれない。
それについて個人的には、面白い試みだし嬉しいと思う反面、アニメで好きだったシーンがなくなっていたりあっさりめになっていたりしたのはやはり少し残念だった。勿論それを差し置いても非常に満足できるその他のプラス要素があるので、作品全体の満足度は高い。
・大まかな場面内容はアニメと同じでも、細かい状況設定や演出が違う部分がある。特に物語後半に行くに連れその割合は増している。
例1)
市村と山本が柿花が監禁されているヤノ達のアジトを訪れるシーン。アニメでは山本が関口に暴力を振るわれたり柿花が情けなく母親に電話をかけさせられるシーンは、市村がその場を去ったあとの出来事だったが、ノベライズ版では市村がその場にいる間に起こった出来事として描かれていた。これ市村の精神衛生大丈夫かな...と少し心配になった。
例2)
小戸川が山本に自分側に付くよう提案して襲われ、白川さんが助けに来る場面。タクシーが停まったのが山の中に変更されていた。また、白川さんが小戸川の場所を特定して助けに来ることができたのは彼女がドブに言われてGPSを小戸川のタクシーに潜ませていたからなど、オリジナル要素も追加されていた。
例3)
ヤノ達のアジトへ柿花の救出に向かい、その後ドブが樺沢と対面する場面。関口の武器が木刀に変わっていたり、アニメではドブは樺沢に対して暴力的には振る舞っていなかったのがノベライズ版ではきっちり落とし前としてボコボコにしていたりした。
例4)
今井と一億円+偽札を運んでいるヤノ達を大門兄が止め、ヤノ達がパニックになる場面。アニメではそのままその場面が描かれていたが、ノベライズ版では、待機しているドブと小戸川が大門兄との電話音声越しに彼らのやり取りを聞いている、という演出になっていた。これは、かなり面白い変更点だと思う。この小説は限りなく小戸川視点よりで物語を語っているので、そのような演出にしたのかな、と考える。
これらの場面以外にも、アニメと演出や状況設定が変更になっている場面は多々あり、読んでいて違いを楽しむのが面白い。
・そもそもアニメにはなかった場面や情報などのオリジナル要素が追加されている。
例1)
アニメでは柿花と市村のデートはレストランでのシーンのみだったが、ノベライズ版では追加のデートも描かれていた。ここが肉付けされることによって、柿花の痛々しさ情けなさやが強調されたり、市村の性格がアニメとはまた少し違う印象になったりしていた。
例2)
アニメでは、ドブの脚を撃った人物が誰なのか小戸川は知らなかったり、ヤノとドブの銀行強盗計画を台無しにするために大門弟に協力を仰ぐが彼と連絡が取れなくなっていたりした。
しかしノベライズ版では、小戸川は大門弟に連絡が取れ、尚かつその会話内容からドブを撃ったのは大門弟だったのだと小戸川自身が推測している。その為、駐車場で田中と対面した時、拳銃には弾が一発残っていると小戸川は知っている状態で接していた。
アニメでは、ドブを撃ったのは大門弟だという情報をアニメならではの演出で視聴者に提供できていた。しかし文章だけではそれは上手く伝わらないので、小戸川が自力で気づくという演出に変えることで読者にその情報を提供したのだと考えられる。
例3)
ノベライズ版では、アニメ第4話「田中革命」に相当する部分は一切省かれている。そのため、何故ドクロ仮面が小戸川を狙っているのか、最後駐車場で対面するまで一切読者には明かされない。そして駐車場の場面で初めて田中の動機が彼の口から説明されるが、消しゴムのくだりは全カットされている。その為、彼のソシャゲーへの病的な執着心などの説得力がやや弱くなり、彼の異常性やキャラクター性の深みも減っている。
これもやはり、ノベライズ版は小戸川に特化した物語として描かれているためだからかもしれない。
・最終シーン
ノベライズ版では三矢を殺した真犯人は和田垣だとハッキリとは明かされていない。しかし、和田垣の母親との電話内容から推測はできるので、アニメほどではないが最後の不穏感は依然としてある。
【総括】
アニメ版との違いは多々あれど、ノベライズ版ならではの視点と味わいを存分に楽しめたので、普通にアニメと合わせて何度も読み返したいと思える作品だった。
何度でも言うが、ノベライズ版は小戸川が圧倒的主人公色が強いというか、著者さんの小戸川贔屓の色が濃い。個人的には小戸川をずっとずっと好きになれたので、普通に良かった。