永井するみのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
主人公は人材派遣会社を経営する紀ノ川由希子42歳、独身。恋人はいるがいわゆる不倫関係。
もう一人の主役は派遣ホストのテル。
そして由希子の会社に登録している、シングルマザーのありさ。
ミステリだから詳しくは書かないけれど、それぞれの欲望、タイトルにもなっている「欲しい」もののために事件が起こり、そしてその欲望が浮き彫りになっていく。
この小説に限っては、誰か登場人物の心情に自分を重ね合わせる感覚はなかったけれど、人間の闇の側面の描き方が秀逸だと思った。
イメージ的には、のし上がった女社長で不倫をしてて派遣ホストを呼んだりもする主人公の由希子がいちばん黒そうに思えるけれど、実際はそうではなくて -
Posted by ブクログ
永井さんのお話には、いかにもな悪者じゃなくて、あぁいるよね~
って感じの無意識の悪意?みたいなものを持った人が割と出て
きます(って私も永井さんの本まだ3冊目ですが・・・)。
この本にもそういう人物が。。。
人材派遣会社社長の由希子。由希子の恋人(妻子持ち)久原。
派遣ホストのテル。由希子の会社に登録している派遣社員ありさ。
ありさの元夫優也。
久原がありさをストーキングして、ありさに歩道橋から突き落とされ死亡する。
久原の死の原因(ストーキングの原因?)を探る由希子を中心
にストーリーは進みます。
まぁ色々あるのですが(ネタばれになるので色々で済ませますが)
各登場人物の欲しいものが明ら -
Posted by ブクログ
再読。
全く内容を忘れていた。
今回は、最後まで楽しめた♪
主人公は料理研究家で既婚、子供あり。
独身時代に不倫をしていて、最近その相手からストーカー行為を受けていたが、ある日彼は事故死する。
その通夜で再会した元同僚と、また不倫してしまう。しかし、事故死した相手が、直前まで誰かと一緒だった事が判明し…。
謎は解けるが、後味は良くない。それは、登場する誰もが強欲だったり、狡かったり、諦めが悪いから。これが現実に一番多いタイプの不倫だと解っている。
しかし、堂々と見せられるとやりきれない気持ちになるなぁ。
家族は大事。だけど恋愛も必要。そして、重い課題がひとつ。 -
Posted by ブクログ
「来年のこの日、またこの場所で逢おう」と言われ、様々な葛藤を繰り返しながら1日1日を過ごしていく、いろんな女性の姿を描いた作品。
いいところで終わってしまってたから、「なんじゃこの短編集〜!!」とか思ってたら、ちゃんと最後には話が繋がってたからひと安心。
半信半疑なまま、1年の間に無理矢理連絡をとろうとする人、息子と夫をおいて毎年順調に逢いに行く人、いろんな人がいるけど、私はやっぱり不倫は許せないので「シャドウ」の奥様にはイライラしっぱなしでしたが…
「コンスタレーション」はすごく共感。
1年という期間を信じられずに途中で出会いもあって付き合うのだけど、心のどこかでは信じたい気持ち -
Posted by ブクログ
すぐれた文章にある一定のテンポがあるのは当然なのかもしれないが、この小説には、常に落ちるリズムが付きまとう。
スマートな作家さんなのだろう。
どの程度彼女自身を忍ばせているのかはわからないが、彼女の描き出す登場人物は常にドライで強く凛々しく、そうして美しい。
それぞれの女性の姿形の描写は少ないはずなのに、なぜか一定のテンポが、彼女たちが同じ匂いの女性であると告げている。
不倫、という現象をクールに切り出し、恐ろしい程にドライに強く、美しく仕上げたこの作品は、まるで精緻な砂糖菓子のようだ。
美しく、脆く、口に運んで満たされても、決してそれだけではカラダを作ることのできない、虚構の食事