永井するみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最近ゴタゴタしていて本屋さんに行けないので、読み返しが増えている。
なかなかにザルのような記憶の持ち主なので、自分でも驚くくらい内容を忘れてしまっているので読み返しでも新鮮に楽しめるタイプ。
今回は、好きな作家のひとりでもある永井するみさんを読み返し。
相互の繋がりのない短編6篇。
永井さんはどちらかというと、ひとの心に自分でも気付かないうちに芽生える殺意や悪意を描く作家さん。長編で二転三転して先が読めないとか大きな仕掛けに唸らせるといった作風ではなく、すらっと読んでちょっと怖いような嫌な気持ちを残す作品が多い。
短編であるので、登場人物をある程度絞り、少ない登場人物に意味を持たせ、人物の心の動きを描写し、尚且つ中盤、出来たら終盤まで誰が誰に殺意を抱き、どのように目的を実行し、結末はどうするのかといった肝腎な部分は読者に気付かせないようにする。
永井さんの文章は、読んでいくと普通の夫婦だったり恋人だったりの穏やかな日常を描いているようで、それでいて密やかに心の中の殺意は膨らんでいく。このさりげなさが、とても上手な作家さんだと思う。
短編の魅力に溢れた一冊だと思う。
もう永井するみさんの新作に出会えないことは本当に残念でならない。
まだ読めていない残りの作品を読んで永井するみさんを偲ぶ。 -
Posted by ブクログ
主人公は人材派遣会社を経営する紀ノ川由希子42歳、独身。恋人はいるがいわゆる不倫関係。
もう一人の主役は派遣ホストのテル。
そして由希子の会社に登録している、シングルマザーのありさ。
ミステリだから詳しくは書かないけれど、それぞれの欲望、タイトルにもなっている「欲しい」もののために事件が起こり、そしてその欲望が浮き彫りになっていく。
この小説に限っては、誰か登場人物の心情に自分を重ね合わせる感覚はなかったけれど、人間の闇の側面の描き方が秀逸だと思った。
イメージ的には、のし上がった女社長で不倫をしてて派遣ホストを呼んだりもする主人公の由希子がいちばん黒そうに思えるけれど、実際はそうではなくて、慎ましやかに暮らしているように見える人間がいちばん恐ろしかったりする。
自分の欲望を自覚した上で行動するのと、無自覚のまま行動するのでは、同じ悪でも無自覚の方が罪深い。理性がまったく利かないから。
自分の欲望しか見えなくなって、それを客観視する力を失うと、盲目のまま周りを傷つけることさえ厭わずに突っ走ってしまうこともある。
自分がいちばん「欲しい」ものって何だろう、と考えている。
もしかしたら無自覚のまま生きてるのかも知れない、とも。 -
Posted by ブクログ
永井さんのお話には、いかにもな悪者じゃなくて、あぁいるよね~
って感じの無意識の悪意?みたいなものを持った人が割と出て
きます(って私も永井さんの本まだ3冊目ですが・・・)。
この本にもそういう人物が。。。
人材派遣会社社長の由希子。由希子の恋人(妻子持ち)久原。
派遣ホストのテル。由希子の会社に登録している派遣社員ありさ。
ありさの元夫優也。
久原がありさをストーキングして、ありさに歩道橋から突き落とされ死亡する。
久原の死の原因(ストーキングの原因?)を探る由希子を中心
にストーリーは進みます。
まぁ色々あるのですが(ネタばれになるので色々で済ませますが)
各登場人物の欲しいものが明らかになるラストは中々のものでした。
人の裏と表、欲望を書くのが上手いなぁと思います。
ものすごい悪意を持っている訳ではないけれども、自分勝手。
そういう人がやっかいなんだなと思った1冊。 -
Posted by ブクログ
再読。
全く内容を忘れていた。
今回は、最後まで楽しめた♪
主人公は料理研究家で既婚、子供あり。
独身時代に不倫をしていて、最近その相手からストーカー行為を受けていたが、ある日彼は事故死する。
その通夜で再会した元同僚と、また不倫してしまう。しかし、事故死した相手が、直前まで誰かと一緒だった事が判明し…。
謎は解けるが、後味は良くない。それは、登場する誰もが強欲だったり、狡かったり、諦めが悪いから。これが現実に一番多いタイプの不倫だと解っている。
しかし、堂々と見せられるとやりきれない気持ちになるなぁ。
家族は大事。だけど恋愛も必要。そして、重い課題がひとつ。 -
Posted by ブクログ
「来年のこの日、またこの場所で逢おう」と言われ、様々な葛藤を繰り返しながら1日1日を過ごしていく、いろんな女性の姿を描いた作品。
いいところで終わってしまってたから、「なんじゃこの短編集〜!!」とか思ってたら、ちゃんと最後には話が繋がってたからひと安心。
半信半疑なまま、1年の間に無理矢理連絡をとろうとする人、息子と夫をおいて毎年順調に逢いに行く人、いろんな人がいるけど、私はやっぱり不倫は許せないので「シャドウ」の奥様にはイライラしっぱなしでしたが…
「コンスタレーション」はすごく共感。
1年という期間を信じられずに途中で出会いもあって付き合うのだけど、心のどこかでは信じたい気持ちもあるという。
まさに葛藤。